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3835号 2024年8月25日

今週の一冊『精神科医が見つけた 3つの幸福 最新科学から最高の人生をつ

(本日のお話 2452字/読了時間6分)

■こんにちは、紀藤です。

毎週日曜日は、おすすめの一冊をご紹介するコーナーです。本日ご紹介させていただく書籍は、『幸福』を取り上げたこちらの書籍です。

いきなりの余談で恐縮ですが、現在「出版ゼミ」なるものに通っています。理由は「強みについての本を書きたかった」から。ちなみに「強みの活用→成功」みたいなイメージが先行していますが、実際の研究では「強みの活用→幸福感」というのが主に扱われています。

そんな話をしていたら、アドバイザーの方から「強みを使うと”幸福感”が高まるんですよね。なら、いっそのこと”幸福感”をテーマにして企画を考えてみては?」と提案を受けたのでした。
その中で『幸福』を取り扱った著名な書籍はなんだろう? と検索する中で、最も評価が高かったのが、ビジネス書のベストセラー作家として有名な樺沢紫苑さんのこちらの著書でした。

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『精神科医が見つけた 3つの幸福 最新科学から最高の人生をつくる方法』
樺沢紫苑 (著)/飛鳥新社
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■本書の特徴

さて、本書はどのようなことが書かれているのでしょうか? 一言でいうと『「幸せ」は脳内物質で決まる』、これが本書のキーメッセージです。

「幸福とはなにか?」となると、哲学的な幸福論の話にもなりそうです。
しかし本書では、「”幸せ”は脳で感じるものである。どういう脳内物質が出されたときに、人は”幸せ”を感じるのか?」という切り口に変えて、幸福を考察しました。
幸せに関わる脳内物質は、100種類以上あるとされています。その中でも特に「幸せ」に関わっている三大幸福物質を「セロトニン」「オキシトシン」「ドーパミン」と著者は述べました。
そして、この「3つの幸福(の脳内物質)」を意図的に味わえるように実践していけば、幸せを感じることができる、というのが本書の主張になっています。

前半は理論的な話が含まれ、中盤からはどうやって「3つの幸福」を感じることができるのかという、具体的なアクションの提案が並んでいます。(以下目次となります)

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<目次>
はじめに 「幸せ」とは何か?
第1章 幸福とは、「脳内物質」だった!
第2章 「3つの幸福」のイメージを固める
第3章 幸せの「4つの性質」を知っておく
第4章 セロトニン的幸福を手に入れる7つの方法
第5章 オキシトシン的幸福を手に入れる7つの方法
第6章 ドーパミン的幸福を手に入れる7つの方法
第7章 人生が変わる「お金」「遊び」「食」の習慣
最後に 幸福なあなた、幸福な世の中
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■「3つの幸福」とは

まず、「3つの幸福」に関わる特徴を、以下のように説明されています。

●「セロトニン的幸福」:心と体の健康
(爽やか、安らかな、穏やかな幸福感)
●「オキシトシン的幸福」:つながり・愛
(人とのつながりから愛に包まれた幸福感)
●「ドーパミン的幸福」:お金・成功
(ドキドキするような高揚を伴う幸福感)
P21

そして、これを積み上げる順番として「セロトニン的幸福」→「オキシトシン的幸福」→「ドーパミン的幸福」が重要とのこと(『幸せの三段重理論』)。

結局、心と体の健康や、つながり・愛がなければ、成功・お金があっても、それを味わうことは難しいからです。マズローの欲求五段階説(生理的欲求→安全欲求→社会的欲求→承認欲求→自己実現欲求)にも似ていますね。

■「3つの幸福」を手に入れる方法
そして、前半で「3つの幸福」を定義した上で、第4~6章では、それぞれの幸福をて入れる方法を7つずつ紹介しています。以下、本書よりご紹介させていただきます。

●セロトニン的幸福を手に入れる7つの方法
1,睡眠・運動・朝散歩
2,気付く(今日も天気がよい)
3,病気を予防する(健康は失って初めて気づく)
4,「今」にフォーカスする(過去を考えると落ちこみ、未来を考えると不安になる)
5,自己洞察力を高める(自分の体調や感情に気づかない人も少なくない)
6,3行ポジティブ日記を書く(ポジティブ心理学の研究より)
7,緩急をつける(急速でなく「充電」と考える)

●オキシトシン的幸福を手に入れる7つの方法
1,つながる(スキンシップは大事)
2,孤独を解消する(自分を中心に円(コミュニティ)を構築する)
3,人間関係を整える
4,親切にする(親切日記を書く)
5,感謝する(感謝日記を書く)
6,動物、植物を育てる
7,他人を信頼する

●ドーパミン的幸福を手に入れる7つの方法
1,お金や物に「感謝」する(ドーパミンは依存性がある)
2,制限する(飲酒量、ゲーム時間、スマホ時間など)
3,毎日の自己成長を味わう(プチ成長を認め、祝う)
4,コンフォートゾーンを出る(ストレッチさせる)
5,自己肯定感を高める(安定した人間関係と成功体験)
6,与える(与える人ほど成功する)
7,天職を見つける(ライスワーク:生活の仕事→ライクワーク:適職→ライフワーク:天職

ちなみに、『第7章 人生が変わる「お金」「遊び」「食」の習慣』という章がありましたが、個人的には、この部分がとても参考になりました。お金も上手に使わないとなあ、などと思いました。

■読んでみた感想

本書の立ち位置は「幸福論」という哲学書でもなければ、「幸福を科学する」ように幸せに関わる脳内物質を厳密に調査・研究した結果を論じるものでもありません。あくまでも「科学を参考とした幸せの実用書」を目指して書かれた、とのことでした。

「幸せは興味あるけどさ、いつ・何をすればいいの??」に対して、明確な指針を示しているため、読者が、ベイビーステップとして「まずこれをやってみよう・意識してみよう」と思える構成になっているところが「まさに実用書」と感じる一冊でした。

また自分自身が幸せを感じる行動、たとえば「ランニングをすると幸せになる(セロトニン)」「子どもと触れ合っていると幸せになる(オキシトシン)」「メルマガ(note)にまとめると達成感を感じる(ドーパミン)」など。
幸福感のそれぞれの違いを、本書で定義する「3つの幸福」の観点で分けられた感覚が面白かったです。
「幸せ」をより感じたい人に、おすすめの実用書でございます。

最後までお読み頂き、ありがとうございました!

※本日のメルマガは「note」にも、図表付きでより詳しく掲載しています。よろしければぜひご覧ください。

<noteの記事はこちら>

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