今週の一冊『アフターデジタル オフラインのない時代に生き残る』
(本日のお話 2905字/読了時間4分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日土曜日は、午前中に「礼法」のレッスン。
その後、お昼から夕方まで、
『戦略的プレゼン資料作成 集中講座~操作と表現編~』に参加。
夜は、トライアスロンの練習で、
腰を痛めすぎていたため、マッサージへ行きました。
トライアスロンまであと1週間。
体を整えて、本番に臨みたいと思います。
がんばります。
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また、昨日ご案内いたしました、
「第10回 企業人事交流会 ~人事評価制度を考える~」
も早速お申込みいただきました皆さま、ありがとうございます。
少し先になりますが、席数に限りがございますので、
ご興味がある方はぜひ、お早めにお申し込みくださいませ。
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<第10回 企業人事交流会 ~人事評価制度を考える~>
◯日時:8月23日(金)18:30~21:30
◯場所:東京都千代田区九段南1-5-6 りそな九段ビル5階
◯対象者:企業の人材開発に関わる方(人事・部門長など)
◯詳細・お申込みはこちら
https://forms.gle/UJDQZgt2UqeYFLkd7
★また、以下のイベントも増席いたしました!★
<異業種交流会 ~第三弾:経済環境指標分析を試みる~>
◯日時:6月26日(水)19:00~22:00
◯対象者:どなたでも大丈夫です
◯詳細・お申込み:https://forms.gle/ebnkEWTkDvVsAgjA9
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さて、本日のお話です。
毎週日曜日は、お勧めの一冊をご紹介する「今週の一冊」のコーナー。
今週の一冊は、
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『アフターデジタル オフラインのない時代に生き残る』
藤井 保文 (著), 尾原 和啓 (著)
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です。
■先日の人事交流会で、
「ものすごく面白く、かつ注目の本があるんです!」
と参加者の数名から異口同音に教えていただいた本。
それが今週ご紹介の、
『アフターデジタル』
という本です。
■デジタル化が進んでいる、などという話は、
「もう何を今さら…」
とお感じの方も多いかも知れません。
しかし、この本を見ると、
そのように「いやいやデジタル化くらいわかっているよ」、
と言っている人ほど、
”実際の世界の進み方と、日本の現状の大いなるギャップ”
に驚くに違いないと思います。
少なくとも、私はそうでした。
■この『アフターデジタル』という本は、
もう既に到来しつつある近未来(未来と言うには近すぎるごく近い将来)
”我々の生活とビジネスがどう書き換えられるか”
について詳細かつ、具体的に書き示された本です。
どのように具体的かと言うと、
「中国の先進的な会社が既に行っていること」から、
”これからのビジネス構造”がどうなっていくのか、
ということを示しているのです。
そして結論を言えば、これからのビジネス環境は、
「オンラインとオフラインが完全に結合する」
(OMO = online - merge - offline)
という状態になる、とのこと。
今の日本の感覚では、
「主」は”リアル”で、「従」が”デジタル、
となっているイメージですが、これからは、
「デジタルが100%生活を飲み込み、
その中に”リアル”の接点がある」
という状況に書き換わる…
それが、デジタルが完全に浸透仕切った後の世界、
『アフターデジタル』
というのです。
■この先進的な例をたくさん生み出しているのが、
中国、エストニア、シリコンバレーなどの地域。
中国では、
”「やっていけない」と書かれていない限り、何をやってもOK”
と言うのが基本ルールだそう。
(逆に日本では、「やっていい」と書かれていないこと以外、やっちゃダメ、というのがルールです)
つまり、デジタルに対する革命も、
規制がゆるく、国の後押しもありガンガン回しているので、
日本では比べ物にならないほど進んでいるとのこと。
そして、すでに『アフターデジタル』と言われる様子を、
醸し出しているそうなのです。
*
例えば、
中国版Uberの「滴滴(ディディ)」という配車サービス。
これは、ドライバーが質の高いサービスを提供することで、
信用力が高まる仕組みになっているのだそう。
・顧客へのサービス対応はどうだったか?
・目的地に安全に送り届けられたか?
などなどを、賄賂が受け付けられないような、
相互評価にする仕組みを設けました。
そうすると、ドライバーは、
まるでロールプレイングゲームで「レベル上げ」をするかのように、
粛々とサービスを高めようとするインセンティブが働くのです。
そして、その背景には、
これまで中国の人が証明できなかった、
”個人の信頼度”
が加点形式で加算されていく
という仕組みがあります。
(アリババ傘下の決済システム「ジーマ・クレジット」。
中国の3人に1人が利用しています)
それは、350~950点まであり、
支払能力、人脈、返済履歴、素行などがスコア化され、
650点を越える信用力がある人には、
・金銭的な融資が受けられたり、
・住宅を借りやすくなったり、
・企業からクーポンや割引が得られたりする
という”良いこと”が提供されます。
すなわち「デジタルの浸透」により
・あらゆる局面で”良いこと”をすると加点される仕組み
・その”良いこと”が個人の信用力となる
(サービスを提供する側、される側の双方において)
ということになり、結果、
『”お天道様が見ている”という性善説的な行動が、
中国においても急激に増えている』
という現象が起きているそうなのです。
これも、「デジタル」が人々の生活や文化を、
変えつつあることの一つの例でしょう。
■そしてそうなった世界で、
何が起こるかと言うと、
「デジタル化により、顧客の評価が一瞬でわかる」
という事が起こります。
提供したサービスで、お客様が良い体験をしたか、
あるいはそうでもなかったのか。
その陳列はお客様にとってよかったのかどうか、
お客様が今、どんなものを求めているのか…
あらゆるものが「デジタル化」され、
それらのビックデータが集まることで
「顧客データが集まる」
(こう変えてほしい、これがよかった!など)
↓
「それに基づいた改善・施策」
↓
「顧客データが集まる」
(こう変えてほしい、これがよかった!など)
↓
「それに基づいた改善・施策」
(こう変えてほしい、これがよかった!など)
↓
以下続く、、、
という高回転が起こっていく。
そして、その顧客の声に対して、
(時に声になっていない声も含めて)
『顧客への体験を提供し続けられる企業が競争優位性を持つ』
というわけです。
■そして、その”デジタルのつながりが前提になる世界は、
「お客様が買ったら終わり」→「お客様とずっと繋がり続ける」
という世界になっていきます。
そんな世界が来た時に、
ビジネスの構造は大きく変わっていき、
そして、それに連動するかのように、
組織もその形を変えることが求められるでしょう。
また、すべての評価が筒抜けになったとき、
組織が求められることが変わっていくでしょう。
・お客様のNPS(評価)が◎でも、
社員の評価が☓なら生き残れない
でしょうし、
・商品の品質が◎でも、
取引先の評価が☓ならやっぱり生き残れない
でしょうし、
・どちらもOKでも、社会に対する責任を果たしていない、
とみなされなければやはり競争性は保てない
というように、
「全方位的に評価される」という時代も、
やって来ているのだと思います。
現に、採用の口コミ評価などは、
優位に企業の要である「採用力」に影響を与え、
企業の競争力や将来に影響を与えています。
そしてそれらは、私達個人の働き方、
仕事の仕方も、キャリアの作り方も変えていくのでしょう。
そして、この『アフターデジタル』という本では、
それらの変化が、本当にすぐそこにあるということに気付かされると共に、
「そんなことになっているのか…」
という衝撃を与えてくれるかと思います。
基本、著者が体験した事例が軸になっているので、
なんとか理論、みたいな小難しい話もなく、
大変読みやすい本です。
未来の姿を考える一助として、
ご興味がある方はぜひお手にとって頂ければと思います。
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<今週の一冊>
『アフターデジタル オフラインのない時代に生き残る』
藤井 保文 (著), 尾原 和啓 (著)
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