強みを活かすための鍵は「10分間の目標設定」にある
(本日のお話 2680文字/読了時間4分)
■こんにちは。紀藤です。
引き続き沖縄に来ております。
昨日は、2件のアポイント。
夜は、新しいコーチングの理論を学ぶセミナー(学ぶほう)でした。
通っている「出版ゼミ」にて、ようやく「企画書」と「はじめに」の完成の目処が立ちました。
10日後にある、編集者の方があつまるプレゼン大会で、「ぜひ出版を検討したい」といってもらえれば、まずは一歩進む形になります。
強みの論文を読む中で、もっとこういうのが知られたらいいのになあ、、、と
遠い目で感じる自分がいたので、この機会を良い形に繋げられたな、と思っています。
やれるだけやってみようと思います。
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さて、本日のお話です。
本日も「強み」に関する論文をご紹介いたします。
本日ご紹介の論文は、アメリカの製造業にて行った「強みの活用の効果を高める介入」を研究した内容です。
大変シンプルな研究ですが、強みの活用の計画を立てる上で「目標設定の大切さ」を伝えたところ、実際に目標の設定数が伸びた、という内容になっています。ノースセントラル大学の博士過程の論文ですが、興味深い内容でした。
ということで、早速内容をみてまいりましょう!
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<本日ご紹介の論文>
An Investigation of the Efficacy of the Using Your Signature Strengths in a New Way to Enhance Strengths Use in Work Settings
「特徴的な強みを新たな方法で活用し、職場における強みの使用を強化するための有効性の調査」
Benjamin L. Butina(2016)
This is a dissertation submitted to Northcentral University, Prescott Valley, Arizona,
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<目次>
・強み活用を成功させるため必要なものとは
・本研究の内容
『構造化されたフィードバック』とは
「目標設定理論」は機能するのか
・研究の結果
わかったこと:構造化されたフィードバックによって、「目標設定数」と「強みの使用」が増えた
・まとめと個人的感想
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■強み活用を成功させるため必要なものとは
職場における強みの活用は、従業員の幸福度、組織の効果性の向上と関連をしています。
本研究では、強みの使用(Strengths Use)を増やすための有名な方法である「特徴的な強みを新たな方法で使う(Using Your Signature Strengths in a New Way:以下UYSSNWエクササイズ)」の演習の有効性を確認する実験を行いました。
この『UYSSNWエクササイズ』とは、
(a)個人の性格の強みプロファイルの評価であるVIA-ISに記入する
(b)自分の特徴的強みを確認する(TOP5の強み)
(c)1週間毎日新しい方法で自分の特徴的強みの使用を試みる
(Mongrain & Anselmo-Matthews, 2012)。
という強み活用のための介入エクササイズです。
これを行うことが、幸福度や抑うつにプラスの影響を与えるというポジティブ心理学介入の代表体な先行研究となっています。
そして、今回はその先行研究を、より拡張する形で調査を行いました。
■本研究の内容
さて、では具体的にどのような研究を行ったのでしょうか?
今回の対象者は、アメリカの製造業で働く69名のグループです。
このグループを、実験群と対照群に分けました。
そして、実験群には「UYSSNWエクササイズの実施と『構造化されたフィードバック』」をメールで伝え、対照群には「UYSSNWエクササイズの実施」をメールで伝えました。
◯『構造化されたフィードバック』とは
ちなみに、ここでいう『構造化されたフィードバック』とは、以下の3つの内容を含む10分間のビデオ視聴のことです。
<構造化されたフィードバックの内容>
1)秘密保持の保証をする
2)評価結果の説明を行うこと
3)特徴的な強みの重要性の説明をする
4)強みの使用を増やすための、明確で具体的な目標設定のガイダンスを提示する
実験群には、メールでUYSSNWエクササイズの案内とともに、『構造化されたフィードバック』のビデオも送り、見てもらうようにしました。
◯「目標設定理論」は機能するのか
さて、この構造化されたフィードバックを行った理由は、「目標設定」の有効性を確認するためのものでした。
これも言われてみればそうだよな、という話ですが、「具体的な目標を設定したほうが研修転移が起こりやすい」ことや「設定した目標の数が多いほど、コンピテンシーの向上が大きい(と本人が判断する)」傾向があることがわかっています。
とはいえ、丁寧に目標設定をマンツーマンで行うことも難しいところです。よって、「10分のビデオ映像」で、「特徴的な強みがなぜ重要なのか?」「目標設定をどのように行えばよいのか?」を流すことで、時間的な制約もない中で、目標設定等に影響があるのかを検討した、となります。
■研究の結果
さて、では研究の結果、どのようなことがわかったのでしょうか。
以下わかったことをまとめます。
◯わかったこと:構造化されたフィードバックによって、「目標設定数」と「強みの使用」が増えた
量的実験的研究デザインを行い、実験終了後にウェブベースでのアンケートで、「強みの使用」「目標設定数」を回答してもらいました。効果は「中程度」となりましたが、このことにより構造化されたフィードバックにより、「UYSSNWエクササイズ」の効果が高まることがわかりました。
■まとめと個人的感想
シンプルな実験ですが、「目標設定は大事」ということですね。
そしてふと思えば「強み」に関しての博士論文などを読むことがなかったのですが、強みの歴史や、なぜこの課題に注目したのか、などが丁寧に書かれており興味深かったです。
最後までお読み頂き、ありがとうございました!
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