験して得た学びは、納得度が違う ー人材育成の「70:20:10の法則」ー
(本日のお話 1564字/読了時間2分)
■こんにちは。紀藤です。
ありがたいことに、研修が続いている日々でございます。そしてなんとも不思議なことに、今月、縁あって大学の学部生向けに「研修ファシリテーション」についてお伝えする機会をいただくことになりました。
「自分がお伝えできることなぞがあるのだろうか?」「結構感覚でやってる気がするぞ」と、不安にも思いましたが、なんだかんだで研修に登壇して7年。それなりに場数は踏んできたように感じなくもありません。
そんな中、ふと起業当時に読んだ、「研修ファシリテーションの本」を読み返したところ、当時ぼんやりとしか感じられなかったものが、輪郭を持って、ハッキリクッキリ分かる感じがして、「ああ、これを成長と呼ぶのかもしれない・・!」と、我ながら嬉しく思ったのでした。
ということで、今日は私自身の、研修ファシリテーターとしての(ささやかな)成長から感じた気付きについて、皆さまに共有させていただければと思います。
■「しっている」と「している」の違い
私ごとで恐縮ですが、今年で起業して7年になりました。
元々、研修講師やってみたい!自分で教えるとかしたい!みたいな不純な動機も含んで独立したのも否めません(汗)
勢いは良かったのですが、最初は、研修実施で前に立つときに変な汗が出たり、声が震えてしまうこともあり、ああ、やっぱり実際にやるのは違うんだな、と思った記憶があります。
そうして、まずはトレーニングだ、研修だ!とのことで、友人がお勧めしてくれた「ボブパイク氏の研修ファシリテーショントレーニング」を受講したのでした。
研修ファシリテーションハンドブック
そして、研修で学んだことが書籍になっている本を参考に、経験を積み重ねました。当時は、乱暴にいえば「とにかくこれ通りやってみよう」ということで、『しっている』というレベルです。
理論は「しって」いても、「している」わけではない。
ここに大きな隔たりがあることは、いうまでもありません。
■人材育成の「70:20:10の法則」
さて、人材育成における「70:20:10の法則」と呼ばれるものがあります。
これはアメリカのロミンガー社が、経営者を対象に、「何がリーダーとしての成長に役立ったのか?」を調べたところ、
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10%=フォーマルなトレーニング
20%=対人関係やメンタリング
70%=実際の経験
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であった、とした研究です。
この内容も諸説ありですが、「経験が最も重要な成長の糧である」というのが話のポイントです。
そして、先ほどの話に戻りますが、起業直後の私は「10%のフォーマルなトレーニング」のみでした。しかし、その後様々な場数を経て「70パーセントの経験」を積んだことになります。
そして、実際に私自身痛感したのは、「経験して得た学びは、言葉の納得度が違う」ということ。本で書かれていることが「まあ、そんなものなのかな」だったものが、経験を積むと「ほんと、その通り!」と質感が変わってくるように思ったのです。
■熟達の道は「経験」しかない
そして、改めて思うことがあります。月並みですが、何かを身につけるには、やはり「経験こそすべて」ということ。全て、というといいすぎかもしれませんが、フォーマルのトレーニングも、経験につなげるための材料でしか無いのかも、とすら思ったのでした。
行動し、何かにつなげてこそ価値を持つという実践者としての立場に立つのであれば、「学びは経験してこそ意味がある」とも言えそうです。フォーマルなトレーニングはその経験を積むための補助線なのです。
本で書かれていることを体験している、肌でわかっている。
そのレベルになったかどうかが、熟達しているかどうかを判断する基準なのかもしれない、とも思います。
ということで、大学の学部生に向けてのファシリテーションも、そうした自分なりの経験値をきちんとお伝えできるように頑張りたい、そんなことを思った次第です。
最後までお読み頂き、ありがとうございました!