「上手くまとめる」を、あえて選ばない
(本日のお話 1956字/読了時間3分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日、木曜日は2件のアポイント。また夜は
【オンライン座談会〜リモートの生産性向上
のヒントとは?〜】のイベントの開催でした。
お集まりいただいた皆様、ありがとうござい
ました!
やはり、人は多業種・多職種、普段違う領域
で活躍する人とゆるく語り合うのは大変学び
が深いものだな、と主催をしながら思いまし
た。「座談会」という形式、ニーズがありそ
うですね、というご感想もいただきました
が、本当にそう思います。また開催したいと
思います。
■さて、本日のお話です
今日から3日間、CRRグローバルジャパン
の、システムコーチング(チームや夫婦な
ど、人間関係に焦点を当てて課題を解決する
手法)の集中トレーニングキャンプが始まり
ました。その中で、「自分の怖れや弱さと向
き合うシーン」がいくつか登場してきて、自
分にとって大きな気付きになりました。
システムコーチング、というちょっとマニ
アックな技法での学びの体験からのエピソー
ドですが、私だけではなく、皆さまの方にも
似たような感覚をお持ちの方もいるのではな
いかと思いましたので、今日はそのお話につ
いて、皆さまにご共有させていただければと思います。
タイトルは、
【「上手くまとめる」を、あえて選ばない】
それでは、どうぞ。
■『「上手くまとめよう」っていう引力が強
いように感じました』
数時間前、システムコーチングの集中トレー
ニングの際に、リーダーの方から言われてギ
クリとした一言です。
しかも、わずか1週間ほど前に、同じくシス
テムコーチングをやっている仲間からも、
「スケジュールや、進め方に縛られすぎてい
る気がする」
と言われ、ギクリとしたばかりでした。
■システムコーチングという手法を学ぶと、
「本当に人は複雑だなあ」そして、「そんな”
人”が集まったチームや組織はさらに複雑だ
なぁ」と思い知らされます。例えば何か会議
で決定事項があって、表面的に「それで大丈
夫」と言っていても、誰も頷かないなど、明
らかに何か言いたげな空気感が出ていたりし
ます。
そんな空気の中で、2時間なり3時間なり時間
をいただいて、システムコーチングを実施す
ると、その複雑ゆえに、まとめられなくなり
そうになることがあります。色んな複雑な人
の気持が複数混ざり合い、混沌としてきて、
「これ結局どうすればいいんだ?」と迷うの
です。
■すると、場の後半で、こんな気持が湧いて
きます。
「もう、時間があと10分しかないし、なんと
か着地させよう」
「なかなか意見が出ないから、とりあえず締
めて、次のワークに進めよう」
みたいな気持ちです。
なぜ、その気持が沸き起こるかというと、話
が広がるだけ広がって、その風呂敷を畳めな
いような場にしてしまうと「ファシリテー
ション能力がない」「全体のタイムスケ
ジュールができていない」「場をまとめる力
がない」など、思われる不安があるからで
しょう。
そしてそれは、優秀でなければならない、と
いう「自分に矢印が向いている脅迫観念」み
たいなものかもしれません。
■もちろん、意思決定の会議なら着地は必要
かもしれません。ただ、こと対話の場、研修
の場、アイデアを広げる場など、「お互いが
より良いものを生み出そうとする」という目
的があるのであれば、「上手くまとめる」こ
とは逆に障害になる場合があります。
例えば、今回で言えば、”システムコーチン
グ”で関係性における、繊細な部分である本質
的なテーマを掘り下げる”ことをせずに、上手
くまとめて集結させることは、そのチームや
夫婦が前に進む可能性を失った、とも言える
のです。
■そして冒頭の、『「上手くいまとめよ
う」っていう引力が強いように感じました』
という一言は、私の「カオスを避けて上手く
まとめようとする」という己の恐れに対して
指摘された一言で、ぎくりとさせられた、と
いうことです。
■ただ、同様のことは、私だけではなく、皆
さまにも当てはまる方いるのではないでしょ
うか?
例えば、「本当はここは向き合って本音を
言った方がいい」と、どこかで分かっている
けれども向き合うのが怖い、対立がイヤだ、
などからなんとなくまとめようとする、話を
合わせる、表面的な話だけで大人で終わらせ
る、言いたいことを我慢すると言うように。
これも大きいくくりで言えば『上手くまとめ
ようという逃げグセ』なのかもしれません。
それによって失われているものがあるとした
らそれは、お互いのまだ見ぬ深い関係性、な
のでしょう。
■うまくまとめよう、綺麗に終わろうという
のは、実は「自分の恐れ」が反映されている
ことがあります。
自分の中の一番大きい声だけではなく、裏に
隠れている思いや、恐れを見つめること。
そのことは、新たに自分の幅を広げるチャン
スになります。あえて「上手くまとめるを選
ばない」という選択、できるようになりた
い、そんな事を思った次第です。
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<本日の名言>
先輩、同僚、友人に対しても
遠慮なく思うところを述べてきた。
その反動として起こる私自身の不評や損得は
敢えて気にしなかった。
松永安左エ門(実業家/1875-1971)
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