おすすめの一冊『科学的根拠に基づく最高の勉強法』
(本日のお話 3122文字/読了時間3分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日土曜日は、午前中はコーチング(受ける方)にて、
自分のビジョンの刷新を行っていました。
また途中で家族でららぽーとにおでかけし、
子どもにトミカ(ハンバーガ&ポテトカー)を購入しました。
都度都度買っていたら、トミカほとんど全種類揃ってしまいました(トミカの戦略すごし・・・)。
午後からは、自分が修了した大学院の修士論文に相当するものの、
フィードバック会に参加しておりました。
この時期、大変なのですが、皆さんの追い込みを祈念しつつ、
自分も刺激をもらった時間でした。
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さて、本日のお話です。
毎週日曜日は、おすすめの本を紹介するコーナー。今週の書籍は、「勉強法」がテーマの本です。
米国医師国家試験を上位1%で合格したという著者が、どのように勉強をするとよいのかを、論文データを元にポイントをまとめた本で、大変説得力がある一冊でした。早速内容を見てまいりましょう。
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<今週の一冊>
科学的根拠に基づく最高の勉強法
安川 康介 (著)/KADOKAWA
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<目次>
科学的に効果が高くない勉強法
科学的に効果が高い勉強法
アクティブ・リコール
分散学習
精緻的質問
自己説明
インターリービング
その他の勉強法
まとめと感想
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■科学的に効果が高くない勉強法
本書の第一章では、よく使われている勉強法で、実は効果が高くないものを紹介しています。
科学的に効果が高くない勉強法の代表は、「繰り返し読む」「ノートに書き写す・まとめる」「ハイライトや下線を引く」、だそうです。
たとえば「繰り返し読む」では、4回読んだ学生と、2回読んだ学生で、ほとんど点数が変わらなかったとのことで、短期的には効果はあるかもしれないけれども、長期的には効果がないとされます。
しかし、ついやってしまうのは『流暢性の錯覚』というのがはたらくからだそうです。流暢性の錯覚は、慣れた情報はスラスラ読めるようになるのですが、そうすると覚えた気になってしまうという幻想です。しかし、本当に意味では理解されていません。
勉強に大事なのは、ある程度、自分に負荷をかけること(=「望ましい困難」)とのことで、科学的に効果が高い勉強法は、望ましい困難を自分に書ける方法とも言えます。
ノートに書き写す、ハイライトや下線を引く、なども勉強した気になるものの、脳への負荷はあまり高くなく、効果が少ないようです。
■科学的に効果が高い勉強法
では、科学的に効果が高い勉強法とはどのようなものなのでしょうか。
以下、本書で紹介されていたものを、いくつかまとめます。
○アクティブ・リコール
アクティブ・リコールとは「勉強したことや覚えたいことを、能動的に思い出すこと、記憶から引き出すこと」です。
例えば、練習問題や過去問を解く、模試を受ける、暗記カードを使う、紙に書き出す、学んだことを誰かに教える、などです。
その中でも著者は「白紙に学んだことを、ブツブツと誰かに教えるふりをしながら、書き出す」という勉強法を勧めています。
誰かに教えることで自分自身の学びになることを『プロテジェ効果』と呼び、効果があることが示されています。また黙読しながらよりも、書き出したり声に出したほうが記憶に残ることを『プロダクション効果』と呼ばれています。この2つの効果を、一人でできる勉強法と言えそうです。
多くの場合、このようなアウトプットを中心とした方法をすると、全然覚えられていない自分に向き合うことになるので「全然覚えていないじゃん、いやだなあ・・・」と思ってしまいます。
しかし、実はこの状態が一番学びになっているそうです。ここは自分の体感覚とズレがあるのですが、この感覚に負けずに勉強するのがポイントになるようです。
○分散学習
分散学習とは「時間をあけて勉強すること」です。研究では、時間を分散して勉強するほうが長期的な記憶の定着がよいことが知られています。(一夜漬けで勉強する方法は、集中学習、と呼ばれます)
同じ3時間勉強するのでも、3時間まとめてよりも、1時間✕3回でやったほうが効果が高い、ということです。この分散学習を検証した研究は、数百以上の論文があるそうです。
そして、「アクティブ・リコール」と「分散学習」が王道の学習方法であり、この2つを組み合わせて行う方法(=分散された想起練習)が、最も学習効果が高いとされています。
○精緻的質問
精緻的質問とは、勉強した内容に対して「なぜそうなっているのか(Why?)」と「どのようにそうなっているのか?(How)」を自分自身に質問していく勉強法です。
つまり、「もう少し詳しく説明して下さい」という問いを自分自身に対してツッコミしながら深めていくわけです。
たとえば、レストランであるミシュランの三つ星の「ミシュラン」は、タイヤメーカーです。なぜタイヤメーカーなのに、レストランの評価をするのか? そしてミシュランのマスコットキャラは、なぜタイヤが重なっているのに白いのか?などを問うてみるなどです。
(ちなみに、前者の質問は、昔は自動車で遠くまで移動することはなかったので、遠くに行く「動機づけ」のためレストランガイドを作ったそうですです。「わざわざそのレストランのために、車を走らせて遠くに行く価値があるのが三つ星レストラン」とのこと。
そして、後者の質問は、マスコットキャラが白いのは、昔のタイヤの素材は白かったそうです)
○自己説明
自己説明とは、「何かを学習しているときに、学習者が自分自身に向けて、学習内容や学習過程の理解について説明すること」を指します。
精緻的質問に似ていますが、自己説明のほうがやや範囲が広いそうです。
たとえば、「この情報を自分の言葉で説明してみてください」「この中で理解できなかった点はどこですか?」などです。
○インターリービング
インターリービーングとは「交互に重ねる」という意味の言葉です。
「似ているけれども異なった複数のスキルや勉強のトピックを、交互に学習する勉強法」のことです。
特にこれは、「運動のスキル」「音楽のスキル」にも効果があることがわかっています。(実験では、同じ距離からお手玉を的に向けて投げ続ける練習よりも、2つの距離から交互に投げる練習をしたほうが、正確に投げられる確率が高まったそうです)
つまり、1つのタスクをただ繰り返すのではなく、似たような複数のタスクを混ぜ合わせて行うことが有効である、ということです。
ただし、ある程度理解を深めてから出ないと、効果が出ないというのもあるので、基礎スキルを高めてから行ったほうがよいそうです。
■その他の勉強法
その他『イメージ変換法』や『ストーリー法』という記憶術や(このパートは、内容よりも事例が、ユーモアがあってすごく面白かったです)、『場所法』といって”記憶の置き場所”を決めて行う方法も紹介されていました。
その他には、「勉強のモチベーション」を高める研究として、『自己関連付け効果』という、勉強していることが自分と関連していると考えることや、『アカデミック・セルフコンセプト(学業的自己概念)』というように「自分は数学が得意」という自己概念がモチベーションに影響を与えていることなども紹介されていました。
特に「アカデミック・セルフコンセプト」は、自分は数学ができる!というように、学習の自己効力感に影響するため、IQ以上に影響度が高いそうです。これもフィードバックや進捗を確認することで、向上させることができるそうです。
■まとめと感想
他にも、ここには書ききれませんでしたが、「インプットの場所を変えてみる」という工夫や、「好奇心があるときは、スーパーマリオのスター状態みたいなものなので、突き進め!」という、力強く背中を押してくれる言葉、あるいは「運動や睡眠の重要性」など、研究内容を紹介した難しそうな本なのに、実用的で、あっという間に読めてしまいました。
記憶すること、記憶から引き出すことを中心とした勉強であるものですが、脳は筋肉のように使うほど鍛えられることを感じる内容でした。
そして、大学院前に「読んだ本をひたすら勉強会として誰かに教える」という期間は本当に勉強になりましたし、ピアノの練習も「同じパートだけではなく、色んな練習をしたほうが、技術がのびる」というのも確かに感じますので、納得感もあり、なるほどなあ、と思いました。
学生時代に知っていたら、もっといい大学いけたかもなあ(遠い目・・・)と思いつつ、読んだことで、こうしたテクニックを使って、もう一度真面目に勉強したくなりました。
最後までお読み頂き、ありがとうございました!
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