今週の一冊『営業の科学 セールスにはびこるムダな努力・根拠なき指導を一掃する』
(本日のお話 1658字/読了時間2分)
■こんにちは。紀藤です。
さて、毎週日曜日は、おすすめの一冊をご紹介するコーナー。今週ご紹介させていただく本は、こちらです。
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<今週の一冊>
『営業の科学 セールスにはびこるムダな努力・根拠なき指導を一掃する』
高橋浩一 (著)/かんき出版
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■本書の特徴
本書の特徴は、営業における入口から出口(関係構築・アポイント・ヒアリング・プレゼン・クロージング)について、営業1万人+お客様1万人=合計2万人の調査をし、まとめた著書となります。
「営業を受けた際の、お客様の本音とは?」、そして「営業のハイパフォーマー人材とローパフォーマー人材はどのような行動が違っているのか?」、それらを営業シーン別に解き明かしていくところに、発見と面白みを覚えます。
たとえば、お客様に対する「ニーズや課題をはぐらかして営業担当に伝える理由は何か?」の調査結果。この回答は「1位:強引に売り込まれるのを避けたいから」「2位:あえてすべてを伝えず、営業担当者のお手並みを拝見したいから」などが挙げられています。
また、営業に対する「質問を自分なりに工夫してうまく聞き出せた成功体験
は?」と聞いた結果によると、ローパフォーマーのほうがハイパフォーマーに比べて「話しすぎないように注意し、お客様に傾聴する」が高い傾向があった、など。
こうしてみると、「お手並み拝見をしたいお客様」に対して、「傾聴を続ける」という営業をしたとて、最初はなかなか話をしてくれない、というのは予測できる帰結でしょう。
だから、最初は調べた情報から仮説を投げかける、必要そうな情報を推察し提供するなど耳を傾ける以外の引き出しを持つことも大事になりそう。
こうしたことをデータで示してくれることで、営業経験が十分ある方は「やっぱりそうだよな」と確認することになるでしょうし、営業をはじめて間もない人には「こういうところに気をつけるのが重要なのだな」と転ばぬ先の杖のような指針を示してくれます。
■お客様の持つ「購買者の5つの仮面」
そして、本書の一番の特徴は、そうしたお客様の本音を「表面的なセリフ」と「裏側にある本音」に分けて理解し、それぞれに対するアクションを明示していることです。
本当に共感するのですが、お客様もいい人も多く、冷たくあしらうのも、心が痛む人も少なくないわけです。極端に言えば、悪い人になりたくないけど、強引な営業などはやめてほしい。
そうして、負担やリスクから解放され、ラクになるための「いくつかの購買者の仮面」を被って、立ち回るわけです。
では、どのような仮面があるのでしょうか? 大きく以下の5つが紹介されていました。
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1、はぐらかしの仮面(「とりあえず、予算は決まっていなくて」)
2,忙しさの仮面(「とりあえず、今は忙しいです」)
3,いきなりの仮面(「とりあえず、すぐに見積もりをくれませんか」)
4,とにかく安くの仮面(「とりあえず、もっと安くなりませんか」)
5,検討しますの仮面(「とりあえず、社内で検討しますのでお待ち下さい」)
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そして、営業はこれらの「購買者の仮面」の裏にある本音を理解し、それを外してもらえるように行動することがポイントとなる、とのことでした。
■学びになったこと
本書で紹介される様々なデータも非常に興味深いものでしたが、個人的に面白いと思ったのが、”普段やっていない質問を試すのは「楽勝営業(受注の難易度が易しい)」or「惨敗営業(受注の難易度が難しい)」ときがよい”というものでした。
接戦営業では、普段使いなれた引き出しで臨んだほうがよい。
ただ、楽勝or惨敗営業では、経験を積み、自分の引き出しを広げるためにも新しい質問を積極的になげかけることが推奨されていました。
コーチングでも営業でもそうですが、対話によって、相手の本音を引き出すためには、「いつもと同じパターン」ではなく「新しいパターン」を広げることが自分の武器になります。
本書では営業の成果に繋がる様々なヒントが出されていますが、そうしたものも「試してこそ意味がある」もの。改めて大事だと思った次第です。
最後までお読み頂き、ありがとうございました!
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