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1967号 2019年7月10日

上司だって失敗する。上司だって完璧じゃない。だって、にんげんだもの。

(本日のお話 3054字/読了時間3分半)

■おはようございます。紀藤です。

昨日は、友人の会社にて
「生産性向上ワークショップ」というテーマで、
ワークショップの実施をさせていただきました。

新しい取り組みでしたが、
私自身アウトプットすることで、
自分自身も非常に良い頭の整理になりました。

(T社の皆様、ありがとうございました!)


また、夜からはお世話になっている人事役員の方と、
『シリコンバレー式 最強の育て方 ―人材マネジメントの新しい常識 1on1ミーティング―』の著者であり、
友人の世古さんと会食。

人材育成について皆で語りましたが、
非常に学びになる良い時間でした。



さて、早速ですが本日の話です。

昨日の会食にて「上司力」ならぬ、
『部下力』について話が盛り上がりました。

その内容が、言われてみればそうだなあ、、、
と学びになるものでしたので、本日はそのお話を皆様にご共有させていただきたいと思います。


タイトルは、


【上司だって失敗する。上司だって完璧じゃない。だって、にんげんだもの。】


それでは、どうぞ。


■今、組織で流行っている「1on1」というものがあります。


上司が部下と30分ほどの対話を通じて、
信頼関係を醸成したり、課題について話したり、
ただ耳を傾けたりして、その成長をサポートする。

そんな”対話”が、特にエンゲージメント(仕事の熱意度)には必要であると言うことで、
「上司が部下とより深いコミュケーションをする」というのは、
一つのトレンドとなっているようです。

確かに、

話を聞かず一方的に話自分の話をしてしまう上司
叱責や、欠点の指摘しかしない上司

がいるならば、
「部下のモチベーションが上がらない」と言うのも、
確かにその通りだと思います。


ゆえに「1on1」や「傾聴」は、
上司にとっても大切なスキルとして、
鍛え続けようとする事は重要なのでしょう。


■しかしながら、昨日、
人事役員と1on1のプロとお話をしていた時に出た話は、


『とはいえ、上司もなんだかんだいい人。苦労もしている。
 ”部下の認識”も変えていく必要があるのではないか?」

というお話でした。

当然ながら、コミュケーションと言うのは一方だけでは成り立ちません。
投げる方もいれば、受け取るほうもいる。

話すことと聞く事はワンセットであり、
それが成立しない時、どちらか一方だけが完全に悪いと言う事は基本ないのでしょう。
(もちろん、それはちょっと…ということもありますが)

また、価値観はそれぞれで、

”完璧なる満足がいく対話”

などは、明石家さんまのような盛り上げ上手でも、
あるいはプロのコーチでもないわけですから、

「上司との1on1イマイチだった」

と評するのも、実は酷な話といえば、酷な話なのです。



■…とよくよく考えてみればわかるのですが、
部下である人たちはつい、


『上司に色々期待しすぎる』


という心理が、無意識に働くと思うわけです。

上司にはまるで、「聖人君子」のごとき存在であることを、
つい、期待してしまう。

だから、

・自分の話を聞いてくれない、とか
・上司自身の武勇伝の話が多い、とか
・褒めるではなく改善点ばかり言って気持ちが萎える、とか
・マネージャーなのに抜け漏れが多い、とか
・マネージャーなのに自分より話が下手、とか、
・会社のビジョンを共有してくれない、とか
・前例踏襲でものごとを進めすぎ、とか、
・ロジカルでなく話が分かりづらい、

というように、上司に対しては「特にできていないところ」が目立ち、
そこに対して厳しくなってしまう。。。

メンバー同士で飲みに行ったら、
これらのことを愚痴りながら話をしている様子が、
目に浮かぶようです。


おそらくそれには、

”そうした方が、都合がいいから”
(「上司のせい」「環境のせい」にすることができるため居心地がいい)

という無意識の心理もあるかもしれません。


■しかし、いずれにせよ少し立ち止まってみて、

「上司が完璧である」

ということが、本当にあり得るのだろうか、、、
これを改めて考えてみたいのです。

当然ながら、上司といっても人間。

あるところで「課長」や「部長」と言う立場になったわけであり、
その変容と言うのは、「ペンギンが、急にワシになった」わけではないのです。

そのへんかと言えば、ペンギンが、ちょっと早く走るようになったとか、
自分で、海で泳げる時間をコントロールしやすくなった、とか、
卵(部下)を温める必要ができた、とか、
それくらいの変化かもしれない。

ゆえに、もともと得意ではなかった「空を飛ぶ」など急にできるはずもない。


現実の当てはめると、

そのマネージャーがもともとコミュニケーションが得意なタイプではなく、
分析思考や、論理思考やプレイヤーとしての能力を買われて上司になった場合、
肩書が変わったからといって、急にコミュニケーションが上手くることはないわけです。

「ペンギンが急に空を飛ぶ」ことはないのです。



上司だろうが、部下だろうが、
すべては1人の人間。

幼少期から小学生、中学生、高校生、大学、社会人と、
その人生の連なりの中で少しずつ成長してきた小さな存在であり、
「常に未完成な人間」であることを私たちは想像することが大事なのだろう、

そのような話で盛り上がったのでした。


■ゆえに、「部下力」とは。

自分だからできることがある、
上司はマネージャーだからできることがある

この違いを、上下の差ではなく、
ひとつの「立場の違い」として捉えることができて、

その立場の違いを上手に使うこと、
自分から声を上げて協力してもらうこと、

これも「部下の大切な力」なのでしょう。


言ってしまえば今流行の「1on1」も、

”最終的には部下の成長”
(=自分が部下であれば自分自身の成長)

のために、上司がその時間を使うわけですから、

・自分が本心を聞いて欲しい時、
・キャリアに迷っている時、
・フィードバックが欲しい時、

このようなことを理解して、
そしてうまく活用していく部下・メンバーの姿勢、
そして「上司も人間であり、期待しすぎない」ということ。

相田みつを風に言えば、


【上司だって失敗する。上司だって完璧じゃない。だって、にんげんだもの。】


これを認識するのが特に組織においてはとても重要なだろう、
そのようなことを考えた次第です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
本日も皆さまにとって素晴らしい1日となりますように。


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<本日の名言>

自分が自分自身に出会う、彼女が彼女自身に出会う、
お互いが相手の中に自分自身を発見する。
それが運命的な出会いというものだ。

岡本太郎(芸術家 1911-1996)
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