『白い巨塔』
(今日のお話 1774字/読了時間2分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日土曜日は、9:00~22:30まで、
とあるセミナーへ参加してきました。
本日、日曜日、そして月曜日と、
あと2日間続きます。
なかなかハードですが、楽しい時間です。
今日も頑張ります!
*
さて、毎週日曜日は、
紀藤からお勧めさせていただきたい本をご紹介する
「今週の一冊」のコーナー。
本日のおすすめ本は、
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<今週の一冊>
『白い巨塔』(第1~5巻)(著:山崎豊子)
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でございます。
■超有名な作家、山崎豊子氏。
今日の本は、きっと
誰もが一度は耳にしたことがある
これまた超有名な本ではないでしょうか。
ドラマ化もされましたから、
そちらで見られた方も多いかもしれません。
山崎豊子氏の小説は、
社会問題や、人間の欲望などを、
ノンフィクションを元に
リアルな人間ドラマとして描く手法が秀逸すぎて、
数々の名作を生み出しています。
■私がこの本と出会ったきっかけは、
私と同い年の尊敬すべきいとこ(男性)でした。
ちなみに、いとこは、
産婦人科のドクターとして、
大学病院で働いています。
そんな彼が、研修医時代に、
「いや、病院は大変だよ。
本当に、『白い巨塔』、そのまんまだね。」
なんてつぶやいていたのを聞いて、
興味を持っていたのでした。
■ちなみに、ストーリーは、
こんな内容です。
(以下、amazon商品説明より引用)
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<白い巨塔 ~内容紹介~>
癌の検査・手術、泥沼の教授選、誤診裁判などを綿密にとらえ、
尊厳であるべき医学界に渦巻く人間の欲望と打算を迫真の筆に描く。
国立大学の医学部第一外科助教授・財前五郎。
食道噴門癌の手術を得意とし、マスコミでも脚光を浴びている彼は、
当然、次期教授に納まるものと自他ともに認めていた。
しかし、現教授の東は、財前の傲慢な性格を嫌い、
他大学からの移入を画策。
産婦人科医院を営み医師会の役員でもある
岳父の財力とOB会の後押しを受けた財前は、
あらゆる術策をもって熾烈な教授選に勝ち抜こうとする。
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とのこと。
すなわち、病院内を舞台とした、
・権力(教授になること)を得ようとする人間の欲望
・そのために手段を選ばない人間の非常さ
・本来あるべき医療行為、誤診が、権力により踏み潰される現状
などなどの、
”実際に存在していた問題”
を軸にして、鋭く切り込んだ本なのです。
そんな本をして、
実際にドクターとして大学病院で働くいとこが、
「『白い巨塔』は、リアルな話」
と言わしめたわけです。
■正直なところ、読み終えた後の、
率直な感想は、
「人間とは、どれほど愚かで、
そして恐ろしい生き物なのか」
ということでした。
・自分の利益が最優先
・自分の勝ちのためにはどんな手段もいとわない
・組織の壁
・人の見栄、プライド
そんなものが、渦巻き、集団になると、
「清く、正しくいる」という当たり前と思われることさえ、
そしてそれが医療という崇高な行為でさえ、
虐げられてしまうこともある、
そんなことを、生々しく突きつけられる、
そんな本でした。
だから、正直明るくハッピーな気持ちになる、
ということはありませんでした。
■しかし、思うのです。
もし私達が「より良く生きよう」と
願うのであれば同時に、
「人の愚かさ」
も知らねばならない、
そう思うのです。
光を知るためには、影を知らねばならない。
喜びを知るためには、悲しみを知らねばならない。
成功を知るには、失敗を知らねばならない。
そんな風に、世界は
相対的に出来ているものだからこそ、
”この世の問題、日本の問題、
そしてそれを生み出す人の欲望と愚かさ”
に、真摯に向き合うこと、
それが成熟した大人として、
必要な一つの教養とも言えるのではなかろうか、
と感じるのです。
■歴史を知り、失敗を生々しく知ることで、
私たちは学ぶことができる。
そういった意味で、
山崎豊子氏の小説ほど、
優れた教科書はない、と思っています。
誰もが関わる「医療」という行為だからこそ、
多くの方に読んでいただき、
そして、その失敗を学び、感じていただきたい、
そんなことを思った次第です。