8つの質問で「強みの認識度」がわかる?! ー日本語版「強み認識尺度」ー
(本日のお話 1395/読了時間2分)
■こんにちは。紀藤です。
さて現在、私は「福島128kmマラソン」を走っている最中(のはず)です。
(よって、この投稿は9/15の予約投稿です)
無事完走できることを願いつつ。
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さて、本日のお話です。
今日は久しぶりの「強み論文」シリーズです。
本日は「強みの認識尺度の開発」についての、以下の論文をご紹介いたします。
「強み」というと、強み研究の界隈(?)では「性格特性的な強み」に偏重しており、バランスが良くないよね・・・という指摘があったそうですが、より大きな視点で「その人が自分の強みを認識しているか」を明らかにする質問項目となっています。
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<今回ご紹介の論文>
高橋誠, and 森本哲介. (2015). “日本語版強み活用感尺度 (SUS) 作成と信頼性・妥当性の検討.” 感情心理学研究 22 (2): 94–99.
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■論文のポイント
・これまでの強みに関する研究は、強みの定義や、個人が備えている性格特性的な強みの保有度を測定する知見に偏重している点が批判されていた(Govindji&Linley,2007)。
・この点について、「強み全体」としてどのように個々人が強みを認識しているのかを検討する「強み認識尺度(Strength Knowledge Scale:SKS)」を開発することとした。
・関東圏内の4つの大学の学生421名を対象とし、調査を行ったところSKSは8つの質問項目で、高い信頼性・妥当性が得られた。
・SKSは、「自己の強みの認識」によって、精神的健康や心理社会的要因にどのように影響しているのか、詳細な検討を行うことを可能にするものである。
とのことです。では具体的に内容をみてまいりましょう。
■「強みの認識尺度」の8つの質問項目
さて、「強みの認識尺度(SKS)」とはどのような項目なのでしょうか。
論文に紹介されていましたので、以下引用させていただきます。
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<日本語版「強み認識尺度」>
1,自分の強み(長所)をよく知っている
2、自分の強み(長所)が何なのか気づいている
3,自分がうまくやれることが何なのか気づいている
4,自分が一番得意なことが何なのかを知っている
5,自分は何を一番うまくやれるかを知っている
6,自分がどんな時に一番ちからを発揮できるか知っている
7,自分の強み(長所)が何なのか、よく考えないとわからない(*)
8,周りの人は、私の強み(長所)を把握している
※(*)は逆転項目
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■「強み認識尺度」についてわかったこと
本調査では、学生421名に対して調査をして、他の心理尺度との相関を含めていくつかの調査を行いました。その結果、以下のようなことがわかりました。
・天井効果・床効果はなし
・性差は見られなかった
・同一対象者(n=57)n4週間の期間を隔てた得点も有意な相関があった
・他の心理尺度(人生満足度、自尊感情、人格特性的自己効力感)はすべて有意な中程度の正の相関が見られた
■まとめと個人的感想
このような尺度が開発されることで「強みに対する介入」(たとえばストレングス・ファインダーの研修など)で、効果測定を行う際に役立てることもできそうですし、それらが自己効力感や他の尺度とどのような関連があるのかも研究するのに役立つと感じます。
また、本論文の背景にもある通り、たしかに「強み=性格特性的な強み」となっているところがあります。しかし、実際はそれだけではないので、そうした「全体としての強み」をもっと要素ごとに理解し、繋がりを整理し、高めることができる介入方法なども検討したいものだ、と思った次第です。
最後までお読み頂き、ありがとうございました!
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