『大空のサムライ かえらざる零戦隊』
(今日のお話 2450字/読了時間3分)
■こんにちは。紀藤です。
金曜日に名古屋に出張に来たついでに、
実家の岡崎市へ帰省。
父と姉と共に、
実家の近所の体育館でやっている、
おじいちゃんおばあちゃんの卓球クラブに参加。
70歳以上の方々がお相手だったので、
「体力・敏捷性は上だろう」と、余裕をかましていたところ、
ボコボコにやられました。全敗。
じいちゃんばあちゃん、強すぎ。
*
さて、早速ですが、本日のお話です。
毎週日曜日は、
「今週の1冊」のコーナー。
皆さまに是非シェアさせていただきたい本を、
ご紹介させて頂きたいと思います。
「今週の1冊」は、
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『大空のサムライ かえらざる零戦隊』 (坂井 三郎 : 著)
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です。
それでは、どうぞ。
■『大空のサムライ』。
この本、個人的に、
日本人ならば、本当に、全員に読んで欲しい。
それくらい、心から願う一冊です。
少し話が逸れますが、
「なぜこの本を(特に日本人が)ぜひ読んでほしいのか?」
について、思うところがあるのです。
■世はグローバル化と言われ、久しくなりました。
私がお手伝いしている法人研修の中でも、
「グローバル人材を育てたい」
というご相談を、頻繁に頂きます。
しかし、そもそも
「グローバル人材」
とは何なのでしょうか?
この答えについて、文部科学省の
「グローバル人材の定義」によると、
このように定義されていました。
要素1: 語学力・コミュニケーション能力
要素2: 主体性・積極性、チャレンジ精神、協調性・柔軟性、責任感・使命感
要素3: 異文化に対する理解と日本人としてのアイデンティティー
すなわち、よく言われる
「英語力」 とか
「新しい環境を切り開く姿勢(主体性・協調性)」とか
「異文化に対する理解」
なども非常に大事であるとともに、
最後にちょろっと書かれている、
『日本人としてのアイデンティティー』
を兼ね備えていなければ、
「グローバル人材」
とは呼べない、ここが大変重要だと思うのです。
そして、ここで思うのです。
それは、
『私たち多くの日本人は、果たして、どれほどの
「日本人としてのアイデンティティー」持っているのか?』
ということ。
日本に住んでいれば、
”日本人としてのアイデンティティー”があるのでしょうか?
お寺にお参りをしたり、
正月に神社にいったり、
毎年恒例の国民の休日や行事を知っていれば、
”日本人としてのアイデンティティー”を持つことになるのでしょうか?
おそらく、きっと、
そうではないと思うのです。
■これは私の考えではありますが、
「日本人としてのアイデンティティーを持つ」というのは、
『今に至るまでの「日本の歴史」、すなわち、
「先人から紡がれてきたバトン」を、
どれだけ深く理解しているか?』
ではないだろうか、
そのように思うのです。
こんなことを踏まえ、
「なぜゆえ、私が『大空のサムライ』をお勧めしたいのか?」
を、お伝えしたいのです。
(前置きが大変長くなりました汗)
■では、『大空のサムライ』とは、どんな本なのか。
この本は、
太平洋戦争において最強の戦闘機と謳われた、
”零戦”のパイロットの自伝です。
200回以上の空戦を闘い、64機を撃墜し
「撃墜王」と呼ばれた坂井三郎氏。
彼が戦時中、
・何を考え、何を思い、
・どんな覚悟で戦闘機に乗り、
・どのように死を覚悟し、
・なぜ空で戦い続けたのか、
それらが克明に描かれている手記、
それが『大空のサムライ』です。
■これを読んで欲しいというのは、
戦争が良いとか悪いとかそういう話ではないです。
ただ思うのが、日本が戦争に負け、
ボロボロの状態から、経済大国・日本へと
成長をしてきた事実があります。
その歴史のドラマの中で、
絶対に外すことが出来ない物語が、
「戦争」であり、その事実と、
そして関わってきた人達の思いではないか、
私はそう思うのです。
しかしながら、私たちは、
当時の戦争に関わった人たちが、
「何を思って戦っていたのか?」
「何を食べ、何を語り、何を信じていたのか?」
「特攻を命令された時の心境は、どうだったのか?」
「どのように死を覚悟してきたのか?」
「彼らにとっての1日の重みとは、どれほどのものだったのか?」
これらのことについて、
残念ながら、ほとんど知らないのではないかと思うのです。
■この『大空のサムライ』を読めば。
少なくとも、「戦争」という歴史が遠い話ではなく、
”ある一人の空の戦士の物語”、
というリアルな人間のドラマを通じ、
感じ、想像することができるはず。
小学生でも読める平易な文章で、
故・坂井氏が語りかけてくれることで、
「戦争、そして特攻が、
確かに、ここにあった事実」
を、きっと感じることができるはずです。
■今まさに、
”グローバル化”などと言われる昨今。
私は思うに、私を含め、
「日本に対する理解がまだまだ足りない」と
感じてしまいます。
それは、学校教育で、
それらの細かい歴史のピース、
が語られないからというのも一因でしょう。
しかし、世界がつながり、
海外の人と、真の、尊重し合える、
本当の関係を築いていこうという時代において、
「日本は何が美味しいの?」
「日本の観光スポットはどこ?」
みたいな表面的な話をするだけではなく、
”日本人”として、
「日本が、何を経て、今に至ったのか?」
「なぜアジアの一国が、明治維新、経済大国ヘとなり得たのか?」
「サムライの精神(日本の精神性)とは何なのか?」
こんな深い歴史と価値観を語れることのほうが、
ずっとずっと重要ではないか、
そのように思うのです。
だからこそ、この
『大空のサムライ』
を、日本が歩んできた軌跡の
”パズルのピース”を知るための一助として、
日本人としての教養の一つとして、
ぜひ読んで頂きたい、
そのように、強く、強く思う次第です。