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1221号 2017年6月18日

『データの見えざる手 ウエアラブルセンサが明かす人間・組織・社会の法則』

(今日のお話 2423文字/読了時間3分)
■こんにちは。紀藤です。


昨日土曜日は、朝9:00から英語塾。

13:00ら、
8月のトライアスロンに向けて
2‚500メートルのスイムの練習。

そして夕方からは、サムライ塾の塾長と共に、
某有名神宮の館長と共に、来月行う特別イベントの打ち合わせなど。

盛りだくさんの一日でした。


思いましたが、
自分よりも数段、数十段高いレベルの方々の話は、
本当に勉強になるとともに、その見識の違いに圧倒されます。

こういった場に、仕事とは別の場で
縁を持たせていただけることを、
月並みですが、感謝です。

自分の無知さを感じるとともに、
もっと、勉強したい!と思った1日でした。



さて、日曜日は
今週のおすすめ本を紹介する、
「今週の1冊」のコーナー。


本日は、

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<今週の一冊>

『データの見えざる手
 ウエアラブルセンサが明かす人間・組織・社会の法則』
 矢野 和男 (著)

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をご紹介させていただきたいと思います。""

■『データの見えざる手』。


この本は、日立中央研究所で2006年に実施された
”ウエアラブルセンサによる人間行動の研究”をもとに、書かれた本。

述べ100万人もの日常の行動を計測し、
その身体活動、位置情報、
センサーをつけている人同士の面会などを記録した

「ヒューマン・ビックデータ」

をもとに、人間や社会の法則を解き明かそうとしたプロジェクトと、
そこから見えてきた『人間・組織・社会の法則』について、
語られている本です。



2006年に開発されたウエアラブルセンサですから、
もう10年以上前の話。


変化の速い今となっては、
結構、昔に感じる方も多いかもしれません。


しかしながら、この本を読むと、

”私たちが当たり前だと思っていたこと”が、
ビック、データによると実は違う、

ということが明らかになったりするのです。


■例えば、本書では、
こんな事例が紹介されています。

対象は、あるコールセンター。
特定の商品を売る、セールス型のコールセンターです。

そして、そのコールセンターの重要な指標は、

「商品の受注率」

でした。

これを、ヒューマン・ビックデータを使って計測したのでした。

当初の予想では、
受注率に影響を与えるものは、

”コールセンターのシフト組み”

だと思われていました。

つまり、シフトにスキルレベル(=トークがうまいなど)が多ければ、受注率が高い。
逆に、スキルレベルが低い人(=トークが上手じゃない)が多い日は、受注率が低い。

そう、想定していました。


また、性格的にコールセンターに向いている人が多い現場は高くて、
逆に、性格的に向いていない、内向的である、という職場は、受注率が低い、

そんなことも考えられるだろう、
管理部門の人々はそんなことを考えていました。


■しかし、です。


実際、その予想は、
全く違ったのでした。


コールセンターの人につけた
ウエアラブルセンサデータによると、


実は”受注率を最も高める要因”というのは、



『休憩所での会話の活発度』



が、受注率に最も影響していた、

と言うことがわかったのです。


つまり、

・休憩中の会話がはずむと、受注率があがる

・休憩中に、適度に体動かしていると、受注率が上がる。

ということ。


これは、誰も想定していなかった。

しかし、ウエアラブルセンサデバイスを使って分析すると、
そのような、想像もしなかった結果が見えた

と言うわけです。



そして、このデータを用いて、
このコールセンターでは

「休憩時間の活発さを向上させる施策」と銘打ち、

”同世代の4人のチームで休憩を同時に取る”

ようにしたそうです。


そうすると休憩中の活発度が10%以上向上。
その結果、受注率が13%向上。

このデータ結果が、正しかったことを裏付けた、

そんな実際のコンサルティング案件があった、
という事例が紹介されています。


■時代は大きく変わりつつあります。


自分の経験で物事を判断してきたところから、
目に見えない情報を、見えるようにすることが出来る時代になりました。


今までは「働き方」とか「仕事の成果の高め方」といっても、
属人的なものでした。


だから、職場の課長が、

「俺たちの時は寝ずに働いたもんだ。
 それぐらい集中して仕事に没頭すれば、
 生産性なんて、高まるんだよ」

(=俺たちの働く職場では、みんなそうやって成果を出していた。
  だから、そうに違いない)


とか、


「若い頃に膨大な仕事を与えられること。それが大事だ。
 膨大な仕事をなんとかこなそうと思うから、
 生産性を高めて、効率的に仕事ができるようになるのだ。」

 (=自分たちも、自分たちの同じ世代の人も、先輩も、最近の後輩も、
  みんな膨大な仕事を通じて生産性を高めてきた。そうに違いない)

みたいな、

”個人の感覚から法則を見出してきた時代”

でした。


しかし、それは

あくまでも、自分自身の体験した範囲
または、自分が知りうる世界の中の範囲

で仮説を立て、戦略を立てるものでした。


しかし、これからは、
感覚すらも分析し、自分だけでなく、
あらゆる人のデータから法則を導き出し、

思いもよらなかった「解」を、
導き出せる時代になったのだ、


そう、肌で感じさせられる本です。


■今は、2017年。

この流れは、もっともっと進んでいるのでしょう。

今までは、「精神論だろう」などと片付けられていた

・マインドフルネス(禅の思想)

・睡眠が生産性に与える影響

・運動が心に与える影響

・食事と精神の関わり


などなど、

”見えなかったもの”が、
ビックデータやテクノロジーを通じることにより
どんどん見えるようになってきています。


これからの時代は、

「データに対する感度」

はますます重要になってくるのでしょう。

だからこそ、これらのことに、
アンテナを立てること。


それが、

”自分の状態を高い状態で本当にできるかどうかに関わってくる”

そう思います。

AI .ビックデータ、これらの言葉が注目されている今、
ぜひそれが私たちの日常にどういう影響与えるか、という入門書としても、

ぜひご一読いただきたい一冊です。

目から、ウロコです。

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