「忙しそうだったので、取り急ぎメールで送ります」の効用と弊害
■おはようございます。紀藤です。
最近つくづく感じるのですが、
通信機器の発達が、私達の生活を
本当に便利にしてくれたなと思います。
弊社はGmailを使っているのですが、
場所や状況を選ばず、常にアクセスできるため、
かなりの時間短縮が出来ているように思います。
メールだけでなく、チャット機能なども付き、
相手の状況を気にせずに要件を伝えることもできます。
■しかしながら、とある有名企業の元社長が
興味深い事をいっていました。
彼は当時、部下に対して、
「半径5m以内にいて、メールで要件を伝えてきたらクビ!」
と言っていたそうです。
そして、私が知っている偉い方も、
生のコミュニケーションを大事にされていて、
「要件があるなら、メールでなく、直接連絡をせよ」
という方がいるのも、何人か思いだされます。
その方々がいうには、
「面と向かったコミュニケーションは要件を伝えること以上の意味がある」。
そして、私もその意見はわかるような気がします。
■とはいえ、
仕事をしていると、殆どの場合、
大体の場合、みなさん忙しそうに見えますよね。
こんな時は、話しかけていいものか迷うことがあります。
立場が上の方であれば、特にそう。
だから、気を使ってメールで送って、
「時間があるときに見ておいてくださいね」
とするのは、一つの親切心ともいえます。
■しかしながら、このような
「忙しそうだから、とりあえずメールで送りました」
のコミュニケーションを、
考えなしに多用しすぎると、
マイナスの結果を生んでしまう可能性もあるのでは、
と思うのです。
仮に忙しそうな上司に話しかける場面を考えます。
妙なタイミングや、まずいタイミングで話しかけると、
「空気の読めないヤツ」になってしまいます。
(私がよくやるパターン苦笑)
そうはならないためには、
上司に話しかけていいかどうかを、
自ずと気にすることになります。
「今大丈夫ですか」と聞くのは当たり前ながら、
より視野が広く、よりレベルが上な対応を考えると、
「今、何をやっていて、どんな状況なのかを想像する」
ということもできます。
つまり、
「メールでなく、直接の報告をすることで、
コミュニケーションのアンテナが高くなる、
あるいは高くしようとする機会になる」
と言えるのではないでしょうか。
そして、そんな場面が一週間に何回もあれば、
相乗効果として、気遣いのレベル、
仕事の協力のスタンス、まで高まるのかもしれません。
■その反面、
「どんな状況かわからないから、とりあえずメールを送っておけばいいや」
を習慣にしてしまうと、日々訪れる
「配慮をする機会」
「相手の状況を考えるタイミング」
を失ってしまう、とも言えるのかもしれません。
すると、
空気が読めなくなって、出来ないレッテルが張られる。
↓
するとますます話しかけることが億劫になる。
↓
空気を読む練習、をする機会が減り、ますます空気が読めなくなる
という恐ろしいスパイラルに入っていくことすら起りうるかも。
(あくまでも、極端な例です)
■ちなみに『7つの習慣』では、
人と協力して、より大きな成果を出すにあたって(相互依存)、
「第四の習慣 Win-Winを考える」
がという考えが必要である、と述べています。
これは、
自分だけが得をする(WIN)でなく、
相手もプラスになる(WIN)ことを目指しましょう、
それが、協力して成果を出す上で大事ですよね、
という概念です。
些細なコミュニケーションであったとしても、
「自分がよければいい」
でお構いなしで、
相手の敷地に土足で踏み入るような行為を、
何度も何度もやってしまったら、
恐らくその人の信頼は低下していくでしょうし、
結果として、仕事もやりづらくなるのでしょう。
■あくまでも、バランスの問題ですので、
「メールはダメ」という話では全くありません。
ただ、考えなしにシステムに頼りすぎると、
「面と向かったコミュニケーションの効用」
のように、自分達が得てきたプラスの面を
知らず知らずのうちに放棄してしまうことになりかねない、
ということを、強く思う次第です。
上記のようなことを考慮に入れた上で、
上手にシステムを見方に付けて活用したいものですね。
強い自戒を込めて。
■今日のお話は、
・メールなど、便利なシステムが増えた。
・それによって、効率的になり、
面と向かったコミュニケーションをする必要も減った。
・しかしその反面、ある優秀なビジネスパーソンは
「面と向かったコミュニケーション」にこだわる人もいる。
・それはなぜか。それは、要件を伝えることを超えた効用、意味があるから。
・その一つとして、「声をかける」行為は
「相手の状況を気遣う・考える」機会であるとも言える。
・だから、それを考えずにすむメールが「とりあえず楽だから」
と習慣化してしまうと、コミュニケーションの質が下がる。
・そうすると、お互い協力して仕事をするというスタンスにも
悪い影響をもたらしてしまう可能性があるかもしれない。
・だから、システムは便利だが気をつけて使う必要があるのでは。
という内容でした。
今日も皆様にとって、良い一日になりますように。