今週の一冊 『八甲田山死の彷徨』
(本日のお話 1775文字/読了時間2分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日は3キロのランニング。
また、伸び放題になった坊主ヘアを
刈りに、渋谷の美容室へ。
そのまま、パソコンの買い替えに、
渋谷の家電量販店に情報収集へ。
ならびに、
昔一緒に住んでいたシェアハウスの仲間と、
妻、私の3名で久しぶりに夕食でした。
元シェアハウスメンバーの彼女も、
人事関連の仕事をしているとのことで、
人を育てること、組織を変えることの難しさ
を感じている、とのことで大変盛り上がった次第。
組織と人の課題は、本当に深いですね。
*
さて、毎週日曜日は、
おすすめの1冊をご紹介する「今週の1冊」のコーナー。
今週の1冊は
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『八甲田山死の彷徨』(著:新田 次郎)
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です。
■一言、この本は、衝撃。
「”組織”や”人”について語るのであれば、
絶対に読んだ方がいい、いや読むべきだ!」
と友人に強く薦められ、
先日、読み始めました。
読み始めると、その世界に引き込まれ、
止められることもできず、一気に読み進めてしまいました。
■この本は、実際にあった
「ある事件」を元に書かれています。
その事件とは、
「八甲田雪中行軍遭難事件」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%85%AB%E7%94%B2%E7%94%B0%E9%9B%AA%E4%B8%AD%E8%A1%8C%E8%BB%8D%E9%81%AD%E9%9B%A3%E4%BA%8B%E4%BB%B6
というもの。
ウィキペディアの解説を引用しますと、
”1902年(明治35年)1月に日本陸軍第8師団の歩兵第5連隊が
青森市街から八甲田山の田代新湯に向かう雪中行軍の途中で遭難した事件”
です。
もう少し掘り下げると、
” 訓練への参加者210名中199名が死亡(うち6名は救出後死亡)するという
日本の冬季軍事訓練における最も多くの死傷者が発生した事故であるとともに、
近代の登山史における世界最大級の山岳遭難事故である”
という凄まじい事件。
■日露戦争前夜、
「寒さに強いロシアに対抗するために、
厳寒の八甲田山中で、雪中で行軍訓練をし、検証せよ」
という軍のトップ層の命を受け、
第三十一聯隊、第五聯隊、という2つの部隊が、
その行軍訓練に参加することに。
言葉にすると、イメージが付きませんが、
とんでもないことなのです。
厳冬の雪山は、別名、白い地獄。
とてつもない環境であり、その訓練はまさしく、
「人体実験」だったのでした。
*
そして、上記の
第三十一聯隊、第五聯隊
この2つの部隊は、
その”リーダーシップのあり方”により、
明暗がはっきりと分かれるのです。
深雪の対策を行った三十一聯隊は、
1人の犠牲者も出さずに任務を完遂。
一方、気象の苛烈さを侮り、
「精神論」で行軍に挑んだ五聯隊は199名もの死者を出してしまうのです。
その2つの組織の対比から、
今なお残る「日本のリーダーシップ」の問題、
例えば、
・責任者が明確ではない
・精神論で語る(最近は減りましたでしょうか)
・お上に逆らえない
・結果よりメンツを重んじる
、、、
これらの根本的な組織体制(つまり軍のあり方)の問題の発端を、
1902年当時の実際の事件から、
「組織が自壊していくプロセス」
を、恐ろしいほどの現実感と
生々しさをもって、目の当たりにするような小説です。
■決して、明るいテーマの本ではないですが
だからこそ、学ぶことが多い一冊。
”日本の組織の負の部分”。
”リーダーシップが機能しないと、どうなるのか”。
これらを直視する一冊として、
読むに値する本です。
あと、単純に小説としても、
ものすごく面白いです。
本当に、生々しすぎて、
手に汗握り、衝撃を覚えます。
(以下、本の紹介を、メディアレビューより引用です)
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【この世の地獄! 日本陸軍史に残る悲惨な事件を味わう】
日露戦争前夜の1902年、一つの壮大な人体実験が行われた。
厳寒の積雪期において軍の移動が可能であるかを、
八甲田山中において検証すべし。
青森第五聯隊の神田大尉と弘前第三十一聯隊の徳島大尉は、
それぞれ特命を受けて過酷な雪中行軍に挑むことになる。
この世の地獄が前途に待ち受けているとも知らずに。
(中略)
新田次郎『八甲田山死の彷徨』は日本陸軍史に残る悲惨な事件を題材とした山岳小説である。
気象学を修め、登山家でもあった新田の描く雪山の情景は、
恐ろしいほどの現実感をもって読者の胸に迫る。
(週刊文春 2017.3.16号掲載)
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最後までお読みいただき、ありがとうございました!
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<今週の一冊>
『八甲田山死の彷徨』(著:新田 次郎)
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