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今週の一冊『承認欲求の呪縛』(番外編/後編)

今週の一冊『承認欲求の呪縛』(番外編/後編)

2369号 2020年8月15日

(本日のお話  2445字/読了時間4分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日より茨城より
東京に戻ってきました。

今回の帰省はどうしても行かねばならない
事情がある帰省ではありましたが、

コロナ禍の影響で賛否ある中だと、
「帰省」という言葉をメルマガで書くのも、
少し躊躇してしまうのが、なんとも
難しい世の中だな、、、と思いつつ。



さて、本日のお話です。

昨日、「今週の一冊」の番外編として

『承認欲求の呪縛』(新潮新書)
太田 肇(著)
https://www.amazon.co.jp/dp/4106108003/ref=cm_sw_em_r_mt_dp_Q1KnFbWDV2V4E

のお話を、一部
ご紹介させていただきました。

本日も続けたいと思います。
それでは早速、参りましょう。

タイトルは、

【今週の一冊『承認欲求の呪縛』(番外編/後編)】

それではどうぞ。

■昨日は、

「承認欲求、最強じゃね?」

というお話をいたしました。

というのも、

「承認欲求」

は他者依存的なニュアンスを
含む言葉のイメージも持ちますが、

一方、マズローの欲求5段階説でも語られるように
人間が持つ極めて重要な欲求でパワフルです。

著者の「承認されること」の影響を調べた
比較実験によってわかったことは、

「承認されること」によって、

・自己効力感が高まる
・成績も上がる
・内発的モチベーションも上がる
・評価・処遇への満足も高まる
・組織に対する一体感も高まる

他、多数のメリットがある、
ということもわかりました。

■加えていえば、私たち日本人は、
そんな「承認」の力を、

「職場内でも適切に使えていない」
(=上司や同僚から承認をされる機会が
欧米に比べて少ない)

というデータもあります。

ゆえに、上手に「承認の力」を使うと、
より多くのメリットを享受できるのではないか?

、、、

そんなお話をお伝えさせて
いただいたのが昨日のお話。

■しかしながら、
あらゆるものには、

”光と影”

があるものです。

強い効果を発揮するものは同時に、
”影”の部分もあるのは「承認欲求」もそうです。

では、”承認欲求の影”の部分とは
一体何なのか?

■それは、私が思うに、
以下の一言にまとめられるのではないかと思います

それは、

【「承認欲求」に縛られると、自分の人生を生きられなくなる】

ということ。

著書で書かれていた言葉ではなく、
私の解釈で書いています。

しかし要は、そういうことではないかと。

■「承認欲求」が自分の人生を縛るメカニズムとしては、
こんな流れかと思います。

・人からの期待に応えると、嬉しい。
自尊心が高まり、成績も上がる。


・「承認欲求」をバネに、自分を成長させることができる


・しかし人は一度得たものを失いたくない。
新しい事を得るより、あるものを失うほうが恐い。
つまり、「凄いね」「さすがだね」と言われた
「承認」の、あのときの感情を失いたくない。


・また、特に承認で自分を伸ばしてきた人は、
「期待に応える」ということが
自分のアイデンティティと紐付いてしまうことがある


・そうすると、一度期待に答えられなくなると
「自分には価値がない」と感じ、自らを苦しめることになる。

・そして、「承認」を得ようと、必要以上に
自分を大きく見せようとしてしまう。
そして「承認」に一喜一憂することになる

というイメージ。

つまりこれが、

『自分のアイデンティティが
「承認」に依存しすぎてしまう』

状態であり、

【「承認欲求」に縛られると、自分の人生を生きられなくなる】

ということかと思います。

■身近な例で言えば、

SNSで「いいね!」を集まると嬉しいけど、
集まらないと価値がない、とか
凄いこと、認められる事をしないと価値がない、

と感じたりするような感覚でしょう。

ただ、人の価値とは、
そんなに単純なものでもないはず。

■また、加えて日本企業の場合、
「承認欲求」がもたらす、
特有の構造と影響があります。

それが、

「組織内の共同体意識が強い」

という構造です。

よく言われる年功序列。
同じ釜の飯を食う仲間、と言われる関係性。

そうすると、

”内部の評価(=承認の多さ)で
現実の処遇や出世が決まる”

という現実的な影響が出ます。

感情的な部分だけでなく、
キャリアにおいて、経済において
「承認」の重要度が高まる。

すると、
実際、今ドラマでも再度
放映されている半沢直樹よろしく、

「社内で立場がなくなると、
自分自身の価値がない(=自我崩壊)」

となってしまうことに繋がる。

会社の中での失態が、
そのまま人生の失態とイコールとなり、

”自ら命を断つ”

ということにも
繋がっていると思われる事件が
既にいくつも発生している、、、

これも「承認欲求」への
盲目的かつ、過度な依存がもたらしている
”影”の部分ではなかろうか、、、

そのように著者は
警鐘を鳴らすのでした。

■、、、では、どうすれば
「承認欲求の呪縛」から解き放たれるのか?

そのために、著書を読み、
以下3つ、主な方法があると感じました。
(これも私の解釈を含みます)

まず、1つ(特に日本においては)
具体的な施策として、

『自分をプロフェッショナル化する』

ことです。

プロフェッショナルとは、

”高度な専門化された知識や能力を用いて
公益への奉仕を使命とする職業”

であるとされます。

医師、弁護士、科学者などが代表で、
続いて一部の技術職、デザイナー、建築士などの
職種もそれに当たると言われます。

ただ、解釈を拡げると何かの分野で
「自分を特定の分野で高度に専門家していく」こと、
つまり

”社内の相対的な承認ではなく、
外の世界でも己の力が通用するように、
知識と能力をつける分野を持つ”

と意図して行くことは、
特に「組織内の強い承認の呪縛」から
自らを自由にする意味では、効果があることでしょう。

■そして、もう2つ目は、
シンプルに、

『承認欲求の影響に自覚的になること』

です。

わかっていて盲目的に
承認の光と影に翻弄されるのと、

自らその影響をわかりつつ
承認の力を活用するのでは、
そこにもたらされる意味もまるで違ってきます。

あれ、自分、
承認に一喜一憂していないか?
ただ、それだけが自分の価値なのだろうか?

と見つめることは自らに問い、
考えることで自由にしてくれます。

■そして最後、2つ目は、

「意図的に自らに期待をかけない」

こと。

「期待しているよ」
「絶対できるよ」

と言われて燃えるときもあれば、
一度「承認」の果実を味わった人からすると
それが重荷になることもある。

特に優秀な人ほど、そうでしょう。

ゆえに、そのような
プレッシャーを感じたら、

『自分は才能ないんだから、ダメでも仕方ない』
『元々、なーんにも持ってないのだ』

と開き直ったほうが、
実は当たって砕けろで、
良い成果が出ることもあるものです。

芸人の「お前、アホやなあ」という言葉も、
時に救いになるのです。

■正の力があるものは、
同時に負の力も持つことがある。

この辺りを冷静に考えつつ、
「承認欲求」を上手に使いこなして
いくことができると、

「承認欲求」を上手に
乗りこなせて、武器にできるのでしょう。



ちなみに余談ですが、

この「承認欲求」の話については、
ベストセラーになったアドラー心理学の本
『嫌われる勇気』で詳しく書かれています。

(※「承認欲求を否定する」(P129〜)の項目)

哲人と青年のとても、
わかりやすい対話が紹介されているので、

著書をお持ちの方、
あるいはこの内容を読まれて
より深く知りたいと思った方は
併せて読んで頂くと理解が深まるかと思います。

ご興味がある方は、ぜひ。

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<今週の一冊>

『承認欲求の呪縛』
太田 肇(著)


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