おすすめの一冊『冒険する組織のつくりかた──「軍事的世界観」を抜け出す5つの思考法』(中編)
(本日のお話 2456 字/読了時間3分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日は1件のアポイント。
ならびに、午後は外部人事パートナーして関わらせていただいている会社への、
コンサルティング&コーチングの実施でした。
*
さて、本日のお話です。
本日も、気鋭の著者による「組織づくりに関する本」からの学びをご紹介させていただければと思います。
昨日は、全体の構成と第一章を中心に「まとめ(前編)」としてお伝えしました。本日も続けてまいりたいと思います。
(前回のお話はこちら↓)
https://note.com/courage_sapuri/n/n7526bb0e26d8
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<目次>
冒険の羅針盤 ―新時代の組織モデルー
冒険する組織をつくる「5つの基本原則」
1.目標の基本原則ーー目標は新法則「ALIVE」で設定する
2.チームの基本原則ーーマネジメントチームは組織の靭帯
3.会議の基本原則ーーハレとケの場づくりに工夫を凝らす
4.成長の基本原則ーー学び続ける組織文化を醸成する
5.組織の基本原則ーー毎日が変革!変えることを楽しむ
まとめと感想
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■冒険の羅針盤 ―新時代の組織モデルー
本書のキーワードは組織における「軍事的世界観からの脱却と『冒険的世界観』へのアップデート」です。
組織に従属する存在としての個人、指示・命令を受ける個人、求められる機能を果たす道具としての存在は、今の時代の”働く”に合わなくなってきている。よって、個々の自己実現を目指し、そのために組織を土壌として使いながらも、組織としての成長も目指していく事の両立を、大胆に提唱している著書が本書です。そして、序章・第1章では、その「冒険的世界観」へアップデートするための考え方やレンズについて触れていました。
続く第2章では、「冒険の羅針盤」として、上記を実現するための「組織モデル」を紹介しています。
これまでの組織モデルで有名なのは、「ナドラ―&タッシュマンの整合性モデル(1989)」や「マッキンゼーの7Sモデル(2008)」などでした。それらのモデルの登場によって、公式の組織と非公式の組織の側面、組織におけるハードとソフトの側面などを、網羅性を持って「面」として分析可能になりました。そして、多くの組織分析で活用されてきました。
一方、それらのモデルはいくつかの課題も抱えている、と著者は述べました。それが「課題1:組織を”機械”とみなしている」「課題2:各種の変化を想定しておらず”静的”すぎる」「課題3:整合性の評価基準が”機能”に偏っている」ということでした。
人のエモい側面(感情的な側面)を、こうしたモデルに組み込むことは、複雑であり、難しい挑戦です。その中で、本書では、それらの個人の欲望と社会的価値のどちらの成功も”あきらめない”ために、「冒険的の羅針盤(新時代の組織モデル」として『CCMモデル(Creative Culitivation Model)』を紹介しています。
これは、職場レベル、組織レベル、事業レベルにおいて、論理的・客観的側面(構造や機能)と、感情的・主観的側面(文化や精神)をブリッジするための対話のツールとして整理されています。
(これらを高めていくために「具体的に何をすればよいのか?」は、本書の後半にて詳しく述べられています)
■冒険する組織をつくる「5つの基本原則」
このように、冒険する組織づくりのために、第1章で「ものの見方」、第2章で「全体モデル(羅針盤)」、続く第3章で「基本原則」が5つ述べられています。以下の内容です。
1.目標の基本原則ーー目標は新法則「ALIVE」で設定する
これまでの目標設定で有名なものは「SMARTの法則」でした。いつまでに・何を・どれくらいやるのかを明確にする、というものでした。しかし、これは”やらされ感”がついてまわります。その代わりに、ALIVEというものを提唱しています。
<目標の設定の新設定「ALIVE」>
Adaptive:変化に適応できる(柔軟な目標)
Learningful:学びの機会になる
Interesting:好奇心をそそる
Visionary:未来を見据える
Experimental:実験的である
2.チームの基本原則ーーマネジメントチームは組織の靭帯
次に重要なのが、「マネジメントチームを良くする」ことを述べています。経営チームがギスギスしていると、その構造が現場チームにも反映されます。経営チームこそ、組織内の全てのチームの「縮図」なのです。
なので、まずは経営チームから始めて、そして次にマネジャーチームを良くすること、そして何より”マネジャー自身の自己実現”も目指していくことが重要であると述べています。マネジャーが「”私”は仕事を通じて、何がしたいのか?」を言語化できることが重要です。
3.会議の基本原則ーーハレとケの場づくりに工夫を凝らす
次に重要なのが「会議」です。多くの組織はミーティングでできています。
その会議を質の高いものにすることが重要です。
具体的には「ケ(日常)の会議」、つまり1on1や週次ミーティングなどは、ファシリテーションの技術を駆使して、短期間&効率的に質の高い対話ができるように工夫をすることです。
一方、「ハレ(非日常)の会議」、すなわち全社イベントや入社式はしっかりコストをかけて、全力でデザインすることで、日常のストッパーを外し、関係性に揺さぶりをかけることができます。
4.成長の基本原則ーー学び続ける組織文化を醸成する
「学習する組織」が重要である。これは、これまでも言及されてきたメッセージの一つです。皆が「学び続けること」が大事です。では、「学び」とはなにか?
それは資格の勉強をするなど”ではなく”、「自分は何者なのか?」というアイデンティティの探求をやめないという深い学びのことです。
探求を通じた自己変容を当然のものとして受け入れ、実践している状態が「学び」であると言えます。
5.組織の基本原則ーー毎日が変革!変えることを楽しむ
「変化をする」とき、これまでは危機意識を共有し、そして「変わらざるを得ないから変わる」というのが主流の考えでした。しかし、本書では「変革を日常のものにする」ことを提唱しています。変わることが楽しめる。そんな状態を目指すことを提唱しています。
■まとめと感想
第1章、第2章、第3章と読むにつれて、「どんどんワクワクしてくる本」だと感じました。「では、どうやったらこんな冒険する組織が作れるのか?」、この部分が、著者の具体的な知見が豊富に詰まった「20のカギ」としての手法が紹介されており、やってみたい・・・!と思わせられるコンテンツとして、後半に駆け上がっていきます。
ということで、次回は後半の「第2部:実践編」をご紹介してまいりたいと思います。最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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