「上から下は見えても、下から上は見えない」。ゆえに、謙虚さを湛え、受け止めてみることが大切
(本日のお話 1998文字/読了時間2分)
■おはようございます。紀藤です。
昨日は、「戦略実行」のトレーニングプロセスの実施。
リーダーの方達に、「戦略を実行」するための考え方、
ならびに、「自分達にとって何が最も重要な目標なのか」について、
ディスカッションしていました。
改めて思いますが、
「一番大切なこと」
「もっとも重要な目標」
などというものは、誰もが認識していて当然、
と思いきや、実は竜巻のような日常にいると、
意外と考える機会がなく、見失いがちであるもの。
これは仕事でも、プライベートでも、
あらゆることに言えることでしょう。
「第3の習慣 最優先事項を優先する」
などと、『7つの習慣』でも語られていますが、
ぜひそのことは忘れないようにしたいもの。
「今日成すべき最も大切なことはなにか?」
この問について、1日10分でも時間をとること、大事です。
*
さて、本日のお話です。
最近、ふと思い出したことがあります。
それは、前職での話。
自分がリーダーをやっており、
その中で、メンバーとのやりとりをした時、
ふと、当時の新入社員が言った言葉です。
今日はその思い出からの学びを、
皆様にご共有できればと思います。
タイトルは、
【「上から下は見えても、下から上は見えない」。
ゆえに、謙虚さを湛え、受け止めてみることが大切】
それでは、どうぞ。
■8年ほど前でしょうか。
私が前職で、採用支援の仕事をしていた時の話。
当時は、3人ほどメンバーを持つリーダーとして
役割を果たしていました。
その中で、ある新入社員の若者がチームに入ってきました。
彼の名は、「T君」(仮)。
T君は、なかなか営業成績があがらず、
他の新入社員に比べて、スタートが遅れていました。
そして、3ヶ月くらいたった、夏のある夜、
そんな状況を心配して、Tくんを誘って、飲みに行きました。
彼の話を聞きつつ、また思うところを
率直に伝えつつ、話をしていました。
もちろん、テーマは、
なかなか営業がうまくいかないこと。
そして、どうすればよいか、について
私が思うことなども含めて、です。
すると、ふと、
T君がこんなことを言いました。
「紀藤さん。
僕、父親からこんな話を聞きました。
それは、
『上から下は見えるけど、下から上は見えない』
という話です。
自分よりレベルが上、立場が上の人は、
自分が見えていない世界、見えていない本質が見えている。
それは、レベルが下のものが、いくら見ようとしても見えないもの。
なぜならば、経験がなく、感覚としてわからないから。
だから、「上は下がわかる」ことはあっても
「下は上の言っていること」がわからない。
私にとっての紀藤さんの話は、
もしかしたら今、そんな感じなのかもしれないです。
わかろうと思っても、なかなかわからないんですかね」
そんなことを、
T君は語ったのでした。(なぜか得意げに)
■しかし、なんとも難しいもので、
そういった素晴らしい考えを“知っていても”、
「本当に理解できているか」は別の話。
正直なところ、T君は、
ちょっと”小生意気な新人”だったのです。
彼の父から教わった、
“素晴らしい考え”を知っていたにもかかわらず、
残念ながら、
「全く謙虚でない」
「頑固(かなり)」
という性質を兼ね備えていたものですから
“「下から上は見えない」
でも、そこに答えがあるはず”
と言いつつも、「謙虚さ」を携えることができなかった。
結果、私を含め、
上のアドバイスを聞くことができなかった。
そして、我が道(売れない方法)を突き進み、
そして一向に成績がでない、
そんな負のスパイラルにハマっていた、
そんなことを、
ふと思い出したのでした。
■「上からは下が見えても、下からは上が見えない」。
これはあらゆる世界に同じことがいえます。
私の趣味のテニスでも、そう。
「上の人」は、自分より低いレベルの人のスイングを、
ひと目見ただけで、どれくらいの実力か、わかります。
しかし、「下の人」は、
自分より高いレベルのスイングを見ても、
いかほどのものか、わからないのです。
むしろ、
そのレベルが離れていれば離れているほど、
“自分と相手との差”すら、わからないもの。
【上から下は見えるけど、下から上は見えない】
というのは、そういうことなのでしょう。
■もちろん、「上のレベルの人」が、
完璧というわけではありません。
間違うこともある。
指示を誤ることだってある。
しかしながら、
・「その道」において、自分よりも先を進んでいる
・彼/彼女の言葉が私欲から出て来るものでない
のであれば。
そこにはきっと何かしらの意味があるはず。
場合によっては、
自分の浅はかな考え、短い人生経験よりも、
信じるに資するものである、
と私は思います。
「下からは見えない」けれど、
確かに、まだ見ぬ答えがある。正道がある。
だからこそ、
【「上から下は見えても、下から上は見えない」。
ゆえに、謙虚さを湛え、受け止めてみることが大切】
なのです。
師匠の意図を汲み取ろうと尽力し、
自分も理解できるよう謙虚に努力すること。
そのことが自らを育てる上で、
非常に重要ではなかろうか、
私はそう思うのです。