今週の一冊『黒字化せよ! 出向社長最後の勝負---万年赤字会社は、なぜ10カ月で生まれ変わったのか』
(本日のお話 1947字/読了時間3分)
■おはようございます。紀藤です。
昨日は、企業研修の実施。
その後、パートナー講師とアシスタント(妻)と共に、
「餃子の王将」にて打ち合わせ。
1番幸福度が高い瞬間というのが、
研修を終えたその夜かもしれません。
大変だし責任も感じるけど、ゆえに楽しい。
こういった機会、今年はもっともっと増やしていきたいと思います。
*
さて、本日のお話です。
毎週日曜日は、オススメの一冊を紹介する「今週の一冊」のコーナー。
今週の一冊は、
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『黒字化せよ! 出向社長最後の勝負---万年赤字会社は、なぜ10カ月で生まれ変わったのか』
猿谷 雅治 (著), 五十嵐 英憲 (著)
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です。
■この本、初版は1991年に出版されました。
実に、30年近く前です。
しかし、7万人に読みつがれてきた、
ロングセラーの”ビジネス小説”です。
普通に読めば 、シンプルで、読みやすい。
心揺さぶられる小説です。
しかし、読み解くと、そこには、
「人と組織を動かす原則」がいくつも散りばめられている、
そんな別の姿が見えてくるのです。
■この本のストーリー。
それは、万年赤字続きの、鋳型を作るものづくりの子会社に、
親会社に勤める主人公の男性・沢井が、出向を命じられところから始まります。
毎年1億何千万円もの赤字を出し続けている子会社。
過去、親会社から出向した社長は、
誰も改善させることができませんでした。
そこで、会社からの「最終司令」として、沢井は、
”この会社を1年以内に黒字化できるかどうか、判断をつけてほしい、
もしできなければこの会社の清算まで、面倒みて欲しい”
と、親会社の社長から告げられるのです。
■現場で、圧倒的な成果を出してきた彼。
「目標管理」についての理論についても精通し、
本も出しているスペシャリストでもある彼は思います。
「なぜ、オレが、、、」
「これは左遷ではないのか、、、」
そう落胆し、肩を落とすのです。
1年以内に見切りをつける算段ですから、
新しい設備投資など、お金を使うことはできません。
戦略的投資はできない、ということ。
そこにある資源、具体的に言えば、
「人」をどうにかするしかない。
そして、黒字化するしか、選択肢はないのです。
、、、
しかし、沢井と、その右腕として派遣された取締役は、
子会社に足を運び、愕然とします。
誰もが、死んだ魚のように目に生気がない。
汚れた工場、汚い制服。
誰も集まらない朝礼。
こんな状態で、1年で本当に、赤字から回復させることができるのか。
そんな絶望にとらわれるのです。
、、、
■この続きは、ぜひとも著書で読んでいただきたいです。
普通に読んでいれば「ビジネスを舞台にした小説」です。
舞台は1980年ですから、働き方の文化は確かに違いますが、
(朝まで語り明かす、とか、上司部下の関係とか)
それでも「人間の織りなす物語」として、引き込まれながらぐいぐい読めます。
同時に、そのストーリーに込められたメッセージとは、
【いかにして、人を通じて組織を活性化させるのか】
と言う、働く我々にとって大切な原則が、
いくつもいくつも込められていること。
是非ここに、注目していただきたい本なのです。
■今、多くの会社で、
「MBO」(Management by Objection=目標管理によるマネジメント)
なる制度を導入しています。
これは、
・目標を上司・部下でコミットする
・その達成度により評価が決まる
そんなシンプルでわかりやすいマネジメント手法の1つとして、
大変ポピュラーになりました。
しかし、場合によると、「ただやっているだけ」、
「実は社員のやる気につながっていない」「誰も幸せになっていない」
というような声も、しばしば聞くのです。
■もし仮に、皆様の周りでそんな現状があるとすると、
それは「本質」を見失っているからかもしれません。
そもそも、MBOとは、誰かを評価したり、
さばくものではなかったのです。
この本が教えてくれることとは、
『目標によって人が生き生きと動き出す、”本当の目標管理”のやり方』
といってもよいかもしれません。
管理の手段ではなく、
1つの船に乗る、1つのチームとして、
我々がどこを目指しているのかを明確にする方法。
そのために、役割と権限を整理する方法。
社員のやる気を高める、社員が期待に応えようとする仕組み。
それが「目標」のあり方であるという事実を、
改めて伝えてくれているようです。
■思うのですが、人は誰しもが、
・自分で考え、
・自分で動き、
・達成感を得て、貢献をしていきたい、
そういう生き物だと感じています。
この本では、MBOの日本での先駆者である五十嵐英憲氏が、
この小説のポイントを解説してくれています。
ストーリーを「小説」として心で感じ、
背景に込められた「理論」を解説で学ぶ。
「いい話だった」だけではなく、
ドラッカーの提唱する「目標管理の手法」を、
ストーリーと解説で学ぶことができる一度で二度美味しい本です。
そして、組織を率いる皆様にとっては、
1つの武器になるのではないかと思います。
ご興味がある方は、ぜひ。
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<今週の一冊>
『黒字化せよ! 出向社長最後の勝負---万年赤字会社は、なぜ10カ月で生まれ変わったのか』
猿谷 雅治 (著), 五十嵐 英憲 (著)
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