『失敗の本質』
(本日のお話 1883文字/読了時間2分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日、土曜日は「サムライ塾」の3日目。
「グローバリズム」をテーマに、
”これまで世界がどのように出来てきたのか“
を、15冊程度の課題本を通じて、
点と点の事実を繋げ、発表するという濃厚な学びの場や、
ディベートなどを朝から夜までひたすら行っていました。
私は、運営側の役割ですが、
自分自身が最も勉強になっているな、と感じ、
最近は見える世界が広がることに興奮を覚えてばかり。
今の世界がどうなっているのか?
世界のルールはどうできてきたのか?
今の日本の問題は何なのか?
そういった世の中のことを、
「自分で考える教育」こそが、もっと必要なのだろう、
そう強く思う次第です。
やっぱり、「教育」だよな、
と思う今日この頃です。
*
さて、本日の話です。
毎週日曜日は、お勧めの一冊をご紹介させていただく、
「今週の一冊」のコーナー。
今週の一冊は、
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『失敗の本質 ―日本軍の組織論的研究』
(戸部 良一 (著)‚ 寺本 義也 (著)‚ 鎌田 伸一 (著)‚ 杉之尾 孝生 (著)‚ 村井 友秀 (著)‚ 野中 郁次郎 (著))
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です。""
■この本は、知る人ぞ知る名著。
なかなかに重厚な内容なのですが、
経営者、政治家、組織のリーダーになる方が、
「座右の書」として紹介していることも多い、示唆に富む一冊です。
現在の日本を見た時に、
多くの問題、というか腹立たしいことが見受けられます。
例えば、
・組織トップの責任を取らない姿勢、
・データ改ざん、粉飾決算、
・震災、原発時の国の曖昧で決められない対応
・「外より中」を意識した結果、負けていく組織体
・情報隠蔽、タテ割り組織、
などなど、数え上げればキリがないほどです。
なぜ、こんなに次から次へと、問題が起こってくるのか?
「日本の組織」には何か問題があるのではなかろうか?
そんなことを感じずにはいられない昨今。
■そんな文脈で、この
『失敗の本質』には大変重要なヒントが隠されていると感じます。
では、「この本には、何が書かれているのか?」というと、
平たく言えば
「日本軍の敗戦の理由は何だったのか?」
を「組織面の研究」を通じて、
分析、考察した一冊なのです。
例えば、日本軍が抱えていた
“組織の構造”、や”精神的な風土”とは、
以下のようなものがあるといいます。
・目的達成より、人情重視
・「大きな声は、論理に勝る」風土
・トップの指示があいまい
・責任がどこにあるかわからない
・そして、失敗しても責任をとらない
・感覚論、精神論で片付ける
・「新しいか?」よりも「前例があるか?」が重要
こういったものを見ていると、
「日本軍」ではなくて、「今の日本の大企業病」を
そのままそっくり書いているような気がしてきます。
私は、日本が好きですが、
だからこそ、悔しくなってしまうのです。
「失敗から何も学んでないではないか」と。
■私自身も、営業として、
顧客に提案をする際に、同じような事を感じたことがありました。
それは、
「グループ会社での実績はあるかどうか」
が導入するか否かの“一番大きな理由”である、
と何気なく言われたこと。
もちろん、過去実績は大変重要な要素です。
それはそれで必要なことではあるでしょう。
でも、“導入の一番大きな理由”に
「グループがやっているから」というのは、
あまりに浅はかすぎるのではなかろうか、
それで、これから先、生き残ることができるのだろうか、
そもそも、本当に生き生き働けるのだろうか、
などと、「日本の組織的な悪い癖」の真っ只中にいるように感じ、
大変やるせない気持ちになったことを、ふと思い出しました。
■「和を重んじる」、というのは、
日本の組織の、とても素晴らしい特徴だと思います。
しかしながら、その解釈をあやまると、
上記で紹介したような、
・目的達成より、人情重視
・「大きな声は、論理に勝る」風土
・トップの指示があいまい
・責任がどこにあるかわからない
・そして、失敗しても責任をとらない
・感覚論、精神論で片付ける
・「新しいか?」よりも「前例があるか?」が重要
みたいな結果に陥ってしまう。
そして、私達自身、
「そうなりがちな特質を持っている」
ということを、重々認識しておく事が大事である、
そのように思います。
特に、大企業で働かれる方、
組織の中で違和感を覚える方には、
ぜひ読んでいただきたい一冊。
未来を作る上で、すべての日本人が、
自分達の強み、弱みを知る上でも、
大変重要な一冊だと思います。