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2118号 2019年12月9日

今週の一冊『流れる星は生きている』

(本日のお話 2122字/読了時間2分)


■こんにちは。紀藤です。

昨日土曜日は、研修の準備、
ならびに英語の勉強。
また友人の結婚祝いパーティーへの参加でした。

さてさて、早速ですが本日のお話です。


毎週日曜日は、オススメの一冊をご紹介する、
「今週の一冊」のコーナー。

今週の一冊は、

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『流れる星は生きている』
(著:藤原てい)



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です。


■読み終えて率直思ったこと、

それは、

「この本は、全日本人が、
 ぜひ読んだほうがよい一冊である」

とすら思ってしまいました。


この本は、

1945年9月、日本が敗戦した後、
満州に住んでいた著者(藤原ていさん)が、
3人の乳飲み子を連れて、引き上げてくるときの、
壮絶なる体験をノンフィクションで描いたお話です。


初版は1949年、
今から実に70年前に出版され、
戦後空前のベストセラーとなりました。


■戦争というと、

広島、特攻、
戦地で亡くなられた兵隊の方、
空襲、疎開、

人によって色々なシーンが、
想起されることかと思います。

でも、その戦時下で、
普通の母親と子どもたちが、
その影響でどのような苦境を歩んだのか。

「生きるのが精一杯」という状況は、
実に、いかなるものなのか。

それが、生き抜いた本人から描かれ、

「息遣いも聞こえるほどの生々しい過酷さ」
「ぎりぎりの環境下での人間の存在の強さと脆さ」

を、まるでその場にいるかのように、
疑似体験をできる本が、
どれほどあるのでしょうか。。。


この本は、そんな体験をさせてくれる一冊です。



■戦時下、敗戦下においては、
戦地に赴いていた人だけが、
苦境に立たされていたわけではありません。

この本の著者の、藤原ていさんは、
まさしく、その人物。


満州にいた藤原ていさんは、
ある夜、夫からすぐに汽車にのり、
すぐにこの地を離れるように指示を受ける。

それは、敗戦の知らせと、
それに伴う脱出が必要になった、
ということだった。

夫は、関東軍としてやることがある、ということで、
子ども3人に母一人で脱出するという、
周囲と比べて圧倒的に苦難な状況。


1日の食料を稼げなければ、餓死してしまう。

頼りたくとも、夫はいない。

持ってきた食料もお金も尽きた。

そんな中、「何でもやる」という気概で、
石鹸を売り歩く。

野菜を市場の後で拾い集めて、
なんとか食いつなぐ。



満州にて凍える夜、
子供が、足が冷たくて眠れないという中で、
自分のお腹で子どもたちの足を温める。

自分の背中は冷えに冷え、
全く眠れぬ夜を何日も過ごす。

そして、昼の太陽があたる1~2時間、
まどろみの中、眠ることができる。

体力は削られていく。
自分が倒れたら、その瞬間、
子供3人共々ゲームオーバーになる。
だから倒れるわけにはいかない。

誰もが自分のことで精一杯で、
守ってくれる人はいない。



いよいよ北緯38度線を越えようとする際、
冷たい雨に打たれ、着るものもボロボロ、
靴はなく、足に岩が食い込み、膿んで歩けなくとも、
歩かなければ明日はない。

本当にあと一息で絶命するという、
ギリギリの状況下で、それでも生きるために、
心を鬼にして枯れ木のような息子たちに、

「死にたくなければ歩け」

と叱り続け、母として、
子供を生き残らせようとする。


極限の状況で触れる人の非情さ、
反面の温かさ、究極で見える人間の強さ。

、、、


読みながら、

「人間とは何か?」

「戦争とは何をもたらすのか?」

を、壮絶な手記とともに、
考えさせられる一冊です。


■余談ですが、この本を読んで、
私(紀藤)が思い出したことがあります。

幼少期、自分のおばあちゃん(現在91歳)が、


「ティッシュで鼻をかむ時は、
 1枚で3回はかめるんだよ。

 ほら、一回隅っこでかんで、
 それからおりたたんでもう一回かんで、

 それからもう一度おりたためば、
 3回はかめるだろう」


と話をしていたな、ということでした。

その話をしたときに、

「昔は着るものもなくて、
 困っていたものだ」

と併せて行っていた記憶が、
頭の片隅にあります。

その時はよくわかりませんでした。

今だに、よくわかっていませんでしたが
この本を読んだときに、

「こういうことだったのかもしれない」

と数十年の時を経て、その祖母の想いを、
少しだけ感じることができたような気がします。



■もう言われることもないくらい、
当たり前すぎるほど、
豊かさが当たり前になった今、


「戦争とは何か?」

「どのような過酷さ、残酷さをもたらすのか?」


ことは、知ろうと思っても、
知ることができなくなっているのが、
現状ではないでしょうか。


そんな中、この

『流れる星は生きている』

の一冊は、あらゆる人が、
その戦争による過酷さを、
優れたノンフィクションのストーリーを通じて、
リアルな実話を疑似体験できる、

そんな本です。


読み終えて時間が経ちますが、
頭の中で読み終えたシーンを回想しても、
ありありと情景が浮かんでくるよう。


歴史を知る一冊としても、
人間とは、を考える一冊としても、
今のありがたさを噛みしめる上でも、

とてもお勧めの一冊。


ぜひ、手に取られてみて下さい。

アマゾンの5つ星のうち、4.8という
大変な評価も頷ける、不朽の名作です。

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<今週の一冊>

『流れる星は生きている』
(著:藤原てい)



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