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61号 2013年5月30日

群盲象を評す

■おはようございます。紀藤です。

梅雨に入り、肌寒くなってきましたね。
今日は雨です。皆様、外に出かけるときは傘を忘れずにどうぞ。

さて、私の家では、夏休みの計画を立て始めました。
あまり争いは好きでないので、そんなに揉めることはないのですが、
「あっちがいい、こっちがいい」と奥さんとの間でも意見の食い違いが生じることがあります。


■ビジネスの会議の場でなどでも、こんなシーンを見ることがあります。

Aさん「これはこういう見方もできないか」
Bさん「いやいや、これはこうだよ!」

という意見の食い違いが生じ、結局、真実は置いておいて、
声の大きい人、多数派の意見が通る、
力のある人の意見が通る…。
(私も「これがいい!」とよく押し通してしまいますが…汗)

生きてきた経験や環境が違い、
見方や考え方が違うのだから、
意見の違いが起こるのは当然かと思います。

しかし、そんな中、仕事や家庭で、物事を決定し、
方向性を決めていかなければなりません。


■ではどうやって決めるのがよいのでしょうか。

セブンイレブンの鈴木敏文社長の場合、勝利の秘訣として、
こんな事を言っています。

「皆が賛同するような答えは
他の人(競合)も考えているので、成功の確率が低くなる。
だから、あえて反対されることを行う」

声の小さい、でも的を射ている意見が、
確かにそこにあるというのも事実。

そう考えると、
より正しい答えに導いていくためには、
そんな少数派の意見も、声の大きい多数派の意見も、
どちらも取り入れていく必要があるように思います。


■こんな話をご存知でしょうか。

目の見えない人々が、ある「モノ」を触って意見を述べます。

「これは、まるで木の枝のようだ」
「いやいや、柱のようだよ」
「大きな壁がここにはある!」

そして、それを聞いた王は答えます。

「あなた方は皆、正しい。
あなた方の話が食い違っているのは、
あなた方がゾウの異なる部分を触っているからです。
ゾウは、あなた方の言う特徴を、全て備えている」

というお話。

(※インド発祥の「群盲象を評す」という寓話で、
異なる信念を持つ者たちが、互いを尊重して共存するための原則を示しています)


■人はそれぞれ価値観も考え方も違うもの。

その異なる価値観・考え方を尊重し、全体を広く見て、
最も正しい答えを導くことが大切なように思います。

個人的な意見ですが、
ある特定の一人が経営学・歴史・経理・財務・企画など、
幅広い知識・スキルを磨いて、圧倒的に頭のよく、判断できるスーパースターを目指し、
「100の能力から1000に能力を高める」よりも、
ある10人が、
「100の能力をみ合わせ、1000、2000にする」文化を作る方が、
より永続的に発展できる組織・チームになれるように感じます。

言うは易しですが、
そんな組織文化を作ることができたら、
長期・継続的に成果を上げることもできるのかもしれません。


■『7つの習慣』の「第六の習慣 相乗効果を発揮する」において、
異なる2つの意見から生まれる偉大な解決策を、「第三案」と呼んでいます。

異なる意見から「第三案」を見つけるためには、
まず相手を理解することが必要です。

そして、相手を理解する前提として、

「人は違ったパラダイム(見方)で物事を考えており、その人にとってそれは正しい」

ことを知る必要があります。

「あなたにとっての正しい答え」
「私にとっての正しい答え」

を尊重し、そして、まだ見つかっていない「本当に正しい答え」。

それがあると信じて、
日々クリエイティブな意見交換をしていきたいもの。

勉強や知識ももちろん必須ですが、
学んだスキルを活かすためにも「群盲象を評す」とならないように、心がけたいですね。


今日も皆様にとって良い一日になりますように。

【本日の名言】 同じ仕事に携わる二人の人間が
常に同じ意見なら、
一人は無用である。      
二人の意見が常に違うなら、
二人とも無用である。

                ダリル・F・ザナック

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