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3760号 2024年6月10日

最高の学びは、教えること ~「論文の読み方・調べ方講座」を終えて思うこと~

(本日のお話 1935字/読了時間3分)

■こんにちは。紀藤です。

先日日曜日は、子ども(3歳)と運動系の体験スクールへ。
皆がボールでドリブルしている中、動物園の熊のようにボールを抱えていたのが印象的でした。
人にはいろんな成長のレベルがあるようです。
また夜は10kmのランニングなど。



さて、本日のお話です。

今週の土曜日に、私が学んだ立教大学大学院 経営学専攻リーダーシップ開発コース(LDC)にて、とある講座を実施させていただく機会がありました。

テーマは、「論文の読み方・調べ方講座」なるものです。私は2年前に卒業をした2期生ですが、今年の1年次生(5期生)向けに大変ありがたい機会をいただきました。

そして率直に今思っているのが「自分が一番勉強になったな」ということ。今回のプロセスから得るものが多かったと感じており、それらの学びを、言葉にしてみたいと思います。

■苦手だったから伝えられることもある

私は大学入学まで論文の「ロ」の字も知らなかった人間です。大学院入学前は、とりあえず何かの文章の後に、(Bakker, 2017) なんてあるとカッコええやん、と思っていたレベルです。そして、論文を読み解くというよう行為は、正直、苦手でありました。

なんだか愚痴っぽくなって恐縮ですが、大学院の授業中も、私は思考が追いつくのがやっとでした。しかし、先生の「研究に頭の良さは関係ない」という言葉に励まされ、論文を地味にコツコツ読む中で、その書き方や論文で触れられている概念にも慣れていきました。

卒業後に自分の専門領域を深めるために、「強み論文100本ノック」なるプロジェクトをやってみて、そこから展開して4期生の方に「はじめての方の論文の読み方・探し方 おそすわけ勉強会」をさせていただいた経緯があり、今回こうした機会をいただきましたが、元はそんな人間です。

そうした「得意ではなかったからこそ、苦手な人の痛みがわかる」というのは、一つの価値ではなかろうか、と思いました。

先生が伝えても、少し距離が遠く感じられるかもしれない。でも、そんなに自分が伝えると、少し身近に感じてもらえて、「やってみよう」という気持ちになるかもしれない。どんなレベルの人にも、役割があるようにも思いました。

■「伝える側」が一番学びになる

そして、そんなプロジェクトを終えて思うこと。それは、よく言われる話ですが「教える側が一番学びになる」ということです。(「教える」というのもおこがましいので「伝える側」なんなら「おすそわけさせていただく側」くらいだと思っていますが)。

なぜ教える側が一番学びになるのか? 当たり前のことのようですが、以下の3つの理由があると感じました。

◯その1:まとめる中の学びがある

大学院生の方に何かをお伝えするのは、躊躇する側面もあります。価値ある内容にするために、ぼんやりしていることを言葉にする必要があります。たとえば、

・「論文の検索サイトの違いや特徴」は、どのようなものがあるのだろう?・自分が論文を読む時に、どういうやり方をしているのだろう?・自分が知らない、使ったことがないツールや機能には、どのようなものがあるのだろう?・そもそも論文や文献の種類について、どのように分類し、どのように活用するのが効果的なのだろう?

などなど。なんとなくやっていたこと・わかっていたような気がすることを、資料にするために、調べまとめる中で、多くの学びがありました。

◯その2:資料を添削してもらう中で学びがある

極めてありがたい機会だったのですが、大学院の講座としてお伝えするわけなので、教員の先生方に講座の資料を事前に見ていただきました。
そして、個別のフィードバックをもらう中で、気付かされることがありました。自分の「思い込み」が現れているところがあり、そうしたものを指摘いただくことで、大いに気づきになるのです。
たとえば、私は「定量調査が、信頼性が高いもの」と思いこんでいました。しかし、それはあくまでも自然科学としてのものの見方ではなかろうか、というご指摘です。
「定性調査」は、Nは少なくとも定量では見えない深い部分まで見ることができる。ゆえに定量調査はNが大きいが浅い、定性調査はNは小さいが深い、というほうが適切というお話など。この一つの気づきだけで、十分過ぎる学びが得られたと感じました。

◯その3:リアクションの中で学びがある

そして3つ目が、皆さんからのリアクション(質問)で学びがあった、ということ。

私はあくまで「少し早く卒業した人」です。何でもかんでも知っているわけではありません。大学院のお伝えする皆様の中には、自分よりも論文について詳しい方も当然いるでしょうし、私が伝える中でぶつけられる率直な疑問も、私が知らない・考えたことがないことも、多々あると思います。

実際に、いただく質問の中で、私も初めて耳にする調査の方法や、論文に関連するツールなどもありました。

たとえば、「論文管理ツールと言えば、PaperPileでしょ!」くらい思っていましたが、実際は新しいツールもいくつか出ているようでした。そうした物の紹介もある中で、「へー、こうしたものがあるんだ」と学びになりました。
伝える側になると、こうしたリアクションを一挙にいただくことができる(大量のフィードバックをいただくことができる)ので、それらの内容が、また色々な気づきをもたらしてくれます。

■まとめ

改めて、自分が誇らしく思うLDCという場で、こうした機会ををいただけることは大変光栄かつ、嬉しい機会でした。

自分自身が学んだことが、誰かの役に立てることは何より嬉しく、またそれらをお渡しして、何かしら価値を感じていただけた(ように思う)ことは、私にとっても自信になりました。

これからも、お届けする側になっていきたいと思いますし、そのためにも自分の専門領域を深めていきたいと思った次第です。

最後までお読み頂き、ありがとうございました!

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