おすすめの一冊『人事・教育担当者のための 能力開発・教育体系ハンドブック』
(本日のお話 2356文字/読了時間3分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日は、午前中読書&お仕事をして、
午後から家族で自転車に乗って公園めぐり。
また夜は3kmのランニングでした。
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さて、本日のお話です。
毎週日曜日は、おすすめの一冊をご紹介するコーナーです。
本日ご紹介の本は、特に「人事・教育担当者」におすすめしたい一冊です。
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<今週の一冊>
『人事・教育担当者のための 能力開発・教育体系ハンドブック』
海瀬 章 (著), 市ノ川 一夫 (著)
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本の中には、多くの人を対象とした一般向けの本と、限られた一部の人を対象とした専門的な書籍がありますが、今回の書籍は、いわずもがな後者です。
特に、「能力開発・教育体系づくり」に初めて関わる方にとっては、とても丁寧に解説されている、有用な一冊だと感じさせられました。
それでは、早速まいりましょう!
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<目次>
「教育体系づくりの地図」を示した本
「教育体系づくり」の押さえるポイント
「教育体系づくり」の策定手順
「教育体系図」の例
まとめと感想
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■教育体系ってどうやってつくるの?
しばしば、こんな相談を人事の方からいただくことがあります。
「社内で、教育体系を見直したいと思っているのですが、他社はどのように行っているのでしょうか?」
要は、「そもそも、どうつくるんだ??」ということです。
これまで会社において教育体系(研修等)は以前から続いているものを踏襲していた。とはいえ、このままでよいのだろうか? 時代に合わせて変えていく必要があるのではないか?
そんなニーズが顕在化したとき「教育体系の見直し」を、ミッションとして発生します。その際に、上記のような質問をいただきます。
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考えてみればその通りですが「教育体系の見直し」という仕事は、そう頻繁に発生するものでもありません。しかも割とマニアック。ゆえに、何を手がかりにすればいいのか、よくわからないのです。
そんな中で、本書は「初めての方でも、自力で能力開発・教育体系を作ることができる」をコンセプトに作られた書籍です。
教育体系をつくるための全体の流れ、具体的なワークシートまで、大変丁寧に紹介されており、これに沿って進めていけば、完成させることができる一冊です。
まさに「教育体系づくりの地図」を示された本だと感じます。
■「教育体系づくり」の押さえるポイント
では具体的に「どのように教育体系づくり」を行うのか?
本書ではまず、教育体系づくりのために抑えるいくつかのポイントがあると述べています。まず始めが「望ましい教育体系作りに必要なこと」です。
そのためには以下2点を抑えることと述べています。
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<望ましい教育体系づくりに必要なこと>
1,「長期的人材育成システム」を作成する
2,「求められる人材像」の実現を図る
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そして、その上で、部分最適ではなく”経営戦略~現場までを考慮した「トータルシステムとしての人材育成」”を考える必要があるとして、以下の5つのポイントを抑えることも重要であるといいます。
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<トータルシステムで人材育成を考える5つのポイント>
1)経営戦略・方針/経営計画との連動を図る
2)人材育成方針にもどつく能力開発・教育体系の整備
3)職場の人材育成支援の強化
4)教育における社会的責任の遂行
5)自己啓発の促進
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そして、次にどこまでを「教育体系の構築・見直しでやればよいか?」という点です。「教育体系図」の作成のゴールとは、以下の4つの教育体系の項目を明確にすることである、と述べてます。
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<教育体系図の4つの構成要素>
1,人材育成方針
2,期待する人材像
3,期待する役割・能力体系
4,教育体系内容
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つまり、「教育体系づくり」で大事なのは、細かい研修企画や制度の前に、それを一貫させるためのストーリー作り、となると言えそうです。
これが決まれば、具体的な研修なども、パッチワークではなく、アライメントを取ることができるようになります。。
■「教育体系づくり」の策定手順
では、具体的に、教育体制は何を、どのような手順で、どれくらいの時間をかけて、何を行えばよいのでしょうか?
以下が大まかな流れとなります。
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<教育体系づくりの策定手順(概要)>
・手順1:現状確認(1ヶ月間)
・手順2:教育調査(2~3ヶ月間)
・手順3:教育体系の構想(2~3ヶ月間)
・手順4:教育体系の詳細設計(2ヶ月間)
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そして、上記に紐づいて「現状確認」で何を確認すべきなのか、「教育調査」とは何を行うべきなのか、「教育体系の構造」とは何を明確にすることなのか、などが詳細に記述されています。
■「教育体系図」の例
そして、本書では、ゴールとしての一般的な「教育体系図のパターン」をいくつか示しており、また経営に対しての「教育体系報告書」についてもその例を示されています。
よって、そのプロセスの入口から出口までが具体的にイメージしやすい形となっています。
■まとめと感想
本書の特に素晴らしい点は、「進め方の全体像」→「具体的なアウトプットイメージ(事例)」→「アクションするためのワークシート」が、すべて揃っていることです。
まるで説明書のように、一つずつ丁寧にやっていけば、基本的には本書のコンセプト通り「自力で教育体系の構築ができる」形となっています。それくらい丁寧に解説されているところが、一番の魅力だと感じました。
もちろん、こうしたものは「合意を取るプロセス」「巻き込むプロセス」にこそ難しさがあるため、その部分については努力が必要になることもあるでしょう。
あるいは、現在は「人材開発」との体系化というのも、従業員の多様化により、少し以前の時代の考え方にもなっているという側面もあるようにかじられます。現在は、「事業部ごとの組織開発」など、体系として組み込みづらいニーズも増えているからです。
とはいえ、こうした基本的な考えの一つの道しるべを示していただいている点はとても有用かつ、ありがたい一冊だと感じた次第です。
最後までお読み頂き、ありがとうございました!
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