メールマガジン バックナンバー

2233号 2020年4月1日

心なきフィードバックは「心のかさぶた」をつくることもある

(本日のお話 2913字/読了時間3分)

■おはようございます。紀藤です。

昨日は2件のアポイント。

また研修の企画や読書など。
粛々と仕込みをしております。



さて、早速ですが本日のお話です。

昨日「フィードバック」というテーマで
メルマガをお送りさせていただきました。

昨日の内容は、

・フィードバックは耳の痛いものも多く含む

・しかし、自分で自分の姿は見えないため、
 他者からの率直なフィードバックは成長の糧になる事が多い

・ゆえに、フィードバックを意識的に受け取りに行くことは、
 耳の痛いことを乗り越え、自分をより良くしていこうという意志と
 勇気の表明である
  
というお話でした。


そんな内容に対して、
多くの方からご感想、ご意見をいただきました。


今日はそのご感想を拝読しながら、
あらためてフィードバックに合わせて
大切な事があるな、と思いましたので、
その内容を皆さまにご共有させていただければと思います。


タイトルは、



【心なきフィードバックは「心のかさぶた」をつくることもある】



それでは、どうぞ。






■基本、人からの率直な意見(=フィードバック)
というものは、

”自分が見えていないものを見せてくれる”

という意味で、

自分で気づいていない強み、
自分が気づいていない改善点等、

自分の問題を正す上でも、
更に自分の長所を伸ばす上でも、

「受け取ることができれば、有用に働くものである」

と思います。

ゆえに、昨日のメルマガでは、
「受け取る勇気が大事である」
というお話をいたしました。



■しかし、一方、読者の皆様から、

「とはいえ、この人からのフィードバックは
 受け取りたくないって場合、ありますよね」とか、
 
「信頼がないフィードバックは、
 害悪にすらなりうるもの」とか、

「権威がある人(社長)などが
 「誰が言ったのだ!」と犯人探しをしそうな場合などでは、
 フィードバックを行うのは効果的ではない」
 
などなど、様々なご感想をいただきました。

さすが現場で活躍されている皆さま、
「フィードバック」について
多くの経験値を持たれているのだな…

と思いつつ、拝読しておりました。



■それを見て、
「うんうん、確かにそうだな」
と思わされると同時に、

昨日は、そういえば
大切な前提をお伝えできていなかったな、

とも思ったのでした。



■ちなみに、フィードバックという技法が
頻繁に使われるコーチングの世界では、


『フィードバックをする前提として、
 コーチとクライアント間の「信頼」が必要である』


という原則があります。


ここで言うコーチとクライアントは、
上司と部下、と言い換えてもよいかと。



想像してみれば、そうなのですが、

もし仮に、

人間的にも尊敬できず、
(愚痴や批判ばかりしている、
 自分から動こうともしない、受け身である)

仕事の業務上でも尊敬ができない
(その分野の知識もなく、経験もなく、
 さしたる結果もだしていない)

かつ、自分を思ってではなく、
立場を守るとか、自分のエゴからという様子が、
全面に見えていたとして、

(そんな上司が存在していないことを
 祈るばかりではありますが)
 
そんな上司から


「いや、キミのあの会議での言動は、
 ちょっと具体性にかけていたように見えたよ」


とたとえ”フィードバックの技法”を
駆使して行ったとしても、

効果は極めて限定的になろうかと思います。



■言わずもがな、立場上、

「そうですね、気をつけます」

と部下が答えても、部下の心中には

(、、、あなたに言われたくない)

という思いが起こる可能性は
少なくないでしょう。



■自分の職務としての責任から
部下が動いたとしても、
その責務を超えることはなく、

上司のフィードバックその他の働きかけによって、

「よりパフォーマンスが活性化される」とか
「秘められた可能性が発現する」

ということも、
極めて少ないのだろう、

と思っております。

(、、、が、いかがでしょう)



■かつ、信頼ができない人から
闇雲に、無遠慮に言われた


「”フィードバック”という衣を被った、
 (悪意を感じる)率直な意見」


なるものは、場合によっては、
自分や相手の心を深く傷つけます。



実際、私もあります。

よく人前で話をしたり
メルマガで意見を語ると、ときに

”心をえぐられるようなコメント”

をもらうこともあります。

仕事でやっている分で
そこはあらゆる意見を「ありがたい」と受け取るように
自分で心がけていますが、

そこに愛を感じず、悪意や敵意などを感じると

反省よりも、ただ思い出しては鈍い心の痛みを覚える、
「言葉による心のかさぶた」にもなっているな、

と思うことがあります。



■善意がないフィードバックは
ただの「言葉の暴力」になりかねません。


それが、心の傷となり、かさぶたとなり、
相手や自分が

・自尊心の欠如
 ↓
・やる気の低下
 ↓
・自己否定

というスパイラルに陥らせ、
フィードバックが、
ただのマイナス、害悪になりうることもありうることがある。


そのことを

「フィードバックをする側」そして
「フィードバックを受け取る側」も、

心しておくべきだろう、と思います。



■そんなことを考えると、

”フィードバックをする側”の心構えとして。

綺麗事に聞こえるかもしれませんが、


「信頼されるに足る、人格と力量を持つ。
 あるいは持とうとする」
 
「自分のエゴを抑えようとする
(相手のために伝える)」


というスタンスは、とても大事。


同時に、
”フィードバックをされる側”も、 
率直な意見を受け取ろうとする際、


『信頼できる人からの率直な意見は
 積極的に取りに行く』


ことが良いと思いますし、

そうでない人(悪意を感じる人)のフィードバックは
敢えて軽めに扱うという工夫も大事なのであろう、


と思います。



■ということで、まとめると、


・フィードバックはとても効果的な技法である

・しかし、信頼がないと、
 相手はフィードバックを心から
 受け取ることができない

・また、エゴや悪意があるフィードバックは
 ただの「言葉の暴力」になる

・ゆえに、”フィードバックをする側”は
 「信頼たる人物であろう」とするのも大事であろうし、
 「エゴをなくす(相手のために伝える)」と思うことが大事
 
・同時に”フィードバックを受ける側”も
 「信頼できる人」からのメッセージを
  意識的に受け取る事が大事である
 
 
というお話でした。


【”心なき(=信頼なき)フィードバック”は
 「心のかさぶた」をつくることもある 】。

なので、

”フィードバックには『信頼』が重要!”

ということかな、と。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
本日も皆さまにとって、素晴らしい1日になりますように。

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<本日の名言>


人間は天使でもなければ、獣でもない。
だが不幸なことに、人間は天使の用にふるまおうと思いながら、
まるで獣のように行動する。


ブレーズ・パスカル

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