対面とリモートの感覚の違いを考える(後編)
(本日のお話 3180字/読了時間5分)
■おはようございます。紀藤です。
昨日ですが、終日
研修プログラムの作成。
自宅に
ホワイトボード、
撮影用ライト、
三脚2台(カメラ用、ライト用)
反射板、
という動画撮影セットを購入し、
自宅にて研修フォローの動画の準備など。
今後、どんどんリモートでの
研修が増えていくということを見越して
どんどん仕込んで行きたいと思います。
また、夜は
システムコーチングの勉強会。
*
さて、昨日ですが、
「対面とリモートの感覚の違いを考える」
ということで、メルマガをお届けいたしました。
今日も続けます。
タイトルは
【対面とリモートの感覚の違いを考える(後編)】
それでは、どうぞ。
■昨日のお話は
「対面とリモートの違い」を
考えた時に、
『対面は、”動物的なエネルギー”が詰まっている』
とお伝えいたしました。
会わないとわからない
ツヤ、ハリなどの視覚イメージ
発言したときの空気感
人が集まってきたときの微細な雰囲気の揺れ
など、
五感を通じた
”微細な感覚のセンサー”は
人と人が向き合うことで発動するもの。
対面には、
緊張感、ある種の怖さ、
エネルギーの消費があり、
だからこそ、
その空間にはインパクトがもたらされ
空間と記憶を紐付けて記憶できるのでは
というお話でした。
■一方、
「リモート」での対話の特徴には
どのようなものがあるのでしょうか?
それは、
『ランクが見えなくなる
&身体的な恐れが軽減される』
ことかと考えております。
*
まず、
「身体的な恐れが軽減される」
から。
例えば、
研修においても、
多数の参加者は、
「人前で発言をすることに
躊躇する」
ものです。
人前で話す緊張感は、
対面でもZOOMでも
等しくあるものと思いますが、
その”重さ”が
違ってくると感じます。
例えば、
リアルな150人の会議で
手を挙げる場合の緊張感と、
ZOOMの150人の会議で
手を挙げる場合の緊張感は、
やはり違うと思うのです。
(ZOOMだと、
実際見えているのは1画面25人です)
その”緊張感や圧力”は
全然違ってくるものがありそう。
■あるいは、
”1対1”の対話の場を
リモートと対面で比べても
そうでしょう。
私自身リモートで
コーチングや、
コンサルティングをやっていて、
思うことがあります。
それは、
相手の感情の揺れが、
五感を通じて伝わって来づらいので
”率直な意見を、言いやすくなる”
というリモートでの特徴。
■対面の相手に、
ストレートに物事を言うのは、
躊躇します。
それは、
相手に対して「対面」で
グサリと刺しうる言葉伝えると、
予想以上に影響があり、
相手の動揺、衝撃、時に反撃の可能性が
無きにしもあらずだから。
抑えよう、抑えよう、
セーブして伝えよう、と思っても、
対面の場だと、
お互いの感度が高まっているがゆえ、
・毛穴が開く感じ
・顔が紅潮する感じ
・息を一瞬吸い込んだ感じ
・目が鋭くなった感じ
を敏感に察知し、
その生まれた緊張感に
自分自身も影響を受けるのです。
■ですが、物理的空間を
共有しない「リモート」では
視覚・聴覚・触覚等の感度によって
キャッチする感覚的な情報が
ぐぐっと落ちるイメージです。
個人的な感覚としては
”対面:リモート = 100:50〜70”
の感度のレベルでしょうか。
このレベルは、人により
変わると思いますが、
総じてリモートでは、
『”身体的な恐れ”が軽減され
率直に物事が言いやすくなる』
という影響がある、
と考えています。
■そして次ですが、
リモートにより、
『ランクが見えなくなる』
ことについて。
*
例えば、
オンライン会議システムのZOOMでは、
(当たり前ですが)全参加者が等しく
同じマス目に、同じサイズで表示されます。
社長でも
部長でも
課長でも
一般社員でも
皆等しく
同じサイズのマス目に収められる。
そこに
”物理的な序列”は
ありません。
例えば、
社長だけ金ピカのフレームで囲われる、とか
社長だけフレームのサイズが大きい
社長が一番目立つ左上にいる
ことはないのです。
■ただ、
これはある企業の役員の方から
聞いたお話ですが。
ピラミッド型の構造を持つ
典型的な日本の大企業のおいて
「等しく皆が並ぶリモート会議では
違和感がある」
と言う話を聞きました。
特に対面では、
特にピラミッド型、終身雇用
年功序列の典型的な日本の大企業では、
”ランクと、空間的な位置”
に相関関係がある、と言う話。
会議でも皆が揃った後に、
最後におもむろに一番偉い社長が登場する。
そして座る場所は、全体が見渡せる位置。
社長に向かって「右」に座るものはいない、
という空間的な位置に基づく
ランクの表出。
(偉い人は一番右に座るしきたり。
「右に出る者がいない」という故事からきている。
※参考:「右に出るものがいない」
実力において勝る者がいないさま。
古来、偉い立場の者から見て右側に立つ者(本人たちから見れば左側)のほうが
より優れた者という決まりがあったために、この表現が生まれたとされる。
実際に、左大臣は天皇から見て右側にいたものの、
右大臣より立場が上だったとされている。
−実用日本語表現辞典より)
これらは、
伝統的なしきたりのように、
組織を覆っていたルールであった、
それがリモートでは
なくなりました。
■あるいは、
”ランクと、物理的なモノ”
にも相関関係があります。
例えば、
自分が出世するたびに
少しずつハンコの直径が
大きくなってゆく。
あるいは、
昇進すると
椅子に肘置きが付き、
更に昇進すると
クッション性が優れた椅子になり
更に昇進すると
革張りの椅子になる
というように。
しかし、リモートでは
これらもなくなります。
■日本の伝統的な企業において
組織の見えない共有ルールとして
存在していた
”ランクと空間的な位置”
”ランクと物理的なモノ”
は排除されていく。
そうすると、
『ランクが見えなくなる』
流れが加速していき、
立場や役職にバイアスがかかった
「何を言うかではなく、
誰が言うか」
という風潮ではなく
立場関係なく、
その発言内容やアイデアが評価される
「誰が言うかではなく、
何を言うか」
という流れになるのでは、
と思うわけです。
■ということで、
ここまでのお話で
特に対話(面談・研修)における
「対面とリモートの感覚の違い」
をまとめて整理してみると、
以下のようになるかと思いました。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
「対面の特徴」
動物的なエネルギー”が詰まっており、
五感を通じた感性のアンテナが自然と発動される。
しかし視覚・聴覚・触覚を通じた
情報量が多いため疲れる。
しかし、インパクトや記憶に残る場になる。
深い対話や、感情面に刺激を与える
ワークショップや大切な意思決定に有効な感覚。
「リモートの特徴」
面と向かった身体的な恐れがなくなるため
発言がしやすくなる(慣れれば)
ランク(役職・肩書)が見えなくなるので
フラットな対話がしやすい感覚。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
というイメージです。
これには、
育ってきた環境(年代)
自分の感性のレベル(人間関係の感性)
も影響してきますし、
私がそう思う、という切り口です。
■ただ、大切なのは、
「対面か、リモートか」
という選択肢が生まれた今、
それぞれの違いを
要素分解して、
対面、リモート
双方の特徴は何かを
言葉として明確にすることは、
それを状況において
使いこなすために、
とても大切な知的作業ではないか、
と思います。
■そして、
リモートが主流になったとき、
これまでのランクや
身体的な雰囲気以上に、
何を言えるのか、
何を考えているのか、
が大事になるでしょうし、
そうすると、
必要とされてくる能力は
その分野における学び、
深い洞察力などの価値が、
相対的に上がって
来るのであろう、、、
そのように思います。
■ということで、
「対面とリモートの感覚の違い」
をまとめてみたの巻でした。
みなさまは、
それぞれにどのような
感覚の違いがありますか?
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<本日の名言>
人は笑い方でわかる。
知らない人に初めて会って、
その笑顔が気持ちよかったら、
それはいい人間と思って差し支えない。
ドストエフスキー(ロシアの小説家/1821-1881)
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