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1802号 2019年1月23日

「プラトン」の『パイドロス』から学ぶ、"真実の愛"のあり方(前編)

(本日のお話 3286字/読了時間4分)


■おはようございます。紀藤です。

昨日は、フランクリン・コヴィー社での、
新商品の社内向けトレーニングへの参加でした。

日本だけでなく、世界でも人材育成の課題は根本的には同じもの。
改めてその事実を知るとともに、海外を含め、知見を集めていこうと思いました。

また昨日から、読者様アンケートにご回答いただき、誠にありがとうございます!

回答結果から色々と気づきがあり、

・「妻ネタ」が面白い、妻コーナーがあってもいいのでは
・「行替えが多すぎる」と感じている
・「質問コーナー」などを設けてほしい
・「歴史」「古典」などシリーズ化してほしい
・「今週の一冊」が新しい本を読む時の参考になる
・「鼻毛カッター」の話が大変参考になった
・「人材・組織開発ネタ」がもっとあると嬉しいと思う
・「深いテーマ」何回かに分けた長編として読みたい

などなどのご意見をいただきました。

これらの意見も、これから反映させて参りたいと思います。
まずは、少し「行替え」のやり方を変えて、発信してまいりたいと思います。
(ぜひご意見くださいませ)

引き続き、読者様アンケート募集しておりますので、ご協力のほどよろしくお願いいたします。

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【読者様アンケートのお願い(回答時間1分)】
 ↓↓↓↓
 https://goo.gl/forms/rUrHueebdcLi9tL63
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さて、本日のお話です。

1月に参加をした「古典」をひたすら学ぶ「日本アスペン研究所」。
http://www.aspeninstitute.jp/seminar/young_executive/

これまで触れてこなかった過去の偉人たちの著書を読みながら、深い思索を楽しむワークショップの時間でした。
本日は、その古典でのワークショップを通じて感じたことを、皆様にご共有させていただきたいと思います。


タイトルは、


【「プラトン」の『パイドロス』から学ぶ、"真実の愛"のあり方(前編)】


それでは、どうぞ。


■プラトン。
(紀元前427~347)

この哲学者の名前を、誰もが一度は聞いたことがあると思います。

プラトンは、古代ギリシアの哲学者。
そして、若くしてあの「ソクラテス」に学びました(『無知の知』と語った、あの方です)。

プラトンは、師である「ソクラテス」が主人公とする対話を創作し、それが西洋哲学の原型になったと言われます。
そんなプラトンの作品の中で、『パイドロス』という作品があるのですが、これが、大変面白く、考えさせられるお話でした。



作品『パイドロス』は「美と恋(エロース)」のお話です。

ちなみに当時古代ギリシアでは、「恋をする相手は少年」という風習がありました。
(その当時は、女性は子供を生むための存在、恋をする相手は少年、だったそうです)

そして、偉大な哲人ソクラテスが、青年パイドロスに
「恋(エロース)とはなにか」を語る、、、
そんなストーリーが『パイドロス』です。

当時、古代ギリシアではこう考えていました。

"元々、人間の魂は、天上にあって神々の魂と一緒に行進していた。
 しかしある時、進路をそれて地上に転落し、魂が「肉体」に閉じ込められてしまった。
 それが、現在の人間が置かれている状況である"

そんな中で、プラトンは「恋(エロース)」について、青年パイドロスにこのように語るのです。

(以下、翻訳文から引用です)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

この地上における最初の代の生を送る間、
自分がその隊員の1人だったそれぞれの神に応じて、その神を敬い、
できるだけその神をみならって生を送り、かつはまた、
恋人たちはそのほかの人たちと交わり、
身を処する仕方もこの自分の神の流儀に従う。

だから、各人は美しい人たちを恋するにあたっても、
それぞれ自分の性格にしたがって恋の相手を選択し、
そして選んだ相手その人を神とみなしつつ、
崇敬し礼拝するためにいわば自分の聖像として仕立て上げ、飾るのである。

かくして、まず、ゼウスの従者出会った人々は、
自分たちによって恋される者の魂が、
何かゼウスに似た性格を持っていることを求める。

(後略)

引用:『パイドロス』(著:プラトン)岩波文庫より
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~


■言葉が少し慣れないかもしれません。

しかし一つ一つ読み解いていくと、非常に情緒深い表現だな、と思います。

例えば、

"各人は美しい人たちを恋するにあたっても、 
 それぞれ自分の性格にしたがって恋の相手を選択する"

"そして選んだ相手その人を神とみなしつつ、
 崇敬し礼拝するためにいわば自分の聖像として仕立て上げ、飾る”

”かくして、まず、ゼウスの従者出会った人々は、
 自分たちによって恋される者の魂が、
 何かゼウスに似た性格を持っていることを求める”

という表現。

"誰かに恋い焦がれる、好きで仕方がない"、という気持ち。

これは、

『相手の中に、天界で自分と一緒だった"神"を見出している』

という語って聞かせるのです。
ロマンチックです。


■かつ、こんな話も続けます

(以下、再び引用です)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

この物語のはじめに、われわれは、それぞれの魂を3つの部分に分けた。

その二つは、馬の姿をしたものであり、
第三のものは、馭者(ぎょしゃ)の姿をもったものであった。
今も引き続いて、これらの姿をそのまま思い浮かべることにしよう。

ところで、われわれの説くところによると、
これらの馬のうち、一方は優れた馬であり、他方はそうでないということであった。

しかし、我々はその馬がどのような良いところをもち、
悪い馬が持っている悪い点は、どのようなものかということについては、詳しく話さなかった。

それをいま、話さなくてはならない。

引用:『パイドロス』(著:プラトン)岩波文庫より
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

そしてこの話に続く「それぞれの魂を3つに分けた」部分は、
以下のような内容として続きます。

私達人間は、天上から神と別れて落ちた魂の片割れである。
そしてその魂は「3つの部分」からなる。

その3つ部分とは、

1,悪い馬
2,良い馬
3,馭者(乗り手)

であると。そして、それぞれの馬の特徴は以下のようである、と語ります。

1,悪い馬・・・不細工。言うことを聞かない。暴走する。鞭を振ってようやく言うことを聞く。
2,良い馬・・・美しく、端麗。冷静。言葉で伝えるだけで、鞭を振るわずとも、言うことを聞く。
3,馭者・・・その2頭の馬の手綱を持つ者。

そして、恋する人を目の前にすると、馭者の心に、
"熱い感覚を魂の全体におしひろげ、うずくような欲望の針を満身に感じる"
ことになる。
(こういう経験、きっと恋した事がある誰もが感じた事があるのではないかでしょうか)

すると、

"良い方の馬は、慎みの念に押えられて、自分が恋人に飛びかかるのを制御する”

一方、

”他方、悪い方の馬は、跳びはねてしゃにみに突き進み、
 仲間の馬と馭者とにありとあらゆる苦労をかけながら、
 愛人のところに言って、愛欲の喜びの話をもちかけるようにと彼らに強要する”

その2頭の馬の間で揺れながら、馭者は、

"はじめのうちこそ、抵抗するけれども、
しかし最後には苦しい状態が際限なく続くと、
(悪い馬に)引かれるがままに、前へと進む”

ことになる、というわけです。


■この話をどう捉えるか、というのは、人それぞれでしょう。

1つの文章に、様々な知見や感情が含蓄があるゆえに、
多く愛くしまれてきたのが「古典」である所以です。
ですから、素人の私が「こうである」と伝えられないものでもあります。

ですが、例えば、私の視点から見ると、例えば上記の比喩は、
このように感じられるな、と思うのです。


『自分の中には、2つの自分がいる。

 感情のまま、暴走してしまう自分(悪い馬の部分)。
 慎み深く、相手に配慮する自分(良い馬の部分)。

 そして、それをバランスしようとする自分。
 それが自分の「心」と言えるのかもしれない。
 自分はその「3つの魂」を上手く扱えているだろうか』

、、、と。

それは「恋」でもそうですが、
他のことでも言えそうです。

あらゆる欲望に突き動かされている時、
"同じ認識(2つの馬と、1人の馭者が自分の中にいる)を持てるのでは、
と考えることもできそうです。



そして、冒頭の、

1,恋する相手の中に「神」を見る、という話。

2,「3つの魂(悪い馬、良い馬、馭者)」という話。

この2つが、

『「真実の愛」とはこういうことではなかろうか』

と思わせられる話に続いていきます。

と、気づけばだいぶ長くなっておりましたので、
続きは、また明日。


最後までお読みいただき、ありがとうございました。

本日も皆様にとって、素晴らしい1日になりますように。


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<本日の名言>


愛に触れると、誰でも詩人になる。

プラトン

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