おすすめの一冊『ザ・マネジャー 人の力を最大化する組織をつくる ボスからコーチへ』
(本日のお話 2756文字/読了時間4分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日土曜日は、沖縄への移動する予定だったのが、
子どもが発熱のため延期となりました(汗)
今日は飛べるとよいな。
また夕方は8kmのランニングでした。
*
さて、本日のお話です。
毎週日曜日は最近読んだ本をご紹介する「おすすめの一冊」コーナー。
本日の一冊は、タイトル通り「マネジャー」のための本です。
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<おすすめの一冊>
ザ・マネジャー 人の力を最大化する組織をつくる ボスからコーチへ
ジム・クリフトン (著), ジム・ハーター (著), 古屋 博子 (翻訳)/日経BP
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ストレングス・ファインダー(クリフトン・ストレングス)やエンゲージメントを始めとした従業員調査で有名な、Gallup社の会長ジム・クリフトン氏と、同社で1000以上の職場研究を主導するジム・ハーター氏により書かれた「マネジャーのための本」です。
多くのデータや論文も紹介されている本でありつつも、本編では具体的な実践のヒントも触れている興味深い著書です。
ということで、早速中身をみてまいりましょう!
■本書の概要
本書の冒頭では、数々のGallupの調査から「組織の成功を左右するものは『マネジャー』である」ことがわかった、と明言します。
そして、このマネジャーが「チームメンバーひとりひとりの可能性を最大限に引き出す」ことが、「人の力を最大化する組織にする」ことに繋がると述べます。
では、実際にマネジャーが何をすべきなのか?
そのことについて、合計5つのテーマ(「戦略を立てる」「組織文化を作る」「採用のためのブランドを確立する」「ボスからコーチへ」「これからの働き方」)にわけて、どんな実践をすればよいのかを、約250ページにわたって解説をします。
主要なメッセージは、時代が変わっているため、マネジャーの考え方を刷新していく必要がある、と述べている点です。まさに副題の「ボスからコーチへ」というメッセージですね。
(また後半180ページは、「巻末資料」として、ギャラップのストレングスファインダーの強みの項目の解説や、エンゲージメントサーベイのQ12の項目や統計データ、また引用論文等について詳しく補足がされています)
以下、本書の目次を引用いたします。
(ここから)
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<目次>
序章 いま世界中の人々が望んでいること
I 戦略を立てる
第1章 CEOやCHROは何を変えるべきか
第2章 なぜ組織変革はこんなにも難しいのか
第3章 リーダーに欠かせない2つの特性
第4章 いくつものチームをまとめ上げる
第5章 優れた意思決定を行う
II 組織文化をつくる
第6章 組織文化とは何か
第7章 なぜ組織文化が重要なのか/第8章 組織文化をどう変革するか
III 採用のためのブランドを確立する
第9章 新時代の労働力を惹きつける
第10章 スター社員を採用する
第11章 採用プロセスを分析し、再設計する
第12章 未来のスター社員の「試合映像」をどこで探すか
第13章 オンボーディングのための5つの質問
第14章 能力開発への近道――「強みに基づく会話」を行う
第15章 クリフトン・ストレングスの歴史
第16章 「強みに基づく組織文化」を構築するための5ステップ
第17章 7つの期待値――コンピテンシー2.0
第18章 後継者の育成を適切に行う
第19章 退職を成功させる
IV ボスからコーチへ
第20章 コーチングの3つの条件
第21章 コーチングの5つの会話/第22章 給与と昇進
第23章 レーティングで生まれる「バイアスの罠」
第24章 バイアスを補正する/第25章 能力開発で従業員の定着率を高める
第26章 職場のための「マネーボール」
第27章 チームリーダーの突破口
第28章 なぜ、従業員エンゲージメント・プログラムが機能しないのか
第29章 「能力開発を重視する組織文化」をつくる
第30章 優れたマネジャーの5つの特性
第31章 どのようにしてマネジャーを育てるか
V これからの働き方
第32章 職場の変化を振り返る
第33章 ダイバーシティ&インクルージョンの3要件/第34章 要件1「私に敬意を払って」/第35章 要件2「私の強みを大事にして」/第36章 要件3「リーダーは正しいことをする」
第37章 働く女性が直面する3つの課題/第38章 課題1 職場での不当な扱い/第39章 課題2 なぜ賃金格差があるのか/第40章 課題3 ワーク・ライフの柔軟性/
第41章 年配社員はお荷物か
第42章 従業員が最も重視している福利厚生とは
第43章 フレックスタイムとハイパフォーマンスを両立させる
第44章 これからのオフィスはどうあるべきか
第45章 いかにして創造性を育むか――イノベーションのマネジメント/
第46章 アジャイルの実現に欠かせないもの
第47章 ギグワーカーの台頭
第48章 ギグワーカーは満足しているのか
第49章 AIがやって来た。さあ、どうする?
第50章 職場はAIにどう備えるべきか
第51章 テクノロジーを人間の本質と融合させる
第52章 予測分析を用いて、より優れた意思決定を行う
終章 ビジネスの成果に「人間の本質」が果たす役割
※Amazon本の紹介より引用
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(ここまで)
■面白かったポイント
さて、以下本書を読んでみて、個人的に面白かったポイント、興味深かった点について書いてみたいと思います。
◎「強みに基づく組織文化」を築く方法
こちらは期待通りの内容となりますが、どうすれば「強みに基づく組織文化」を作ることができるのか、についても5ステップで述べています。
以下ポイントについてまとめます。
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1.CEOから始める。そうしないと、うまくいきません
2.すべての従業員に、自分の「才能」に目覚めてもらう
3.社内にストレングス・コーチのネットワークを作る
4.パフォーマンス・マネジメントに「強み」を組み入れる
5.学習プログラムを変革する
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私も、ストレングス・ファインダーを活用して、強みに基づく組織文化づくりのお手伝いをすることがありますが、まさに上記の流れはその通りだな、と思います。
最初にトップに「強みを重視する」ことに賛同いただき、トップも含めて実施をする(1)。その上で、主要な従業員、できれば上の層からストレングス・ファインダーの受検&ワークショップで才能に気づいてもらい(2)、ある程度展開が進んできたら、社内でストレングス・コーチを設けて社内展開をする(3)。
そして、強みに基づいた対話をチームの中で行えるようになる(4)と、組織文化として定着していくという感覚があります。
丸井グループは、「丸井グループ役員の特徴的な資質TOP 10に迫る」として、役員の強みをホームページで公開していますが、こうした取り組みがあると施策が根付いていくな、と感じます。
レポート「丸井グループ役員の特徴的な資質TOP 10に迫る」
◎「強み」以外にも幅広く触れている
このように、Gallupといえばストレングス・ファインダー。そして実際に、この書籍でもストレングス・ファインダーの強みのアクセスコードが付与されているので「強みに注目しましょう」に振り切っているのかな、と思いました。
しかし、実際に読んでみると、「分析的な証拠を用いて、批判的に検討し、優れた意思決定を行う」という強みと関係ない具体的なマネジメントで重要なポイントも触れていますし、「採用プロセスの設計方法」など重要なテーマについても、バイアスをいかに減らすのかの具体的な方法も述べています。
その上で「組織文化づくり」「オンボーディング(入社後施策)」で、「強み」をいかに組み込んでいくのかを述べていることが興味深いところだと感じました。
■まとめ
マネジメントに関わる本は数多く出ていますが、その中でも「強み」にフォーカスしつつ、網羅的にマネジャーがやることを整理する上で、興味深い一冊だと思います。ストレングス・ファインダー好きの方にもおすすめです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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