NHKのコロナ特番から考える、「楽観主義とポジティブの違い」とは
(本日のお話 2925字/読了時間4分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日金曜日は、
『オンライン人事交流会 ~オンライン教育についてあれこれ語り合う会~』
の第二回目の開催でした。
約30名の人事関連のご参加いただき、
皆さまの持っている知見を交換しあった時間でした。
ご参加いただいたすでに「オンライン教育」の
ご経験が豊富な皆様が、その経験を惜しむことなく
シェアしていただけたその時間に私自身、
豊かな心持ちになった次第です。
(ご参加頂いた皆さま、改めてありがとうございました)
また『オンライン人事交流会 ~オンライン教育を考える(上級編)~』
も開催したいと思います。
*
さて、本日のお話です。
先日、友人から紹介された
NHKのとあるコロナ関連の番組を見ていました。
内容も非常に濃く、面白かったのですが、
その番組の中でのある識者のお話が
特に印象深く胸に残りました。
今日はその学びと気付きについて
皆さまにご共有させていただければと思います。
タイトルは、
【 NHKのコロナ特番から考える、「楽観主義とポジティブの違い」とは 】
それでは、どうぞ。
■NHKの特番で、
『ETV特集「緊急対談 パンデミックが変える世界~海外の知性が語る展望~」』
なる番組が 4月16日に放映されました。
友人から「ものすごくよかった!」と勧められ、
NHKオンデマンドで先日視聴してみたところ、
考えさせられる良い番組でした。
番組の内容は、
・『サピエンス全史』で有名な
歴史学者のユヴァル・ノア・ハラリ氏
・EUの影の立役者と呼ばれる
経済学者・思想家のジャック・アタリ氏
・政治学者でコンサルティング会社
ユーラシアグループの社長のイアン・ブレマー氏
という、錚々たる世界の知の巨人達に
「コロナ危機がどのように世界を変えていくのか?」
を語っていただく、という内容です。
(ちなみに、以下、番組の内容の引用です)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
パンデミックとなった新型肺炎。
都市の封鎖や大量死が連日報じられている今、
人類は大きなチャレンジを突きつけられている。
世界はどう変わるのか。人類は今後どこに向かうのか。
歴史学、政治学、経済学の各分野で独自の思想を展開する
世界のオピニオンリーダーたちに徹底的に尋ねていく緊急特番。
(NHKホームページより引用)
https://www2.nhk.or.jp/hensei/program/p.cgi?area=001&date=2020-04-15&ch=31&eid=12588&f=20
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
とのこと。
(NHKオンデマンドでみられますので、
ご契約中の方は、ぜひご覧になってみてください)
■おそらく日本に住む我々が今気になるのは、
・これからの日本はどうなるのか?
・緊急事態宣言は、本当に5月で終わるのか?
・いつになったら自粛が終わるのか?
・PCRは受けられるのか?
・仕事はどうなるのだろうか?
等々、足元の悩みが、
たくさんあろうかと思っています。
もちろん、私もその一人。
■一方、今回の特番の上記の3名は、
その状況は理解しつつも、
「今回のコロナ危機が”世界”に与える影響はなにか?」
を俯瞰して伝えるという、
新しい視点をもたらしてくれます。
■例えば、内容としては、
このような話が語られていました。
(ちょっと説明くさいですが、
ご興味がある方はお読みくださいませ)
<1,グローバルリーダーの不在による脅威の話>
・9.11の時と、2008年の金融危機の時と違い
アメリカがリーダーシップを取り、
収束させることができなくなる
・グローバルのリーダーが誰もない、
それが今回の脅威の一つである。
・リーダーがおらず、各国がバラバラに対応していると、
対応が遅れるとともに、自国のことだけを考える
・ヨーロッパもアメリカも
サプライチェーンを国内に戻すような動きなど、
グローバルの分断が加速している
・コロナ危機によって、
協調ではなく分断がますます進む可能性がある
と言う話から続き、そして、
<2,先進国と発展途上国のダメージの違いの話>
・経済的に豊かな国、
たとえば、日本やアメリカヨーロッパなどの国では、
GDPの10%を経済対策に充てることができる
・市民や社会生活でもスペースを取ったり、
自宅で待機をすることもできるだろう
・他方、発展途上国(インドなど)では、
GDPの1%という、コロナ対策には足りない程度しか
提供することができない、
・またそもそも国民同士、スペースを取り生活をすることが難しい
(満員のバス、スラムで生活する人々など)
・よって、経済的にも、医療としても、
致命的なダメージを被る可能性が高い、
へと展開し、更には、
<3,テロなど国際秩序の乱れと停滞の話>
・発展途上国で克明が自分の家族や、
自分自身の命を守ることができない、と感じるようになれば
それは治安の悪化につながる。
・治安の悪化は、テロや暴動など、
先進諸国にも影響してくることにもつながる
と続いていく。
■その他にも、
今回のコロナに対しての、
”「監視」と「教育」”のどちらを信じるか、
などについてもそう。
国民を徹底的に「監視」するのか。
外出禁止を破ったら逮捕、という方法でウイルスと戦うのか。
あるいは
国民に「教育」を通じ、
ウイルス・細菌への正しい理解を告知し、
皆の自主的な封じ込めを推奨し、ウイルスと戦うのか。
それは、歴史上続いている
「民主主義」と「独裁主義」の優劣を
世界に問うものだったりします。
(私の理解がまだまだなので
ご興味がある方は番組を見ていただければと思います)
いずれにせよ、視点を広げて考える
きっかけを与えてくれる番組でした。
■、、、と前置きが長くなってしまったのですが、
話が変わって、そのインタビューの中で、
経済学者のジャック・アタリ氏が語っていたお話が
たいへん印象に残ったのでした。
インタビュアーの道傳愛子氏が、
ジャック・アタリ氏に質問しました。
(ちなみにアタリ氏は、「利他主義」「ポジティブに考える」が
問題解決に繋がるというスタンスをブログ等で貫いており
そのことについて、以下のように質問しました)
「そのポジティブヒズムや楽観主義はどこから出てくるのですか?」
対して、アタリ氏は答えました。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
「まずポジティヒズムは、オプティミズム(楽観主義)とは異なります。
たとえば、観客として試合を見ながら、
「自分のチームが勝ちそうだな」と考えるのが楽観主義です。
一方、ポジティヒズムは、自らが試合に参加し、
「うまくプレイできればこの試合に勝てるぞ」と考えることです。
そういう意味では私はポジティブであると言えるでしょう。
自分たちの安全のために、最善を尽くし
世界規模で経済を変革させていくことができれば、
きっと勝てるでしょう。
(ジャック・アタリ氏)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
とのこと。
■「楽観主義とポジティブ」は違う。
非常にシンプルかつ短いお話でしたが、
考えさせられました。
そして今、
「私自身はどうだろう?」
とも考えました。
■確かに、医療や行政に関わらない人が
直接できることは限られているかもしれません。
ただ、
「できることはないから忍耐しかない」とか
「なんだかんだ世界は続いていく」とか
「とはいってもいずれは収束していくはず」
ということで、今回の件だけではなく
「自分の人生や仕事のあり方」として、
”特に何もせずに、観客として楽観的でいる”
としたら、
とても危ういことなのでは、、、
とも思ったのです。
■どこかで耳にした言葉なのですが、
「変化は、変化のただ中にいる時は気づかず
それが過ぎ去ったときに気づくもの」
という聞いたことがあります。
(ドラッカーだったような)
その中で、もし観客のような
参加しない”楽観主義”でいて変化に気づかず、
その後、訪れるであろう変化の波の影響から、
・仕事の業績悪化、減給、失業
・生活レベルの後退、
・疾患、人間関係の悪化
(考えたくはないですが)
等々降りかかり、
その原因の一部に、
自分が能動的に関わらなかった”楽観主義”があったとしたら、
(少なくとも私は)後悔するだろうと思います。
■そんなことを考えながら、自分自身
「観客としての”楽観主義”になっていないだろうか?」
「試合に参加する”ポジティブ”でいるだろうか?」
「そして、ベストを尽くしているだろうか?」
と、考えたのでした。
観客より、参加者。
やれるべきことをやって、前向きに考える。
そんなニュアンスを含めると、
アタリ氏が語る
『楽観主義でない「ポジティブ」』
に軸足をおいて、
自分が今できるベストなことを考え、行動していきたい
と改めて考えたのでした。
■世界的ベストセラー『7つの習慣』でも、
自分が関心があること(=関心の輪)の中で、
自分が影響できることを(=影響の輪)に、
時間とエネルギーを集中することが、
主体的な人の特徴であり、望む成果を得る第一の習慣、
としていますが、
その話にも通ずるようにも思います。
動くことが減って、
ブクブク太り始めた自分を見つめ、
自戒を込めて書いてみた、というのは置いておいて。
まず、今できること、やっていきましょう。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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<本日の名言>
自分にて自分の身を支配し、
他に寄りすがる心なき個人の独立があってこそ
国家の独立がある。
福沢諭吉(教育者/1835-1901)
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