祖母の食器棚から学んだ「風景でしかなかったのを、まじまじと、手に取って見ること」が世界の見方を変える話
(今日のお話 1935文字/読了時間2分)
■おはようございます。紀藤です。
昨日は、祖母の四十九日の法事で、
朝から山口へ行っておりました。
98歳まで大往生した祖母の自宅にて、
身内で集結いたしました。
本日は、昨日の祖母の家にて、
荷物(お皿など)を整理していたのですが、
その時、今までずっと気づかなかったことにふと気づいたのでした。
そのお話に関連して、本日は、
”祖母の食器棚から学んだ、
「風景でしかなかったのを、まじまじと、手に取って見ること」
が世界の見方を変える話”、
というタイトルで、
思うところをご共有させていただきたいと思います。
それでは、どうぞ。
■山口の宇部にある祖母の家。
一番古い記憶の小さい頃から、
冬休みに冬に宇部に家族で帰るのが、
毎年の恒例でした。
詳しい事はあまり覚えていないのですが、
祖母の家は綺麗に整頓されていて、
夕食には、子供の頃好きだったエビフライを、
必ず作ってくれていたことを覚えています。
そして、その食卓の隣には、
大きな食器棚がありました。
そこには、いつもたくさんの食器が並んでいて、
お皿を取り出していたのですが、
幼き頃の私は、「食器棚」などに、
気にも留めていませんでした。
■しかし、先日、
祖母の家を整理しているとき、
母がおもむろにこういいました。
「食器、持って帰ったら?」
そして、父も合わせるように、言います。
「ここの皿や、カップは、結構いいやつが混じってるよ。
お客さんが来た時なんかに使えるから、一つ持っておくと良い。
適当に見繕って持って帰ったらいいよ」
そんな提案もあり、
我が家の100円均一、
あるいは結婚式の引き出物だけで成り立っている、
自宅の食器棚に、
新たなメンバーを加えることにしました。
■そして、おそらく生まれて初めて、
30数年来で初めて、祖母の食器棚を
まじまじと見たのでした。
そこに並ぶ、色とりどりの
コップ、ソーサー、グラス。
そしてその後ろに書かれたブランド名。
気にも留めなかったのですが、
メイド・イン・イングランド
メイド・イン・パリ やら書かれており、
・WEDGEWOOD
・SPODE
・HOYA
などと、今まで見たこともないブランドなどを、
初めて知ったのでした。
そして、ちょっと気になって調べてみると、
食器やコーヒーカップと言っても、
実に色んな種類とブランドがあることを知ります。
■そして、そんな流れから親族で、
亡き祖母の話で盛り上がります。
まず、従兄弟が、
食器棚について、こういいます。
「高いカップや、お皿があるけど、
ばあちゃんの状況だと、必要だったのかもしれないね」
祖母は、華道の師範で、
また書道なども行っている文化人的な
生き方をしていました。
そのため、
物のひとつひとつにこだわっている姿勢を、
お客さんや、お弟子さん達に見せる必要があったのかもしれない、
そう従兄弟が言います。
すると、母が重ねるようにいいます。
「いやいや、おばあちゃんの姉妹が、
外商だったんよ。だから、ヨーロッパから輸入した食器を
買う機会がたくさんあったんだよ。
あれは、趣味を超えて金の使いすぎだよ(笑)。」
と、祖母の人間関係の話や、
お金の使い方の話へと、話題が移りました。
そして、これらの話を通じて思ったこと。
それは、
”30数年間、見向きもしなかった食器の数々にまつわる、
知られざる祖母の人生に気がついた”
ということでした。
■思うのですが、あらゆる物には
『ストーリー』
があると思います。
ただそこにある「食器」にも、
なぜ、その人がそれを持つに至ったのか、
と言うストーリーがあります。
食器だけでなく、
靴だって、家だって、鞄だって
またボールペン一つだったって、
もしかすると、その背後に、
その人の
「こだわり」「価値観」「生き方」
が隠れているかもしれない。
いつもそこにあって
普段は何も意識しないもの。
しかし、意識をして
「なぜこれがあるのか?」
と興味を持ってみると、
今回の祖母の食器棚の話のように、
思わぬ発見があるものではないか、
そう思ったのです。
■あらゆることには、
大なり小なり理由があります。
ただ、意識しないと、
気づかず風景として流れていきます。
しかしながら、
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風景でしかなかったのを、
まじまじと、手に取って見て、
「なぜこれがあるんだろう?」と考えてみる
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ことで、自らの視野と世界は拡がると思います。
私は祖母の食器棚を通じて、
「食器の世界の奥深さ」と「祖母の人生観」
を深く知ることができました。
普段何気なく周りにあるものことに対して、
「そこにそれがある理由」を考えること
例えば、
・会社のルール、制度がある理由を考える
・相手を知るために相手の鞄や靴を買った理由を想像する
などでも、見える世界が
変わってくかもしれません。
自らの視野と、世界を、
ぜひ拡げてまいりましょう。