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2047号 2019年9月28日

「あなたと私のすれ違い」を解消する、認知の4点セット ~後編~

(本日のお話 2092字/読了時間2分)


■おはようございます。紀藤です。

昨日は1件のアポイント。
夜は英語塾への参加でした。

世界的な経済雑誌『The Ecconomist』を読み、
今のグローバルで注目されている問題を英語で考えるというのが、
今通っている英語塾(↓)のテーマです。

『リーダーが英語とリベラルアーツを学ぶ塾(IELLA)』
http://project-initiative.com/iella/

昨日はシリア問題がテーマでしたが、
世界のあらゆる問題(宗教対立・民族対立・代理戦争・核etc.)が
シリアに集結しているように見えて、
日本の視点だけでは見えない問題がたくさんあり、
もっと勉強しないとなあ、と思った夜でした。



さて、本日のお話です。

昨日『認知の4点セット』というお話をしました。

復習すると、

・ある『意見』があったとき、
 そのもととなった『経験』と『感情』がある

・また、その経験・感情は、
 自分の『価値観』を作り出している。

・そんな、『認知の4点セット』、
 「意見/経験/感情/価値観」を誰もが持っていて、
 相互理解に役に立つ

というお話でした。

本日も、より掘り下げたいと思います。

タイトルは、


【「あなたと私のすれ違い」を解消する、認知の4点セット ~後編~】


それでは、どうぞ。


■「こいつ、全然話が通じない!」

…と口には出さずとも、
心の中で思っていること、あるものです。

声を大にして言う言わないはともかく、
多くの人は、

「自分が正しいと思っている」。

これは事実ではないかと。


■ゆえに、

夫/妻との会話
上司・部下の会話
友人の間での会話

などで、
自分の理論を主張したり
そしてぶつかったり、避けたりと、
人との間には衝突・軋轢・不和が起こるのでしょう。

言い換えれば、

”「自分こそが正しい」を主張し合うバトル”

をどこそこでやりまくっている、
と言えるのかもしれません。


■では、どうすれば、
「違った二人」は歩み寄れるのでしょうか。

そこで、昨日からお伝えしている
『認知の4点セット』が使えるのです。

具体的には、


【相手の「意見」が生まれた背景(=経験・感情・価値観)を知ること】


ここにつきます。


■ちょっと抽象的な話ですので、
具体的に考えてみます。

例えば、Aさんという人がいます。

彼は、新プロジェクトの立ち上げについて、
このような『意見』をもっていました。

「考えるより、とにかく関係者に声をかけて、
 相談して、プロジェクトを進めるべし!」

と。

Aさんの『認知の4点セット』を見てみると、
以下のような形になりました。。


【意見】→「何か考えるより、とにかく関係者に声をかけて、
 相談して、ガンガン、プロジェクトを前に進めるべし」


その「意見」がなぜ生まれたか?
すると、次のような「経験」が見えてきました。


【経験】→ 新卒の時、スピード重視で、まず人を巻き込み、
失敗をものともせず新しいプロジェクトを進め、成功した。
そして社内で表彰された。

そして、その「経験」をしたとき、
どんな「感情」になったのか?
以下のような「感情」が生まれていました。


【感情】→ 成果が出て嬉しい。表彰もされて、幸せだ。
優越感、自己効力感。成功した気持ち。


上記の「経験」や「感情」の結果、
以下のような「価値観」を持つにいたりました。


【価値観】→ 考えるより、まずやるべき。
どんどん巻き込めばいい。


、、、と。

こう見ると、なぜAさんが、
「考えるより、さっさとやるべし!」という意見を持つのか、
その背景がわかるような気がします。


■対してBさん。

Bさんも、Aさんと同じ
新規のプロジェクトに参加しています。
しかし、意見は違います。

Bさんは、

「プロジェクトは慎重に進めるべき。
 まだ固まっていないのに、広報をしたり声をかけるのは危険」

という『意見』を持っています。

ここで、Bさんの『認知の4点セット』を見ると、
こんなことがわかりました。


【意見】→「プロジェクトは慎重に進めるべき。
 まだ固まっていないのに広報をしたり声をかけるのは危険」

その意見にどんな「経験」があったのか?
それは以下の出来事でした。

【経験】→ 5年前、新規のプロジェクトを任され、
安易に社内外に声をかけて進めたことで大きな軋轢を生み、結果、孤立した。
プロジェクトも失敗し、ミスも増え、降格となった。

Bさんは、その時思います。

【感情】→ 辛い。悲しい。悔しい。
まずやってみろ、と言われたのに、結局誰も守ってくれない、と思った。

【価値観】→ 焦ってはダメ。失敗するとはしごを外される。
リスクを考えることが、自分を守るためにも大事だ。


、、、と。


■さて、このAさんとBさん、
どちらが正しいのでしょうか。

AさんとBさんが仕事を進めた時、
どちらの意見を重視すればよいのか。

期待されている状況により、
”より望ましい正解”の評価は変わるかもしれません。

そして、どっちも正しいのでしょう。

■ただ言えることはAさんもBさんも、

”本人の経験を元にしたロジックから、
 その『意見』が生まれている”

事は確かです。 

そして、それぞれの「価値観」に基づいて、
「意見」を言っていることも事実。

かつ、それは”理論”を超え、
痛みや喜びを伴う”強い感情”が混ざっている、
「信念」にも近いところから生まれているのです。


■そんな違った2人が歩み寄るには、
表面的な「意見」の違い、つまり理屈だけではなく、


【相手がなぜ、その意見を持った背景を知り、
 相手が得てきた人生の歩みを尊重すること】。


このことが、相互理解において、
極めて重要だと思うのです。

なぜなら、

人は、”自分のことを理解してくれた”、と心から思えたとき、
同じように相手の意見も聞こう、と思うからです。


■お互いのことを理解するためには、
相手の『意見』だけではなく、
その意見の背後に存在するもの(経験・感情・価値観)を、
知ろうとすること。

それは、
「その人が人生で学んできた大切にしていること」
そのものを理解することに、ほかなりません。

そのために

『認知の4点セット』
意見/経験/感情/価値観

を通じて、

「自分」のことも『内省』し、
「相手」のことも『探求』すること。

このことが、
「あなたと私のすれ違い」を解消する、
一助となるかと思う次第です。


「こいつ、何いってんだ?」と思ったとしても、
必ずその背景には、その理由があります。

『認知の4点セット』
意見/経験/感情/価値観

ぜひ、思い出してくださいね。




最後までお読み頂き、ありがとうございました。
本日も皆さまにとって素晴らしい1日となりますように。

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<本日の名言>

ものごとを正しく見るには、
たった一つのやり方しかない。
ものごとの全体を見ることだ。

ジョン・ラスキン(イギリスの思想家/1819-1900)
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