性格の強みを測定する、簡単な24の質問
(本日のお話 3150文字/読了時間5分)
■こんにちは。紀藤です。
皆さま、三連休はいかがお過ごしでしたでしょうか。
私は家族含め、ゆるりとした時間を過ごしておりました。
また昨日は朝6時半から20kmのランニング→昼寝→子どもと公園と、
非常に健康的な1日でございました。
一点懸念があるとすると、
沖縄で買った中古車(16万円)が半年にてエアコンが壊れ、
激暑の車内になってしまったこと・・・(汗)
応急処置も聞かなくなったため、
修理代が10万円以上かかるという、なんとも本末転倒な感じです。
安かろう、悪かろう、というやつでしょうか。
勉強になりました。
*
さて、本日のお話です。
本日は「強み」に関する論文のご紹介です。
しばしお休みしておりましたが、改めて「強み論文ノック:リターンズ」を再開したいと思います。
本日の論文は「性格的強みを測定できる簡単な質問票」を開発した、日本の論文です。「24の質問」で自分の性格的強みがわかるという、非常に興味深い内容です。ということで、早速みてまいりましょう!
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<本日ご紹介の論文>
Development and validation of the Character Strengths Test 24 (CST24): a brief measure of 24 character strengths(『性格的強さテスト24 (CST24) の開発と妥当性の検証:24の性格的強さの簡易測定』)
Satoshi Shimai, Yu Urata(2023)、BMC Psychology
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<目次>
・研究の背景
・「性格的強み」を測定する24の質問
・本論文の研究内容
研究1:CST24のテスト開発と評価
研究2:CST24の因子構造と妥当性を確認
研究3:CSTの有用性を、様々な心理尺度で評価
・まとめと個人的感想
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■研究の背景
性格的強み(Character Strengths)で有名なものは、『VIA-IS』です。
こちらで、誰もが無料で診断できるため、とても便利なのですが、そのデータは米国にあり、日本語版の著作権も米国VIA研究所にあるため手軽に利用することが難しい、というデメリットがありました。
さらにはVIA-ISは「240問」という大量の質問に答えなければなりません。
20~30分も答え続けるのもなかなか大変です。。。
ということで、「24の質問」で、性格的強みを簡単に測定できるツール「Character Strengths Test 24 (CST24)」を開発し、その妥当性を検証することを目的しました。
■「性格の強み」を測定する24の質問
では、具体的に「CST24」とはどういう内容なのでしょうか。
以下、VIA-ISの翻訳にも携わった研究者らによって作成された内容となっており、日本での実用性が高いものとなっている、とされています。
以下、論文より引用いたします。
(ここから)
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< Character Strengths Test 24(CST24) 日本語版質問票>
{やり方}
自分にどれくらいそういうところがあるかを考え、「1:まったくあてはまらない~7:非常によくあてはまる」で回答します。
{質問内容}
1. 独創性:わたしは、新しい見方や考え方を思いつき、独自の方法で解決につなげます
2. 好奇心:わたしは、新しいものが好きで、新しい人と出会ったり、新しい経験をしたいと思っています
3. 判断力:わたしは、ものごとをいろいろな側面から検討し、よく吟味した根拠をもって結論を下します
4. 向学心:わたしは、自分の知識や経験を深めたいと考えて、新しいことを学ぼうと熱心に努力します
5. 見通し:わたしは、ものごとのの流れや大筋をよくとらえていて、他の人から相談されることも多いです
6. 勇気:わたしは、さまざまな困難を真正面からとらえ、怖がったりしりごみしないで挑戦します
7. 勤勉性:わたしは、障害があったとしても、やり始めたことを完成するまでやり続けることができます
8. 正直:わたしは、まじめで信頼されており、どんなときにも嘘をつくことはありません
9. 熱意:わたしは、人生と日常生活に熱心で、いつも全力でエネルギッシュに活動します
10. 親密性:わたしは、温かくて他の人に寄り添うことのでき、他の人からも好かれています
11. 親切心:わたしは、他の人の面倒をみてあげて、何かしてあげたいという気持ちに満ち溢れています
12. 社会的知能:わたしは、その場の流れや人の気持ちによく気がつき、先回りして行動することができます
13. 忠誠心:わたしは、グループのメンバーと協力して、チームのために働き、積極的に責任を果たします
14. 公平性:わたしは、平等に機会があることが大切だと思い、みんなに同じように接します
15. リーダーシップ:わたしは、誰かに従うより、自分がリ-ダーとしてみんなのために働くのが得意です
16. 寛容性:わたしは、理不尽な扱いを受け流すことができ、他人の失敗を許すことができます
17. 謙虚:わたしは、自分の足りないところを認め、自分よりも他の人の成功を喜ぶほうです
18. 思慮深さ:わたしは、あとで後悔しないように、慎重に計画し、十分に注意深く準備します
19. 自己制御:わたしは、とても自制心があり、自分の感情や行動をコントロールして、平静で落ち着いています
20. 審美心:わたしは、美しいものや素晴らしいものを見つけて、それに心打たれて感激することが多いです
21. 感謝心:わたしは、人生の良い出来事を当たり前とは思わず、ありがたく感じその気持ちを伝えます
22. 希望:わたしは、望みがかなうことを期待し、それを信じて楽しく励むことができます
23. ユーモア:わたしは、人を笑わせるのが好きで、落ち込んだ雰囲気をなごませて楽しくすることができます
24. 精神性:わたしは、人生には大切な意味があると信じており、それに従って行動します
<詳細はこちら>
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(ここまで)
こちらは、VIA-ISとの相関は確かめられてはいません。
しかし、概念としては同様のものを扱っています。これくらいの質問量であれば、簡単に答えられそうなので、実用性が高そうですね・・・!
■本論文の研究内容
こちらのCST24について、その信頼性・妥当性を確かめるために、3つの調査を行いました。以下、研究内容をご紹介いたします。
◯研究1:CST24のテスト開発と評価
{研究の内容}
・846人の成人を対象にし、CST24の評価を含めた、テスト開発を行いました。
{結果}
・CST24の項目は良好な回答パターンを示し、再試験の信頼性と、内的一貫性を示しました。また、主観的幸福感、人生の意義、セルフコンパッション、強みの知識と活用に正の相関が見られました。
◯研究2:CST24の因子構造と妥当性を確認
{研究の内容}
・高校生 1137名と大学生1101名を対象に、 CST24の因子構造を調べるとともに、幸福感尺度と人生の意味尺度を用いてその妥当性を再確認することを目的としました。
{結果}
・因子構造を分析した結果、6つの因子に分かれることが確認されました。これは他の大規模な(性格的強みの)尺度と一致していました。
◯研究3:CSTの有用性を、様々な心理尺度で評価
{研究の内容}
・524名の社会人を対象に、今後の研究の可能性を探求しました。具体的には、CST24の有用性を評価するために、価値志向・道徳的基盤・仕事関連尺度などを組み込みました。
{結果}
・重回帰分析によって、幸福感、価値志向、道徳的基盤、使命感、仕事に関連する指標に寄与する特定の強みが明らかになりました。
■まとめと個人的感想
VIA-ISの240の質問より精度が低いこと、またVIA-ISとの関連は示されていないとされていますが、こうした実用性に焦点を当てた尺度が開発されることで、もっと多くの人が強みに目を向ける機会になる、とても有意義な研究だと感じました。
また、他の強みの概念も、ストレングスファインダーやStrengths Profileなどもあるので、概念間での境界がより明確になる分け方があり、それぞれが自分の強みを認識できるようになると、さらに強みの自己認識が加速思想だな、、、と思った次第です。このあたりは、私も探求をしていきたいと思います。
最後までお読み頂き、ありがとうございました!
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