苦しむことはなにかを成し遂げること
(本日のお話 2215文字/読了時間3分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日日曜日は、東京に住んでいる、
同い年の従姉妹(税理士)に、
起業後の税金関係の相談に行ってまいりました。
よくわからないことだらけですが、
「血液」としてのお金に関わることも、
もっともっと勉強しないとな、、、
と思い知った1日でした。
*
さて、本日のお話です。
最近、文字通り、
”世界で戦っている人たち”
に触れることがあり、
そしてそこから思うところがありました。
自分自身への「内省」「反省」も含めて、
書籍を読んだりしている中、
ふと、先日改めて読み直した、
『夜と霧』(著:ヴィクトール・E・フランクル)
になんとなく惹かれ、
再度、よみ直していたところ、
心を掴まれる一節がありました。
今日は、そのお話を皆様にご共有させていただくと共に、
学んだことをお伝えできればと思います。
タイトルは、
【苦しむことはなにかを成し遂げること】。
それでは、どうぞ。
■「名著」という言葉では、
書き尽くせないほどの、
人類の遺産とでも言えるほどの素晴らしい本、
それが、先述の
『夜と霧』
だと思っています。
ナチス政権での
強制収容所に入れられていた、
医師(心理学者)である著者が、
”人が収容所の中で、
どのような精神になるのか”
を感傷的ではなく、心理学を専門とする、
医師ならではの客観的な視点で捉えている本。
そして、その過程から
「人間」
という存在がいかなるものかを考えさせられる
哲学書でもあると思います。
(本当に読んでいない方は、
とりあえず買ってみてください。
これから人生で、病、別れ、悲しみ、、、
そんな「痛み」を伴うとき、
「人」という生き物が最後の最後、
どうあることができる存在なのか、
を考えさせてくれる一冊です)
■その著書の中で、こんな一節があります。
それは収容所の中で、
虐待、飢餓、強制労働、凍傷、
非衛生的な環境、、、
あらゆる辛苦を味わい尽くしている先に、
ある精神状態になった、といいます。
それは、以下のような内容でした。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
【苦しむことはなにかをなしとげること】
強制収容所にいたわたしたちにとて、
こうしたすべては決して現実離れした思弁ではなかった。
わたしたちにとってこのように考えること
(補足:人間は苦しみと向き合い、この苦しみに満ちた運命を
とことんひきうけることが、生きる意味であると考えること)
は、たったひとつ残された頼みの綱だった。
(中略)
苦しむことの意味が明らかになると、
わたしたちは収容者生活に横溢(おういつ)していた苦しみを、
「抑圧」したり、安手のぎこちない楽観によって、
ごまかすことで軽視し、高をくくることを拒否した。
わたしたちにとっては、苦しむことですら課題だったのであって、
その意味深さに、もはや目を閉じようととは思わなかった。
私たちにとって、苦しむことはなにかをなしとげる
という性格を帯びていた。
(引用:『夜と霧』(著:ヴィクトール・E・フランクルより)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
■強制収容所の「苦しみ」とは、
本当に、人間として考えられる限りの
「苦しみ」であり、今の現代と、比べようもない事かもしれません。
でも、人は太古の昔からずっと、
「苦しみ」
という”負”の感情と、
どう向き合い、どう付き合うかは、
永遠の課題でした。
そして、それは現代でもそう。
人は、悩み、苦しみます。
その「苦しみ」の質がどう変わったのか、
という比較はできないにせよ、
「苦しみがずっと続き、
しかも消えないと思った時に、
それをどう捉えるのか」
という”あり方”については、
上記の『夜と霧』の一節は考えるヒントになるのでは、
と思ったのです。
■そして、その一つが、
『「苦しむこと」に意味を見出す』
ということなのでしょう。
このようなことを、
言葉で書くと本当に薄く感じてしまいますが、
それでも、そうなのだろう、と感じるのです。
今感じている「苦しみ」に向き合うことそれ自体が、
「なにかを成し遂げていること」
である、、、
実際に、収容所における、
本当に希望も持てない状態で、
人はそのように思うことができる生き物である、
ということが、我々の現代の生き方にも、
一つの光明を指し示してくれる気がするのです
■この一節の後、著者は
このようにも書いていました。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
ものごとを、つまり横溢(おういつ)する苦しみを
直視することは避けられなかった。
気持ちが萎え、ときには涙することもあった。
だが、涙を恥じることはない。
この涙は、苦しむ勇気を持っていることの証だからだ。
(中略)
たとえば、あるときわたしがひとりの仲間に、
なぜあなたの飢餓浮腫は消えたのでしょうね、とたずねると、
仲間はおどけて打ち明けた。
「そのことで涙が涸れるほど泣いたからですよ、、、」
(引用:『夜と霧』(著:ヴィクトール・E・フランクルより)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
我々が何かを悩んだり、苦しんだりするとき、
「向き合う勇気を持ち、直視し続けること、
それ自体が何かをなしとげること」
すなわち、
【苦しむことはなにかを成し遂げること】
と捉えることもできるのでしょう。
*
とことん、悩む。
とことん、考える。
とことん、苦しむ。
大変だし、できれば考えたくないけれど、
人だからこそできる、貴重なことでもある、
とも思います。
物事の解釈を、捉え方を、
できるだけ広く、成熟させていきたいものだ、
と思う次第です。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
本日も皆様にとって、素晴らしい1日になりますように。
=========================
<本日の名言>
海よりも広いものがある。それは空だ。
空よりも広いものがある。それは人の心だ。
ヴィクトル・ユーゴー
=========================