メールマガジン バックナンバー

344号 2014年7月31日

「自分で選んでいる」という事実

■おはようございます。紀藤です。

暑いですね。

ベランダで育てたバジルが、
尋常じゃないスピードで成長しています。

外より中を好みがちなこの季節ですが、
バジルにとっては最高の環境なのでしょう。

自然の摂理を感じる、今日この頃。

■さて、本日のお話は、
「自分で選択する力」に関して、
面白いエピソードがありましたので、
ご共有させて頂きます。


以前、キプキョゲ・ケノイというケニア出身の長距離ランナーのコーチを務めたことがありました。

彼はモントリオール・オリンピック出場を目指していたところで、
レースの最終ラップ、最後の400メートルになるといつも経験する激痛に打ち勝つために、
何か心理学的な訓練法はないか知りたがっていました。

私は彼にたずねました。

「レースのそのポイントに差しかかったとき、何を考える?」

彼は答えました。

「あと400メートルも走らなければならない、と思います」

「しなければ」を基準に考えることで、自ら痛みの原因をつくり出していました。

そこで、私は言いました。

「解決策はあるよ。でも、君はそれを嫌がるかもしれない」

「教えて下さい。どんな方法ですか」

「最終ラップに入って、最後の400メートルを走らなければならないとわかったら、そこで止まるんだ。
 走るのをやめるんだよ。
 そこで止まって、トラックの内側に座り込むんだ」

キップは言います。

「そんなの、ばかげています。座り込んだら、レースで負けてしまうじゃないですか」

「そうだ。でも、少なくとも君の肺は苦しくなくなる」

「僕が何のために走っていると思っているんですか?」

「まったくわからないな。 
 いいかい?
 私が走らないことは知っているだろう?
 私だってあの痛みはがまんできないさ」

「僕が走るのは、モントリオール・オリンピックで勝てたら、牛がもらえるからです。
 僕の国では、それでずいぶん金持ちになれるんです。
 家族は、僕をアメリカの大学に送るために自分たちの生活を犠牲にしてきました。
 だから僕は、家族のためにも国のためにも、金メダルをとりたいんです」

私は言いました。

「じゃあ、黙って走ったらどうなんだ?
 君は走る必要はない。
 でも、走ることを選んだ。
 私になぜ走りたいかを話した。
 それは君自身の考えだ。
 本当は無理して走る必要などないんだよ。
 レースを終える必要なんてないんだ。
 いつだって止まることができるんだ」

「僕は走って勝ちたいんです」

「じゃあ、それに気持ちを集中しろ。
『したい』『選ぶ』『好む』を忘れずに練習しなさい」

引用/「アフォメーション」 ルー・タイス 著


■自分では気が付いていないけれども、
長距離走の選手が「レースで走る」
ということは、実は自分で選んでいる、
本当は「走らない」という選択肢もあるけれども、
色々な理由を総合して、
結局は自分自身で走ることを選んでいるんだ、
というお話でした。

もしかすると、このお話は、
「仕事をする」
「家事をする」
「宿題をする」
などにも同じなのかもしれません。

「あー、仕事したくないなあ」
「あー、皿洗いめんどくさいなあ」
「あー、宿題したくないなあ」
と仮に思っても、
大体の場合、なんだかんだでやります。

これも言い換えてみれば、
意識していてもしていなくても、

【総合的に判断して、最終的は「自分で選択している」】

と言えるのではないでしょうか。


■「7つの習慣」では「第一の習慣 主体的である」
において、私たちに備わる能力として、
そして私たちが知っておくべきこととして、

【私たちは、選択する力がある】

という事実を認識しましょう、
といいます。

不思議なことに、

”「やらされている」「やらざるをえない」”

と自分の行動を考えるよりも、

”「自分で選んでやっている」”

と考えた方が、気持ちも行動も前向きになるように思います。


■とするならば、
自分自身の全ての行動に対して、

「私たちは、選ぶことができる。
 そして、無意識かもしれないけれど、
 最終的には、自分で決めて、それをしている。」

と考えた方が、日々の大変な行動、すべきことがあったとしても、
少しだけ、前向きに捉え、積極的に行動できるのかもしれません。

物事は捉え方次第、ということですね。


今日も最後までお読みいただきありがとうございます。
皆さまにとって、今日も素晴らしい1日になりますように。

【本日の名言】 いつも楽しく暮らすように心がければ、
外的環境から完全に、
あるいはほとんど解放される。

       スティーヴンソン

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