メールマガジン バックナンバー

2276号 2020年5月14日

コロナ禍で気づく「世界には”生産性”に関する名言が見当たらない」という事実から思うこと

(本日のお話 2501字/読了時間4分)


■おはようございます。紀藤です。

昨日は、企画書の作成、
ホームページの調整など。

また、10キロのランニングを挟んで、
夜はシステムコーチングのトレーニングでした。



さて、本日のお話です。

在宅で仕事をすることが
一つの選択肢となってきた昨今

「生産性が下がりそうで不安」(怠けてしまうのではないか)
=管理職の不安に多い傾向

「むしろ集中できて生産性が上がって快適」
=一方、一般職はこう感じている傾向あり

という「生産性」というキーワードで、
いくつか注目されている新聞記事をしばしば目にします。

そんな記事を見つつ、今回、
コロナ禍に考えさせられていることと、
普段からうっすら思っていた疑問がリンクして、
ふと思うことがございました。

本日はそのお話を、
皆さまにご共有させていただきたいと思います。

タイトルは、


【コロナ禍で気づく「世界には”生産性”に関する名言が見当たらない」という事実から思うこと】


それでは、どうぞ。





■ずっと前から、
薄々気づいていたけれども
なかなかメルマガに書くタイミングがないことがござました。

それは「生産性」とは
本当に重要なのか、

ということついてです。



■現代はものすごく忙しくなりました。

テクノロジーは進んで、
どんどん便利になっているはずなのに、
まずます忙しさを感じるという、

不思議な矛盾を抱えていた人も
いらっしゃるかと思います。


例えば、平均的な知的労働者は、

・1日に送受信するメールの数: 110通
・1つの作業に集中できる時間: わずか11分
・1日で、不必要な中断とその埋め合わせに費やす時間: 28%もの時間

という結果がありました
(フランクリン・コヴィー調べ)


もちろん、1990年代の
「24時間働けますか?」的な時代に比べれば、
労働時間も少なくなっているものの、

それでもなお、

”追い立てられている感”

があったのは、おそらく
私だけではないような気もします。


(そして、それがコロナ禍により、
 在宅勤務を余儀なくされ、業務が要素分解されたことで、
 良くも悪くも、“間の仕事”が削減されたり、
 中段が減ったりして、ゆとりが出てきたのではないかと)



■そして、もう一つ、
「通勤」についてもそうです。


昨年の話ですが、
ふと不思議に思ったエピソードもあります。

私は自分で経営をしているので、
自分で調整をして仕事ができます。


去年の6月頃でしょうか。

朝7:30頃、通勤ラッシュ時に
荒川沿いを東京湾に向かってランニングをしていました。

すると荒川の河川にかかっている橋に
都営新宿線と東西線の地下鉄が、
荒川をわたる形で千葉方面からやってくる様子が見えました。

電車が前後の車両感覚の影響か、
橋の上で止まっています。

そして、その止まっている電車に
ふと目を凝らすと、はちきれんばかりの人が寿司詰めになっていました。

それはまるで苦役列車のよう。

それを遠巻きに見た時に、
まるで、都心の外に働く人が小さな箱に乗せられて強制的に
運ばれているように見えて、

「この状態は、普通じゃないよな、、、」

と感じたことを覚えています。


一生懸命、使命感を持って働かれている一方、
満員電車が好き、という人は一人も聞いたことがないので、
やっぱり全体としては、異常だったのではないか、
と今あらためて思うのです。

(これも、コロナ禍により、
 通勤がなくなった人で同じように感じている人も
もしかするといらっしゃるかもしれません)



■現代人の多くが、


・「できるだけ多くのことを達成して」

・「より良いサービスを生み出し」

・「生産的に働く」

(そしてお金を稼ぐ)


ことを、必然的に求められているのが、
「資本主義のルール」かと思います。



■ただ、本当にそれが
ものすごく大切かと言うと、
実際どうなのだろうか、、、

そんな

『現代のルール(資本主義や生産性)に
 問いを投げかけているのがコロナ禍』

ではないだろうか、

と思えて仕方ありません。

(実際、PM2.5や温暖化指数が少なくなっているようですし、、、)


そして、同じように感じている人も
中にはいるのであろうとも思っております。



■また、これまでメルマガを
2200号以上書いてきました。

メルマガは、その最後を
「世界の名言」で締めるという
お決まりのパターンで続けてきました。

よって、私の家には必然的に
「名言集」がたくさんあり、

世の中の偉人賢人たちの「名言」は

紀元前のソクラテスから始まり、
現代に生きる経営者ビル・ゲイツまで、

2200号分の幅広い名言を見て、
そして引用してきました。


■、、、しかし、
いつからか気づいていたことが、


「生産性(=より短く、より多くのことを達成すべし)
という内容の名言はみたことがない」


ことでした。


・時間の価値を知らないものは、生まれながらに栄光に向いてはいない
(ヴィーヴナルグ/フランスの思想家 1715-1747)

・大事をなすには寿命が長くなくてはいけない
(勝海舟/幕末の志士 1823-1899)

・休みたいのなら、なぜいま休まない?
(ディオゲネス/古代ギリシャの哲学者 BC412-323)


みたいな
「時間の大切さ」「見失っていることを取り戻す」
というメッセージはたくさんあっても、


・「できるだけ多くのことを達成して」

・「より良いサービスを生み出し」

・「生産的に働く」


ことを、“普遍的な大事なこと”としている名言がない、
(あるのかもしれませんが、あまり見たことがない)のは、
人が求めている本当に大切なこととは、
その「生産性」にはないのでは、、、とも思ったのです。



■そして、そんな文脈で
「改めて何が大事か?」と考えた時に、

それは名言を見る度に見つけられる

「人と人の繋がりが生み出す価値」
(=違いを認め、歩み寄ることの大切さ)

とか

「自分の心身を磨き、健やかに過ごすこと」
(=食事や運動を通じた、自らの健康への意識)


または、
まさにこれから問われるであろう、


「自分が何を残したいのか、自分のミッションは何か」
(=自分が何のために働き、どう生きていくのが幸せか定義する)

こそが重要であり、
今回のコロナ禍はそれらのことについて、
我々に問いを投げかけているのではないだろうか、

そんなことを感じたのでした。


皆さまは、この「コロナ禍」は
これまでのルール、仕事、働き方に
どのような“問い”を投げかけていると思われますか?


=======================
<本日の名言>

全ての偉大な真理は、
最初は冒涜の言葉として出発する。

バーナード・ショー(イギリスの劇作家/1856-1950)
=======================

365日日刊。学びと挑戦をするみなさまに、背中を押すメルマガお届け中。

  • 人材育成に関する情報
  • 参考になる本のご紹介
  • 人事交流会などのイベント案内

メルマガを登録する

キーワードから探す
カテゴリーから探す
配信月から探す