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1605号 2018年7月9日

「会者定離」という太古から続く原則から考える、”今、この時を大切にする”ということ

(本日のお話 2153字/読了時間2分半)


■おはようございます。紀藤です。

昨日日曜日は、新宿にて、
紀伊国屋→映画『万引き家族』を、
妻とともに観に行ってきました。

パルムドール受賞映画、という、
注目の映画だから、、、というミーハーな理由も
なきにしもあらず、でしたが、
観終わった後、しばらく無言でした。

理由は、ただただ

「重い話(=考えさせられる話)」

だったから。

さすが是枝監督、の一言。




これはあくまでも私の意見ですが、
”良い映画は、いろんな側面で考えさせられる”
と感じます。

少し映画のテーマに触れるのですが、
(内容には触れません)

”どんなことを考えさせられたか”

という話で、帰り道
妻と私で話し合っていたところ、
こんな意見が出たのでした。

-----------

・そもそも、世には”選択肢”がない人が、
 確かに存在している。

・「社会的な悪いこと」と頭でわかっていても、
 生きる手段として、それらを選ばざるを得ない人がいる。

・自分達は選択肢があるから、
 良いとか悪いとかいう余裕があるけど、
 自分がその状況だったら、どうするだろうか。


・また「愛情」とか「善悪」の形は
 社会が決めた価値観で、くくれない。
 
・今の世の中は「価値観」の正解を決めて、
 そのルールの中にいる人を「○☓」をつけるもの。

・ただそれらは、社会が変わればスグ変わる、脆いもの。

・そのことに気づいた上で我々は「道徳」というものを、
 どう考えているか。その上で、人を受け入れたり、
 批判したりしているだろうか、

-----------

、、、

というような意見。

妻と私、それぞれ、視点が全く
違っていて、実に面白かったのです。

本当に面白く(という表現が適切かわかりませんが)、
とてもお勧めの一作です。


■ちなみに、
この映画の深い部分にある問いの一つとして、


「道徳とはなんぞや?」


というものが含まれている、
と私は感じます。

人が人を裁き、
そして戦争にも関わる、
人類と同じ年輪を重ねたテーマが「道徳」です。



そして、社会的問題でもある、
この問いを考えるにあたって併せてお勧めしたいな、と感じる
「お勧めの一冊」があります。

それは、


『東大理系教授が考える 道徳のメカニズム』
(著:鄭 雄一)
http://amzn.asia/dwDi5Qg


という本。

東大の理系教授が、

「道徳とはなんぞや?」

というテーマに切り込んだ本で、
今回の映画にも関わる、

「万引きは”悪”か?」
「殺しは”悪”か?」
「嘘をつくことは”悪”か?」

ということを、ロジカルに、
深く考えさせてくれる一冊。


「一人殺せば殺人、100万人殺せば英雄」

という戦争について考えさせられる言葉がありますが、
このことについても一つの「理系的考え方」を示してくれる本です。


※以下URLから要約が2分でよめます。

 https://ddnavi.com/news/243419/a/
 (引用:「人を殺すのは悪いこと? 善いこと?」という問いに理系教授が答える)


、、、ということで、
前置きが大変長くなってしまいましたが、

『万引き家族』

とってもよかった、というお話でした。


■さて、本日のお話です。

最近、私がとても大切にしたい、
と思う言葉に出会いました。

それは、


『会者定離』


という言葉。

今日は、この言葉の意味ついて、
ぜひ皆様に思うところを、
ご共有させていただきたいと思います。


タイトルは、


【「会者定離」という太古からの原則から考える
 ”今、この時を大切にする”ということ】。


それでは、どうぞ。



■『千古不易』という四字熟語があります。


この言葉の意味は、

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

せんこ-ふえき(千古不易)


永遠に変化しないこと。価値などが長年にわたり変化しないこと。

「千古」は太古、遠い昔。
また、そのときから現在に至るまでの長い時間。

「不易」は変化しないこと。
「易」を「えき」と読むときは変わる、変化するの意。

(Goo辞書より引用)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

という意味だそう。


■すなわち、

”人が持つ「原則」「定め」みたいなもの”

というとシンプルですね。

そして、「千古不易」(=太古から変わらぬこと)の
一つのルールとして、


【会者定離】


というものがある、
という話を聞きました。


この言葉は、


”出会ったものは(=会者)、
 必ず離別する(=定離)”


ということ。


■どれだけ今の関係が深かろうと、
またずっと続く関係だと思われても、

”出会ったものは、必ずどこかで離れる”

のです。

それが、深い深い関係である、

・母と息子であれ、

・夫と妻であれ、

・親友とのつながりであれ、

・苦楽を共にした仲間であれ、

・仕事で歩む同僚・部下であれ、

・師匠と弟子であれ、

、、、

必ず、どこかで離れる「定め」がある。


このことを考えた時に、
しみじみと、

『今、この時を大切にしたいものだ』

と思ったのでした。


■大好きな人であれ、
イヤな人であれ、必ず人は別れるもの。


そして、
「人生はずっと続くものではない」
と深く考えてみると、


”今、目の前の人との縁を大切にする”


ということ、

ともすれば綺麗事に聞こえるこの言葉が持つ重みを、
考えさせられます。



■きっと皆様も、今日一日、

人と出会って、
そして仕事をしたり、
共に語らったりもするのでしょう。


そんな時、


【会者定離】(=出会ったものは必ずいつか離れる)


という今この時の大切さを考えてみると、
また、その時間が違った意味を持つようにも思います。


何事も解釈次第。

ぜひ、今この時を、大切にしていきたいものだ、


そんなことを、
『万引き家族』も観ながら
強く思った次第です。



最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。

本日も、皆様にとって、素晴らしい1日となりますように。


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<本日の名言>

ひとりの人と友人になるときは、
その人といつか必ず絶交する事あるを忘るるな。

石川啄木

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