あるアルピニストに学ぶ、「ボイス」
■おはようございます。紀藤です。
最近、マラソンなどのからみもあり、
「耐久」「限界」「挑戦」というキーワードに
つい魅かれる(?)今日この頃です。
少し前に、テレビでも特集をされていたのですが、
皆さんはアルピニスト(登山家)の「栗城史多」さんという方をご存知でしょうか?
■テレビで私が見たのは、
栗城氏の4度目のエベレストの登頂の一部始終を映像に収めたものでした。
最後の山頂アタックの際、
天候が悪く、危機的な状況の中で、
仲間との無線のやりとりの記録が描かれていました。
平均温度氷点下27度、時速320kmという風が吹き、
瞬く間に体が凍りつく環境がエベレストの山頂。
その山頂付近において、日が沈み、暖をとるものは何もない。
あるものは簡素なテントだけ。
既に夜を迎えたため下山はできず、そこで朝まで過ごし、
ベースキャンプへと戻るということになりました。
「もう、(肉体も精神も)限界です」
「手の感覚が、ない・・」
と消え入りそうな声で話している栗城氏。
その後、何とか下山することができたものの、
重度の凍傷を負い、10本中9本の指を切断せざるを得ない、と診断されました。
(実際に、その指の映像を見たのですが、真っ黒になっており、
かなりショックを受けました)
■19世紀の有名な登山家ジョージ・マロリーが、
「なぜ、あなたはエベレストを目指すのか?」という問意に対して、
「そこに山があるから」と答えた話は有名ですが、
この番組を見ているとそれだけでは、私はよく理解できませんでした。
それに対するように、栗城氏は「山を登ること」に対する自分の想いを、
公式ホームページ上でこのように言っています。
「見えない山を登っている全ての人たちへ
冒険の世界だけが特別な世界ではない。
人は誰もが冒険し、見えない山を登っている。
見えない山を登っている全ての人達と冒険を共有し、
夢を否定しないで自分の中にあるエベレストに一歩踏み出す人を増やすこと。
それが、僕の冒険であり、自分の山です。
栗城史多」
「自分の中にあるエベレストに一歩踏み出す人を増やす」。
このことを実現するために彼は、
自分の登頂を目指す姿をオンタイムで見せるために、
ただでさえ過酷な登山に、映像用機材を持ち山に挑みます。
「山に登る」、
という自分自身の挑戦を通じて、
自分のためだけでなく、世の人々へ影響を与えたい。
彼はそんな思いで登山に挑戦し続けているように思えました。
■7つの習慣に続く「第8の習慣」において、コヴィー博士は、
『ボイス』(内面の声)という言葉を使って、この大切さを述べています。
『ボイス』とは、
7つの習慣の各習慣の「質」を高めるもの。
個としてのかけがえのない意義の現れであり、
困難に見える課題をも乗り越えさせてくれるもの。
新しい時代に私たちに求められていることは「偉大さ」であり、
(偉大さ = 大いなる貢献をすること、情熱をもって実行する、課題を達成すること)
偉大さを実現するために、『ボイス』(内面の声)を呼び覚ますことが必要である、
と、コヴィー博士は説明しています。
つまり、人生を強く輝かせるためには、
自分自身の「ボイス」を見つけることが重要である、ということ。
また、「ボイス」は4つの項目から成っており、
1つ目は、自分の「才能」
(つまり、天賦の才、強さ)
2つ目は、「情熱」
(つまり、自分自身を自然に活気づけ、ワクワクさせ、モチベーションを与えるもの)
3つ目は、「ニーズ」
(生活を成り立たせるために、世界が必要としているもの)
4つ目は、「良心」
(何が正しいかを確信させてくれ、その通りに行動させる心の声)
この4つの重なりあった中心部分が「ボイス」であり、
その部分に力を集中することが世の中に対しても「大いなる貢献」になる、
と述べています。
栗城氏の行為が注目されているのは、
自分のできる才能、情熱、良心を重ね合わせたものが、世の中のニーズに合う、つまり、
人々に勇気を与えてくれるからではないでしょうか。
■自分自身の「ボイス」を見つけることは、簡単ではないと思います。
しかし、自分自身を掘り下げて、
命を削ってでも成し遂げたいという「ボイス」に出会えたとするならば、
きっとその人はとても幸せなのではないかと私は思います。
栗城氏は、一般的には「絶望的」とも呼べる、
指をほぼ失いかけているこの状況でも、
「自分の指は、危機的な状況で生き延びるために、
自らの細胞を閉じた。でもきっと目覚めるはず」
と前向きにとらえ、また山に挑戦するために、現在も治療を続けています。
彼に対する意見は様々なものもあるかと思いますが、
きっと栗城氏は彼の「ボイス」を見つけたのではないでしょうか。
私も自分自身の「ボイス」を大切にして、
日々頑張ろうと改めて気を引き締めた次第です。
(私は栗城氏と同い年ですが、全くかないませんね・・・汗)
皆様の参考になれば幸いです。
今日も皆様にとって良い一日になりますように。