31の研究が明かす「ベスト・ポッシブ・セルフ(最高の自己)エクササイズ」の効果とは?
(本日のお話 1815文字/読了時間2分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日日曜日は、沖縄にて、朝から21kmのランニング。
その他、高熱なのにやたら元気な子どもとトミカで遊びつつ、読書などでした。
市場で購入したパパイヤが、銀杏くさくて、子どもが「食べたくない」と頑だったのが印象的でした。
パパイヤは銀杏のニオイがするんですね。。。
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さて、本日のお話です。
本日も「強み」に関連する論文について、ご紹介いたします。
先日、「ベスト・ポッシブ・セルフ(BPS)」という楽観性を高めるポジティブ心理学の介入をご紹介いたしましたが、今回は、2018年に発表された、BPSの30の研究に対するレビュー論文となります。
さて、総合的に、このBPSは効果がある介入と言えるのでしょうか。
それでは早速、見てまいりたいと思います!
※ベスト・ポッシブ・セルフについては<こちらの記事>をご参考ください
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<目次>
今回ご紹介の論文
論文の概要
レビュー論文の研究カテゴリ
(1)相関研究
(2)成果変数
(3)トラウマの比較
(4)デリバリー方法の違い
(5)ポートフォリオ研究
(6)調整変数
まとめと個人的感想
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<今回ご紹介の論文>
The Best Possible Selves Intervention: A Review of the Literature to Evaluate Efficacy and Guide Future Research(最高の自己介入: 有効性を評価し今後の研究を導くための文献レビュー)
Journal of Happiness Studies, 2018年
Paula M. Loveday, Christian M. Jones
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■論文の概要
・2001年の研究の開始以来、「ベスト・ポッシブ・セルフ(BPS)」は30以上の研究がされており、楽観主義、ポジティブ感情、健康、幸福感を高める介入であることが示されてきました。
・この論文では、現存するBPS介入に関連する研究を、エビデンスの種類と研究課題ごとに分類をし、BPSの有効性を評価し、今後の研究の方向性を示唆することを目的とした。
・まず、BPS研究を入手するため、論文検索において、該当する条件を設定し、論文を絞り込んだ(例:英語で入手可能、査読付き論文である等)。その結果、合計31の研究(対象者4616人)がレビューに含まれた。
・すべての研究を総じてみたところ、BPSは、ポジティブな感情、楽観主義、幸福感、健康面での改善が報告されている。特に、繰り返し行うことでその効果が増大し、オンラインや対面での実施が可能であることが確認された。
■レビュー論文の研究カテゴリ
さて、31の研究を分類した結果、複数の研究カテゴリーにわかれることがわかりました。簡単に論文の内容をまとめてみます。
(1)相関研究
・人生満足度や、主観的幸福感との相関を測定した研究。
・主観的幸福感等、さまざまな肯定的な心理尺度と正との関連があることが示唆された。
(2)成果変数
・肯定的な結果を誘発するために使用できるかの研究。
・楽観主義を誘導することに使用できることが示唆された。
(3)トラウマの比較
・BPS介入の起源として、トラウマ的な出来事について書くことが、個人にとって有益な効果をもたらすことが研究で示されていた。
・BPS介入群とトラウマ群でわけて調査した結果だと、感情処理(感情を理解しようとする努力)が低い群では、BPS群のほうが抑うつ症状等に効果を示すことがわかった。
(4)デリバリー方法の違い
・BPS群実験では「対面かオンラインか」、「手書き」「話す」「絵に書く」等様々なデリバリ-方法(実施方法)の違いがある。
・様々なデリバリー方法でも、同様に肯定的な結果が得られる頑健なツールであることが示された。
(5)ポートフォリオ研究
・BPSをポジティブ心理学の8つの介入の選択肢の1つとする研究がある(他、目標追跡、親切日記、感謝の手紙、祝福を数える、個人の強み)。
・その中で、BPSは他の介入方法に比べて人気がなかった。また、BPSの結果は個別に報告されていないため、結果の比較はできない。
(6)調整変数
・BPSのようなポジティブな活動を研究する上で、「活動の特徴」「人物の特徴」「人物と活動の適合度」などが調整要因となることが示されている。
・研究jによると、BPSを自主的に行う人は効果が持続しやすく、また文化的要因では、英米人はアジア系米国人に比べてBPS後の人生満足度が高いことがわかった。
■まとめと個人的感想
ベスト・ポッシブ・セルフも2001年~2016年まで、31件もの査読論文が出されていることに驚きました。また、それらをの結果、BPSは総じて「頑健な効果があるポジティブ心理学介入の1つである」と述べられており、改めて関心が高まりました。
ミッション、ビジョンなどというと、何となく曖昧なものも、「目標設定理論」や「自己決定理論」などの他の理論とも繋がっているようで、こうした様々な研究の視点から効果が検証されると、実践にもつながるものになっていくのですね。
最後までお読み頂き、ありがとうございました!
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