メールマガジン バックナンバー

154号 2013年10月11日

「火消し」の快感に、はまらないように

■おはようございます。紀藤です。

私は以前、自動車の事故受付センターで
コールセンターの仕事をしていたことがあります。

そこで興味深い話を聞きました。

今日はそのお話からの教訓をひとつ。


■コールセンターでも例にもれず、クレームは起こります。

下手な対応をすると、炎上して、
解決までに大変な時間を要することもしばしば。
だから、対応の仕方には気を付けないと、
火に油を注ぐことになってしまいかねない。
だから、

心して仕事をせよ。

そんな教えを受けました。

そんなある時、上司が面白い話をしてくれました。

ある2つのメーカーの話です。

A社は、月に1000件のクレームがありました。

すぐに、オペレーターの対応力を高め、
どんなクレームでも1時間以内に処理できるようになりました。
当面の問題は解決しました。

B社もまた、月に1000件のクレームがありました。

ですが、B社はそのクレームの詳細を集め、
いつ、どのようにクレームが起こるのかを徹底的に調べました。

時間はかかりましたが、結果、説明書の改定、商品の仕様を変更し、
クレームの数を月に10件まで減らすことができました。

では、
「どちらが優れていると思うか」
そんな質問でした。


■結論から言えば、

「クレームをそもそも起こさないようにすることが大事」
ということが上司は言いたかったわけです。

それは、とても理解できる話です。
寧ろ当たり前すぎる話。

しかしそうとは判っていても不思議なことに、
私たちはつい、

「火消しの活動」(=クレームに対処する活動)

に走ってしまいがちなように思います。

緊急な火消しの仕事はドキドキして、
なんだか「仕事をした感」が出ます。
実際、脳科学的にも、興奮物質が出て気持ちよくなるそうです。

逆に「火事を起こさない活動」(=クレームの予防)は、
地味で、すぐに成果も出ない。

だから、つい
「何はさておき火消しを!」
となりがちです。

しかしながら、
いくら火消しの能力を上げても、
火が起こる原因に目を向けなければ、
火消しの作業を延々と続けることになるのは、至極当然のこと。


■ですが、これと同じようなことが、
私たちに人生にもしばしば起こっているように思います。

会社でも同じでしょう。

利益がほしい、と偽装をして何とか数字をあげても、
結局は、お客様に支持され、選んでいただける会社にならねば、
いずれ衰退していくでしょう。

一人の営業として言えば、
成績がほしい、とスキルだけを磨いても、
「根の部分でお客さんを打ち負かそう、食ってやろう」と思い続けていれば、
いつか関係は破綻し、継続的な関係はなくなり、
成果も上がらなくなるでしょう。


■このようなことを「7つの習慣」では、

「効果性のルーツ」

といい、人生の原則として説明をしています。

原則とは、因果関係のことで、
本人が意識しようがしまいが関係なく働く力のこと。
(重力とか、慣性の法則などもそうですね)

人でも、企業でも、

表面の見える部分(=個性)だけに目を向けるのでなく、
見えづらい部分(=人格)に集中しなければ、
継続的な成長は見込めない。

そのような教訓をお伝えしています。

時間はかかるかもしれませんし、
非常に地道なものかもしれませんが、
常に問題の「根の部分」に目を向ける習慣をつけることで、
私たちは継続的に成長をすることが出来る。

1000件のクレームを1時間で処理できるぞ!
と自慢するより、
1000件のクレームを10件にできた!
と誇れる人物を目指したいものですね。


■今日のお話は、

・問題が起こると、人はつい「火消し」の対応に走りがち。

・しかし、根本の原因をなくさねば、結局問題は解決しないまま。
 
・これは、表面的なスキル(個性)ばかりに目を向けて、
 根の部分(人格)を疎かにした会社や人生と似ている。
 
・結局、継続的に成果を求めるのであれば、
 表面でなく、根の部分に目を向けることが大切なのでは。
 
という内容でした。


今日も皆様にとって良い一日になりますように。

【本日の名言】 自分がどうなりたいか、
まず自分自身に問え。
しかる後、
しなければならないことをせよ。

                 エビクテトス

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