テレワークでは「感謝」のやりとりが減少する?! ~読書レビュー『感謝と称賛』#4~
(本日のお話 1663字/読了時間2分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日は10kmのランニング。
台風の影響があまりないうちに走りましたが、その後竜巻や停電などがあり、
やっぱり悪天候の日は少し控えたほうがいいのかな、、、と思った次第です。
(天候的には涼しくて気持ち良いのですが)
*
さて、本日のお話です。
先日よりご紹介している『感謝と称賛』(正木郁太郎 (著))の書籍について、本日も引き続きレビューをしたいと思います。
今回のお話は、「テレワークにおける感謝の影響」です。
繰り返しになりますが、「感謝」は、良好な人間関係、向社会行動などポジティブな影響をもたらすことが先行研究からわかっています。
そして、今となっては通常となったテレワーク。対面とテレワークの違いを挙げるのであれば、テレワークではインフォーマルなコミュニケーションが少なくなる傾向があるようです。そして、「感謝」もインフォーマルなコミュニケーションの一つと考えられます。
・・・と、考えたときに「テレワークでは"感謝"の量も少なくなるのではないか?」という仮説を立て検証した、というのが本章の内容となります。
ということで早速みてまいりましょう!
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<目次>
・「感謝のメッセージ」のログを分析
・調査の結果、わかったこと
(1)テレワークでは「感謝」のやりとりの量が減った
(2)同期間での「感謝」のやりとりの量が減った
・考察と感想
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■「感謝のメッセージ」のログを分析
本研究ですが、コロナ禍の影響を受け,テレワークに大きく舵を切った2019年と2020年における調査です。調査対象は、あるインターネット企業です。
調査対象のインターネット企業では、「感謝のメッセージ(感謝を一か月に一通まで、誰かに送ることができる)」という施策が行われていました。あくまでも任意な施策であり、強制ではありません。
その感謝のメッセージの施策について、2019年(テレワーク前)と2020年(テレワーク後)ではに「感謝のメッセージ」のやりとりの量に影響があるのではないか? と仮説を立てたのでした。
特に、「同期の中での感謝のやりとりが減る」(対面でのインフォーマルなやりとりが想定されるため,テレワークになると少なくなる可能性があるのでは?)、そして「部署間による感謝のやりとりが減る(部署を跨いだインフォーマルなコミュニケーションが減るのでは?)という仮説を立てて,検証をしたのでした。
■調査の結果、わかったこと
◯(1)テレワークでは「感謝」のやりとりの量が減った
まず、2019年に比べて、テレワークとなった2020年を見てみると、「感謝のメッセージ」の送受信の量が減っていることがわかりました。
テレワークだと、フォーマルなやりとり(仕事上の必要なやりとり)のみになり、お互いにインフォーマルなやり取りが少なくなり、感謝の機会(感謝する機会・ありがたい行動を見つける機会)も少なくなるのかもしれません。
◯(2)同期間での「感謝」のやりとりの量が減った
次に、2019年入社の新入社員(テレワーク前)、2020年入社の新入社員(テレワーク)で、「感謝のメッセージ」の送受信数がどのように変わっていたのかを検証しました。
その結果、2019年と2020年において、同期以外と比べて、同期間の感謝のメッセージのやりとりが”より少なくなっていたことがわかりました。
ちなみに、「部門内」と「部門間」での感謝のやりとりでは、予想に反して「部門”内”の感謝のやりとりのほうが、より減った」という逆の結果になりました。
■考察と感想
シンプルな調査ですが、テレワークにおいては「感謝」のやり取りが少なくなっていることがわかりました。
感謝は「ありがたい」と思った結果生まれる行動の一つでもあります。
ゆえに、テレワークで「感謝のやり取りが減った」≒「社内の対人支援が少なくなっている可能性」が示唆されます。
対人支援には、業務的な支援、精神的な支援、振り返りなどの内省支援などがありますが、これらの支援は、個人の成長を促し、また組織への愛着を高める効果もある大事な行動です。
テレワークでは、こうした支援の機会も少なくなる可能性を理解し、その上で施策を考えることが求められるのかもしれません。
「テレワークでコミュニケーションが減っている」といっても、「どのようなコミュニケーションが減っているのか」「その結果、何が失われているのか」をより細かく定義することも大事だと感じた次第です。
最後までお読み頂き、ありがとうございました!
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