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今週の一冊『考えるとはどういうことか 0歳から100歳までの哲学入門』

今週の一冊『考えるとはどういうことか 0歳から100歳までの哲学入門』

2363号 2020年8月9日

(本日のお話  2555字/読了時間5分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日土曜日は、午前中、
システムコーチングのクライアント体験。

また午後からは、
瞑想のワークショップへ参加。

残念ながら、いまいち瞑想の世界には
浸かりきることができず、
私にはまだ早かったようです。

ハマる人はすごくハマるようですが
私はいつか理解できる日が来るといいなあ、

と思いつつ。



さて、本日のお話です。

毎週日曜日は、お勧めの一冊を
ご紹介する今週の一冊のコーナー。

今週の一冊は、

=====================

『考えるとはどういうことか 0歳から100歳までの哲学入門』(幻冬舎新書)
梶谷真司 (著)

https://www.amazon.co.jp/dp/B07K72CFJ8/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_3b9lFbM1PXP6V

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です。

■先月、ある会社様で、

「リベラルアーツを探求する
ワークショップ」

なるものを開催しました。

私はリベラルアーツの
専門家ではないのですが
ゲスト講師を招き開催。

リベラルアーツカレッジの1つ、
クレモント大学を卒業された
藤田勝利さんをゲスト講師に招き、

私も参加者の方と一緒に
色々と対話に参加をしたのでした。

■その時に印象に残った話が、

【人は考えることによって自由になる】

という言葉でした。

そして藤田さんがその話をする際に、
紹介された本が今回の

『考えるとはどういうことか 0歳から100歳までの哲学入門』

の一冊です。

■さて、「哲学」などというと、
一部の深く探求したがる、
ちょっと変わった人たちのためのもの、
という印象があるかもしれません。

ただ、広い意味での哲学とは、

「考えること」

であり、この問いを立て、
考えることこそが、

私達を不安や恐怖から解放し、
人を自由にしてくれる、

そのように著者は言うのでした。

■そして同時に、今の現実は

「学校でも社会でも、
”考える方法”については、
誰も教えてくれていない」

ゆえに

「多くの人は”考えていない”」

とも言うのです。

■、、、などというと、
反論が聞こえそうです。

「いやいや、いつも考えているし!」

、、、と。

いつも考える。そう、

どうやって数字を上げようか、
いつも頭を働かせている。

この資料、どう作れば
上手く上司に伝わるだろうか、
いくつも案を考えている。

どうすればプロジェクトがうまくいくか、
いつだって、考えている。

、、、たしかに、
それも”考えている”のかもしれない。

■しかし、著者は問います。

その「考える」とは、
定められた社会や会社のルールの範囲の中で、

どこかに「答えがある」という前提で、
正しいものを探そうとしてはいないだろうか_?

、、、

こうすれば、営業のコンペで勝てる。
こうすれば、わかりやすい資料が作れる。
こうすれば、プロジェクトで人を巻き込める。

”どこかにあるはず”の答え。

なぜそれをやるのかを考えず、
「それ」をひたすらに追い求めていないだろうか。

、、、と。

■確かに、答えを見つけることは
一つ大切なことです。

ただ、この書籍で語る
「考える」という言葉の意味は、

学校、社会で定義された
「正解を見つけるための答え探し」

ではなく、

『思い込みや常識から解放され、
答えがないことを見つめる”考える”
というプロセス』

のことを言っています。

■思い込み、常識、
前提条件、ルール。

それらの自分を縛っているものを見つめ
自分の頭で「考える」ことをしないと、

「何が本当に正しいのか?」

というのは見えなくなる。

そしてそれは、
これは私(紀藤)自身の体験からも、
そのように思っています。

■少しだけ共有したくなったので
実際の私の体験談をお伝えさせてください。

何度かメルマガでもご紹介していますが
新卒で私は某飲食店に入社しました。

飲食業界がブラックと言われル前の話。

そう言われる前の文化は、
更に真っ黒くろすけで、
今思えばかなりひどいものでした。

■朝10時から朝7時まで働き、
人間関係がアルバイトとケンカして悪化したとき、

そして当時23歳だった私は、
心身が完全にやられてしまいました。

、、、そしてある日、
糸が切れたように、無断でお店を休みました。
(というか逃亡した)

振り返っても、自分の弱さや
責任感のなさを露呈することであり、
語ることに躊躇があります。

ただただ、そのときは、
キツくて孤独で仕方なかった記憶があります。

■しかし、その後冷静になって、
お店に戻ります。

そして、

「すみませんでした…」

と店長、アルバイトさんに謝り、
お詫びをいれました。

ただ、その時に、
スーパーバイザーの人に電話越しで言われた言葉が
衝撃的で、今でも覚えています。

「お前なぁ、何逃げてんだよ!
サラリーマンはな、仕事で死ぬんだよ。
死んでから言えよ!」

という一言。

そのとき、自分は
この職場ではもう働けないな…

と思った事を覚えています。

■その意図はわかりません。

ただ、今回の本を読みながら、
私は、私もこのスーパーバイザーの方も、
大切な「問い」が抜けていたのでは、

と振り返り思うのです。

どんな状況であれ、

「命」<「仕事」

なんてことは絶対にないはずだし、
そのような考えで追い詰められて
不幸になるとしたら、それはもう、
ありえないことである。

今では多くの方が賛同するはずです。

でも、その当時は、

「そんなものなのかも」
と追い詰める自分もいたし、
そんな空気もあった気もします。

成長こそが、人間性を磨くことだ、

という言葉を、
ただただ受け入れて、
自分をいたずらに傷つけてしまったこと、

あったのではないか、と思います。

■誰かを攻める攻めないではなく、

”「何が正しいか」について
本当に考えていたのか?”

その時の空気感について
今振り返って思うわけです。

当時の会社の空気を考えると、
異常が平常でした。

でも、誰もその状態に
”おかしい”ともいわなかった。

■そして、このようなことは、
大なり小なり、今でもなお、
たくさんあるはずです。

そして、それは、

「会社のルールは、なぜあるのか?」

「上司の役割とは、何なのか?」

「組織とは、会社とは何のためにあるのか?」

という”問い”を立てて、

正解が一見なさそうなことを、
自分の頭で深く考え、対話し、
誰かに語ることで、少しずつ
問題の輪郭が見えてくるようなものかもしれない。

■複雑で、答えがない。だから

「まあ、難しい問題だよね」
で片付けていないだろうか?

考えている風で
実は”思考停止”になっていないだろうか?

、、、著者は、このように言います。

”私たちは考えることによって
初めて自由になれる。

考えることは、
自分を縛り付けるさまざまな制約から
自らを解き放つことである。

世の中のルール、家庭や学校、
会社での人間関係、常識や慣習、
自分自身の思い込み、さまざまな
恐れや怒り、こだわりから、
ほんの少しであっても距離を
とることができる。

それが私たちの生に自由の余地を与える。

私たちが考えるのは、考えなければ
ならないのは、私たちにとって
もっとも大切な自由を得るためである。”

(著書より引用)

と。

そう、

【人は考えることによって自由になる】

のです。

今、本当に求められる力だと、
心より思います。

少しでも気になった方は、
ぜひ手にとってみてください。

そして、この本で勧められている
「哲学対話」をやってみたい、

そう思った次第です。

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<今週の一冊>

『考えるとはどういうことか 0歳から100歳までの哲学入門』(幻冬舎新書)
梶谷真司 (著)



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