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814号 2016年5月7日

孟子曰く、人為さざる有り


(今日のお話 1278字/読了時間1分半)
■こんにちは。紀藤です。

本日は朝から英語塾。

そしてその後、英語塾での仲間でもある、
上智大学の素晴らしく優秀な学生の方の紹介で

「陽明学」

なるものを学んでまいりました。

「陽明学」という存在自体、
私は全然知らなかったのですが、
500年ほど前の中国において確立された学問だそう。

「修己治人(己を修めて、人を治める)」をテーマとし、
俗にいう”リーダーシップ”について語っている
東洋の学問でもあるとのことで、
リーダーシップを専門にしている身としては、

「こりゃ、聞かねば!」

と思い、拝聴してきたのでした。


■結論からすると、大変面白かった、の一言です。

哲学的かつ深く、興味深い話が
たくさんたくさんあったのですが、
その中でも特に、「なるほどな」と思わされたお話がありました。

それは、


『孟子曰く、人為さざる有り。
 しかるのち以て、為す有るべし。』


という一節。

私たちは、何事かを「為す」というと、

・今までなかったようなチャレンジをする
・誰も為し得なかった偉業をする
・素晴らしい成果を成し遂げる

というように、「何かを行う」というようなイメージを
持つのではないかと思います。

しかしながら、必ずしも、
それだけではない、と言うのです。


■どういうことなのでしょうか。

それは、

”人為さざる有り。
しかるのち以て、為す有るべし。”

と、表されているように、

『「為す」とは何かを行うことだが、
 【行わないことも為すこと】である』

という考えなのです。

例えるならば、

どんなに金を積まれても、良心は売らない、とか
どんなに高い地位や名声で誘惑されても、
不善なることには手を出さない、

というように、


【これだけは断固としてやらない】


という覚悟を持った上で何かを為すこと、

それこそが、ただ何かを為し得る上で、
実は大変重要なことである、

陽明学ではそのように教えている、

そのことに非常に考えさせられました。


■私たち人間は、多くの誘惑に駆られます。

政治的なことであったり、
地位や名誉、金銭、その他欲しいもの・・・

そんな”欲”があるがゆえ、
つい、超えてはならない一線を越えてしまうことがある。

だから、最近ニュースで騒がれるような、
恥ずかしくなるような事件が、
一見優秀で、聡明だと言われる社会的地位が高い人の中で
次から次へと起こってくるのでしょう。

そして、それは、
人事(ひとごと)ではないのだと思います。

一たび状況が変われば、
自分がその状況に置かれる可能性もあるはず。

その時に、確固たる”自分の軸”、
すなわち、


【これだけは断固としてやらない】
(=人為さざるあり)


というスタンスを、
自分の価値観の中心に置いておくこと、
忘れてはならないのではないか、

そのように思うのです。


■「7つの習慣」でも、

”第二の習慣 終わりを思い描くことから始める”

において、
「自らの価値観(=良心)を大切にする」
ということを伝えています。

目先の利益だけでなく、

・どう自分があるべきか

・どう自分がありたいのか

・どんな生き方がしたいのか

そんな、永く、深い問いに対して考え、
その答えを自分の中心に据えた生き方をすること、

様々な考えに揺らぎやすい現代だからこそ、
大変重要なことではないか、

そのように思う次第です。


最後までお読みいただき、ありがとうございます。
本日も皆様にとって素晴らしい一日になりますように。

【本日の名言】 富を失うものは、多くを失う。
友人を失う者は、さらに多くを失う。
しかし勇気を失う者は、全てを失う。

ミゲル・デ・セルバンデス

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