倫理ジレンマ
(今日のお話 2456文字/読了時間3分)
■ おはようございます。紀藤です。
日曜日は、いつものごとく、
テニススクールへ。
またその他は読書や、
映画を見たりして過ごしておりました。
先月から”ドラッカー塾”なるものに、
通わせていただいており、
「ドラッカー」への興味が、
ふつふつと湧いてきております。
今日は、昨日読んだドラッカーにまつわる本、
『ドラッカー・スクールで学んだ、本当のマネジメント』(著:藤田勝利)
より、とても考えさせられるお話がありましたので、
皆様にご共有させていただきたいと思います。
それでは、どうぞ。
■ 著者の藤田氏は、
ドラッカー・スクールとして知られている
米国のクレアモント大学で学ばれ、
直接、故・ピータードラッカーに師事をされた方。
そんな彼は、
ドラッカー・スクールで
数多の講義を受講され、
「マネジメントの真髄」を学ばれ、
そして首席で卒業されたそうです。
そんな彼が、
そんなドラッカー・スクールで、
”特に印象に残った講義”がある、
と著書にて語られていました。
それは、こんな内容でした。
(少し長いですが、
興味深いエピソードです。)
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<「倫理ジレンマ」のお話(前半)>
ドラッカー・スクールの講義で、
私にとってとりわけ思い出に残っているものに、
『倫理ジレンマ』
という講義がありました。
違法ではないけれども、
倫理観的には非常に判断が難しいケースを多数読み、
クラス内で徹底議論をするというものです。
クラスメイトはさまざまな国籍や経験を有するので、
当然、なかなか明快な結論はでません。
*
たとえば、辣腕番組プロデューサーとして
異例の高視聴率の番組を制作し、
会社にも自分にも莫大な利益をもたらしている一方で、
その番組を見た小中学生に、
「行動や言葉遣いが乱暴になる」といった
好ましくない影響が出ていることが指摘された、
という、実話に基づくケースがありました。
自分が経営者、
あるいはそのプロデューサー自身であれば、
どう判断し、行動するのか。
(中略)
その他にも、
「ノルマや決算数字を作るための、押し込み型の営業に関するジレンマ」
「人間性は優れているが、業務面では貢献度が低い
生え抜き古参マネージャーの処遇に関するジレンマ」
など誰もが思い当たるようなジレンマのケースが、
たくさん取り上げられる講義です。
*
そして、教授は議論をファシリテートはしますが、
結論は言いません。
判断はすべてこれからの経営のリーダーになる、
私達学生に任せられています。
これが私としては当時、消化不良であり、
何か明確な答えや指針を得たいと、
ジリジリしていました。
(後半に続く)
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■ さて、いかがでしょうか。
私の場合、営業が長いもので、
「決算数字を作るための、押し込み型営業に関するジレンマ」
などは、「あー、あるある!」と
一人、机で膝を打っておりました(苦笑)
そしてきっと皆様にも、
このような状況、例えば、
・マネージャーからの指示、会社からの業務命令が、
自分としては納得できない、
とか、
・結果を出すために、何でもやれというけれども、
本当にそれで良いのか疑問に思う
みたいに、
「あっちを立てれば(結果を求めれば)、
こっちが立たず(自分の価値観が許さない)」
というような、いわゆる
『倫理ジレンマ』に陥ったこと、
あるのではないでしょうか。
■ では、こんな時に、
結局どうすればいいのでしょうか。
結果を追求するのか?
それとも、
自らの価値観に照らし合わせて、
固辞するのか?
はたまた別の案を考えるのか?
本当に難しい問いのように思えます。
しかしながら、その答えの一つとして、
先述の藤田氏は、著書の続きにて
”一つの解”として、このような意見を書かれていました。
先ほどの文章の続きです。
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<倫理ジレンマのお話(後半)>
ある時、セルフ・マネジメントの考え方と、
この「倫理ジレンマ」の講義が
融合していることに、気付きました。
理論や哲学は自分の外のものから学ばなければなりません。
しかし、
『最後にどういった価値観・倫理観を優先し、
組織をリードしていくかという答えは、「自分」の中にしかない』
ということに気がついたのです。
少なくとも、違法か合法かの判断だけでは足りません。
すべてはマネージャー、リーダー自身の
価値基準や信念で意思決定をし、
その責任を追わなければいけないのです。
(引用:『ドラッカー・スクールで学んだ、本当のマネジメント』著:藤田勝利)
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最後に何を選ぶのか。
それは、答えなどなく、結局、
【自分の中の価値観次第である】
ということなのです。
■ この答えを聞いた時に、
私は仕事をする上、そして生きる上で、
大切なことに改めて気が付かされた思いがしました。
きっと誰もが、
これから生きていく上で、
”あっちを立てればこっちを立たず”という
「倫理ジレンマ」
に近しい状況に遭遇すること、
恐らく、あると思うのです。
その時に、
「自分自身が、何を大切にして、
どんなこだわりを持って生きていくのか」
が自らの中ではっきりしているかどうか、
すなわち、
【自らの”価値観の軸”を持っているかどうか】
というのは、
一筋の光、進むべき指針となりえる、
非常に大切なことなのではないだろうか、
そのように思ったのです。
■ 忙しい日常では普段、
「自分の価値観は何か?」などと、
考えることはなかなかないと思います。
しかしながら、
ドラッカー・スクールの事例のように、
”来るべき岐路”
において、
自分が納得出来る道を歩み、
そして前に進むために、
『自らの”価値観の軸”は何か?』
と、時に立ち止まって考えることは、
とても重要なことではないだろうか、
そのように思ったのです。
最近、そんな価値観を見誤って、
退陣を迫られるケースが頻発している世の中だからこそ、
改めて自らに問うてみること、大事なのかもしれませんね。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
今日も皆様にとって素晴らしい1日になりますように。