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570号 2015年7月7日

過去や未来でなく、”今この瞬間”に目を向ける 

(今日のお話 2378文字/読了時間3分)
■おはようございます。紀藤です。

昨日は2件のアポイント。
夜は定期的なコーチング(受講側)でした。

アポイントでは以前からご相談頂いていた、
あるメーカー様の海外子会社向けに、
米国でのマネジメント研修(英語)のご提案など。

しばしばお話を頂きますが、
フランクリン・コヴィーでは、
英語を始めとした各国の言語での海外研修なども行っています。

”グローバル化”と言われて久しい昨今。

「リーダーシップ」「マネジメント」などのテーマで、
世界的に研修を行いたい、ということがあれば、
ぜひお気軽にご相談下さいね。

営業のご案内はこれくらいにいたしまして(苦笑)、
早速ですが、本日のお話です。

昨日は ”ストレスから解放される考え方”、として
「マインドフルネス」というお話をお伝えいたしました。

よくわからなかった、という声も頂きましたので、
本日も続けます。

■「ストレス」というテーマについて、
少しだけ、私の身の上話をさせて下さい。

私の過去の話です。
(お急ぎの方は、読みとばし下さいませ)

私は、新卒のとき
とある有名外食チェーンに入社いたしました。

入社した動機は「成長をしたかったから」。

就職活動の中の「多くの経験ができる」という口説き文句と、
当時異彩を放っていた有名社長のカリスマ性に魅せられて、
その会社に入社を決めました。

「何がなんでも成長をしたい」。

こんな漠然とした、
強迫観念とも思える成長願望を抱えて、
日々過ごしていました。

「もっと頑張らねば…」
「まだ全然足りない…」

毎日、自分を追い立て続けます。

高熱が出ても出勤し、
月に2日の休みで働いたり、
朝10時から朝7時まで通しで勤務するなど、
目まぐるしい状況が1年続きました。

そしてある時、
店でとある人間関係のトラブルがありました。

その時に「ぷつっ」と何かが切れるような気がしたのです。

「こんなに成長、成長、と叫び続けた果てに、
 果たして何が待っているのだろうか・・・」

こんな心の声が、自分の内から聞こえた瞬間、
張りつめていた糸が切れるかのように、
それから、全く頑張れなくなってしまったのです。

その後、ボロボロと崩れるように心身に支障をきたし、
そのまま会社を辞めることになりました。


■「ストレス」とは目に見えないものです。

そして、人によっても感じ方は違います。

私と同じような状況で働いていた人も、
元気な人は元気でしたし、
楽しそうな人は、毎日楽しそうに働いていました。

しかし、私は目に見えない中で、
気付かないうちに大きなストレスを抱えていた。

だから、「ぷつっ」と切れる瞬間が訪れたわけです。

では、元気な人もいる中で、
私はなぜゆえにストレスを感じ、
そして心身に支障をきたしてしまったのか。

ここが今日、皆様と、考えたいところなのです。

あくまでも私のケースではありますが、
今思えば、私のストレスが溜まり続けた原因の一つは、

「先の成長ばかり考えて、
 今、この瞬間を楽しむことを忘れていたから」
 
ではなかっただろうか、とも思うのです。

「成長しなければ」と思うあまり、
今の自分と理想の自分のギャップを日々感じ、
”自分が足りないところ”にばかり目がいってしまった。
結果、毎日が辛くなってしまっていた、

そんな感覚があったように、今だからこそ感じるのです。


■「ストレスからの解放」をテーマに書かれた、
『ストレス・フリー』という本では、

”ストレスから解放されるための一つの要素”として、

【「マインドフルネス」… 今、この瞬間に集中すること】

という考え方を提唱しています。


「マインドフルネス」について、
以下、本文からの引用です。

英国人哲学者アラン・ワッツは、
マインドフルネスの本質を次のように解説する。

”交響曲は終わりに近づくほど良くなるとか、
 演奏する目的は最終楽章を聞かせることにある、
 などとは誰も想像しないだろう。
 
 音楽の良さというのは、演奏し、
 聴く瞬間瞬間に見出されるものだ。
 
 私たちの人生を考えても、
 このことが当てはまる部分が多いと私は思う。
 
 そして、人生をより良きものにしようと夢中になりすぎると
 (人生の最後の局面にばかり意識を向けるのも同じことだろう)、
 人生を生きる楽しみをすっかり忘れてしまいかねない。”

「マインドフルネス」とは、
一度に一つのことだけに全神経を集中するということである。

要するに、過去や将来を始終気に掛けることに、
現在という時間を浪費するのをやめる、ということだ。

目の前にある現在という瞬間はストレスがないが、
過去や将来はそうとは限らない。

どちらについて考えるか、
決めるのはあなた自身である。

『ストレス・フリー』
(著:マイケル・オルピン、サム・ブラッケン)


■過去や未来を考えすぎると、

「あの時、ああすればよかった」
「明日はこんなにもやることがある」
「一体、いつまで忙しく働き続けるのだろうか」

と、杞憂、心配、後悔などの念が
頭を占領してしまうことがあります。

そして、ここで言いたいのは、

<このような”杞憂、心配、後悔”こそが、
 ストレスの原因になっていることが多いのではないか>

ということなのです。

だから、
今この瞬間に集中しようとする

「マインドフルネス」

という考え方を意識的に取り入れられれば、
そのような杞憂、心配などの想い(=ストレス)から解放されやすくなるのではないか、
そのように伝えているわけです。


■とはいうものの、言うは易し、行うは難し。

そんなに過去、将来の不安を
すぐに忘れられれば苦労ありません。

私自身も、こんなことを書きながら、
いまだに心配したり、明日の不安を感じたり、
くよくよしたりすることも(残念ながら)まだまだ多いです。

しかし、一つ言えることは、
こういう発想(マインドフルネス)を知っているだけでも、

「いかんいかん。
 今、自分はいらぬ取り越し苦労をしている。
 今この瞬間を楽しもう。」

と自分を客観的に省みる、
きっかけにはなりえるということ。

そうすると、
今食べている美味しい食事とか、
これから訪れるだろう気持ちよい睡眠とか、
読んでいる本の世界観などに、
少しだけ集中できる気もするのです。

そして、それがストレス解放の一助になる、
これは経験則としてそのようにも感じるのです。

「ストレス」というのは幅広いもので、
特効薬はなかなかないのかもしれません。

でも、ストレス解消の小さな工夫を実行してみる価値はあるはず。

そんな意味合いも込めて、
本日のお話が参考になれば幸いです。


最後までお読みいただき、ありがとうございます。
今日も皆様にとって素晴らしい1日になりますように。

【本日の名言】 さしあたる、その事のみをただ思え。
過去は及ばず、未来知られず。

                  中村天風  

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