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1847号 2019年3月10日

今週の一冊『1日3時間だけ働いておだやかに暮らすための思考法』

(本日のお話 2913字/読了時間3分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日土曜日は、「目標達成ワークショップ」の実施。

はるばる名古屋から、ドラッカーのMBOを日本に持ち込んだ、
先駆者のような大先輩までご参加いただき、
非常に楽しい(緊張感のある?) 1日でした。
何とか、第一回が終わってほっとしております。

評価は「Q、ご期待に対して満足いただけましたか?」
「Q、友人、知人にワークショップを紹介したいと思いますか?」
いずれも、平均4,7点でした。初回にしては合格かな、と(笑)

ちなみに、以下参加者様からのご感想です。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

・本日は本当にありがとうございました!
 初めてお会いする紀藤さんはイメージ通りの優しく、意思の伝わる方でした。
 今回のワークショップ、一番の動機はわたしの弱点である継続する力を改善する事でした。
 その部分は後半で駆け足でしたのでじっくりと学びたいところでした。
 しかし、ミッション、ビジョン、OKRと形にしていか中で大切にしていた価値観と自分の今の課題が結びついたのが今回の最も嬉しかった事です!
 今回のOKRで立てた目標、成功させたいです!今度こそ弱い自分に打ち勝ちます!淡々と!
 是非またワークショップがありましたら参加したいです!同僚も連れてきたいです!
 またよろしくお願いいたします!

・歳の離れた人同士で話し合うことは多くの気付きを得られます。
 普段のコミュニティでは出会えない方なので、たくさんの学びを得ました。
 特にIさんの話は考察が深く、為になりました。ありがとうございました。

・計画と実行の繰り返しが、仕事ではできて自己啓発ではできない理由が、
 衆人環視の有無だとよくわかりました。
 紀藤さんはじめ、皆さまのお力をお借りします!

・目標にワクワクをのせることが重要という学びを得られたことが大きな収穫です!

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

改めて、ご参加いただきました皆さま、改めてありがとうございました!
これから100日プロジェクト、一緒に駆け抜けてまいりましょう。


ちなみに結局思うのが、人は「目標」を掲げた時、
何かしらの「外圧」がなければ実行ができない生き物ということ。

今回のワークショップで目標設定しましたが、
勝負は、終わった後に、粛々と、どれだけできるかにつきます。

そこは多くの人が挑んで、そして敗れ去ってきた高き壁ですが、
その目標設定→実行→達成が一まとめになるような、
そんなプログラムを考えていきたいと思います。

また、そのうちやろうと思いますので、お楽しみに。


■さて、本日の話です。

毎週日曜日は、オススメの一冊を紹介する今週の一冊のコーナー。

今週の一冊は、

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『1日3時間だけ働いておだやかに暮らすための思考法』
(山口揚平 (著))



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です。



■この本のタイトル、

『1日3時間だけ働いておだやかに暮らすための思考法』

などと言うと、

今流行りのビジネス書で、すごくキャッチーだけど、
読んでみるとかなり薄っぺらい内容という、
ありがちな本を想像してしまいそうで、
実はページを開くまで、さして期待していませんでした。


…しかし、それは大いなる勘違いでした。

この本、このタイトルをつけたのが、
個人的には大変惜しいと思うほど(なんだか軽そうに見える、と言う意味で)、

大変深く、哲学的で、本質的で
著者の思考力の深さをひしと感じる名著だな、

読み終えた今、そう感じています。


■この本のタイトルで語っている、
「1日3時間働いて」という部分。

ここが肝なのですが、言いたい事は、要するに、


『インパクトがある仕事を、どれだけ意図的に生み出しているのか?』


と言う、生産性が極めて低い、
今の日本社会に対する根本的な問いかけなのです。


■「パレートの法則」と言う有名な法則があります。

これは、”成果の80%は、20%の時間で生み出されている”という法則です。

つまり、私たちが9時から18時まで働いているとすると、
実際に「成果」を生み出している仕事は、20%の時間
すなわち2時間弱しかない、と言うわけです。

それ以外の時間は何をしてるかと言うと、
対して成果を生み出していない、瑣末な仕事で終始しているわけです。

(稟議回しの判子押し、必要ない会議、
 厳しいばかりで何も生み出さない昔からあるルール、など)


この本では、それを

”モグラたたきのモグラみたいなものだ”

と表現し、いくら出てくるモグラ(課題、問題)を叩き続けても、
結局l問題の根本となる、「モグラたたきマシンのスイッチ」を切らない限り、
延々とモグラが出続ける、というわけです。

病巣の根本を叩いていないのに、

・やれ生産性が上がらない、
・やれ忙しい、やれこんなにやることが多い、
・なぜいつまでたっても仕事が効率化されないのか

等々と口をこぼしつつ、
モグラたたきに一生懸命になっていても、
「そりゃそうだよ、だって根本解決していないんだから」ということ。

でも、これが今の世の中の現状であり、
私たちの悲しき事実なのです。


■では、どのようにすれば、この”モグラたたき地獄”から逃れることができるのか。

そのためには、瑣末な問題にとらわれるのではなく、


【思考力を鍛えること】


このことが非常に重要であると著者は述べます。

では、「思考力を鍛える」とはどういうことか。
具体的に言えば、

『メタ思考を鍛える』

と言うことです。

「メタ思考」とは、物事を俯瞰して見る、
抽象的に見る、すなわち大局観を見る力、言えでしょう。

具体的事象の、上位概念にあるもの、
具体的事象を統合して俯瞰してみられる抽象概念。

そこから物事を見返す力です。


・今目の前にあることのそもそもの原因は何なのか、
・なぜこの問題が起こってきたのか、
・どういったつながりでこの問題が生まれているのか、

を深く深く考えていくこと。

その思考力がなければ、結局目の前のことしか見えず、
根本的な解決になることはない。


■例えば営業でも、
「1日3時間で同じ売り上げを上げる」と考えたら、

・お客様はなぜ買いたいと思うのか、と言う「心理学的知見」も必要でしょうし、
・お客様が列を連ねるような、「社会学的アプローチの観点」も必要でしょうし、
・どうすれば人が集まるのか、と言う「マーケティング的見地」も必要になってくるし、
・競合と比較して争いにならない「ポジショニング戦略」も必要になるし、

それらのものを俯瞰してみて、統合し、
そして「今何をするのか」を決める力が必要になるわけです。

それを、ただアポイント行きまくればいい、
という目の前の「具体」だけに囚われていたら、

”成果を生み出すインパクトがある行動”

にたどり着くこともできないわけです。


■「具体」から「抽象」へと昇華し、
そしてまた「具体」に戻ってくる。

この思考プロセスを経ることで、


『成果にインパクトがある行動(=1日3時間で成果をあげられる方法)』


が明確にわかるようになる、そのような話を
著者は述べているのでした。

(私の解釈です)


■そしてこの思考力を鍛えるためには、

・ロジックツリーや、
・MECE
・二項対立など

自分の思考を助けてくれる「思考フレームワーク」を、
武器として持つことが重要になります。


・過去、現在、未来人類はどうなっていくのか、
・この社会はどうなっていくのか
・そもそもお金とはなにか

そんな、世の中全体の「流れ」を掴む、
俯瞰力も鍛えていく必要があります。



「本質」「原則」とはいつどの時も変わらないもの。

こういった「本質」に気づいた人こそが、この世の中における、
「その時代の勝利の方程式」を握っているとも言えるでしょうし、

「勝つべくして勝つ人」

といも言えるのだろう、と思います。


■この著者は、若手起業家として有名な方ですが、
30代頃、一時期本を没頭して読んで、
その後本もさして読まず、新聞も読まず、SNSもせず、
ひたすら「本質は何か」ということを思索し続けてきたといいます。

ゆえに、言葉に深い洞察を感じますし、説得力があり、
かつ読んでいて知的な冒険をしているような、不思議な感覚を覚える本です。

この本は著者が、22歳のときにすでに考えて、
ベースを書き起こしていたと言うから驚きです。

その他にも、たくさんのヒントが詰まっているのですが、
紹介しきれないので、続きは読んでみてくださいね。


情報がこの多くなってきたこの世の中で、
瑣末なことに振り回されず本当に重要なことをつかむ練習をしていくために、
とてもオススメの一冊でございます。

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<今週の一冊>

『1日3時間だけ働いておだやかに暮らすための思考法』
(山口揚平 (著))



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