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2433号 2020年10月19日

「信頼と率直さの4つのレベル」から、お客様とのベストの人間関係とはなんだろうか? を考えてみる

(本日のお話 2756字/読了時間4分)


■おはようございます。紀藤です。

昨日日曜日より、新潟市上越市に
出張にて来ております。

先週に引き続き、遠出をしていますが
東京から足を伸ばすと、気持ちも解放される
感じがしますね。



さて、早速ですが本日のお話です。

先日、今週の一冊で

『謙虚なコンサルティング』
(著:エドガー・H・シャイン)

をご紹介いたしましたが、
その本の中で、

「人を支援するには、個人的な、
深い人間関係を築く必要がある」

と語られていました。


今日はその「人間関係の深さ」について
気づきと学びを、皆様にご共有させて
いただければと思います。


タイトルは、



【「信頼と率直さの4つのレベル」から、お客様とのベストの人間関係とはなんだろうか? を考えてみる】



それでは、どうぞ。




■営業、コーチ、専門家。


専門的な知識や能力によって
価値を提供する仕事があります。

そして、無形のサービスが増えて、
単純作業としての仕事が
どんどんテクノロジーに置き換わっている今、

あらゆる仕事は、

「コンサルタント化していく」

事が考えられます。



■そして、その中で役割として


”コンサルタント(支援者)と
クライアント(相談する側)”


にわかれ、そこには必ず、

個人対個人、組織対組織、
個人対組織でも

「人間関係が発生する」

ことは間違いありません。



■そして、今日の
コンサルタントとクライアントの関係において、


・先生と生徒という関係がよいのか?

・先生も「絶対的な存在」くらいの
存在感があったほうがよいのか?

・それとも「フレンドリーな先生」くらいの
立ち位置がよいのか?

・あるいは、個人的に近く固い友情を
育むくらいの、親密な関係が良いのか?

、、、


このことについて、
先述の著者のエドガー・H・シャイン氏は、


『人間関係の信頼と率直さの4つのレベル』


と称して語るのでした。


※ちなみにちょっと補足です。

著者のエドガー・ヘンリー・シャイン(Edgar Henry Schein、1928年 - )は、
アメリカ合衆国の心理学者。

Wikipediaによると、

”陸軍の研究所で洗脳研究を行った後
マサチューセッツ工科大学(MIT)に移り、

組織開発、キャリア開発、組織文化の分野で、
支援や補助を提供するさまざまな専門職の発展にも貢献した
MITスローン経営学大学院の元教授”

と書かれています。

「人間関係のレベル」というのも、
学者っぽい、分析的な視点でわけられていることが、
面白いな、と感じます。



■では、

『人間関係の信頼と率直さの4つのレベル』

とは、どのようなものなのでしょうか?


以下、要約しつつお伝えさせていただきます。

ちょっと長いので、
雰囲気だけお掴みいただければ幸いです。


(ここから)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
<人間関係の信頼と率直さの4つのレベル>

◯レベル ー(マイナス)1
<ネガティブな敵対関係、不当な扱い>

例/囚人、戦争捕虜、奴隷、異なる文化圏の人、
高齢者や情緒的疾患のある人、
犯罪者や詐欺師の犠牲、あるいは餌食になる人


◯レベル1
<認め合うこと、礼儀、取引や専門職としての役割に基づく関係>

例/街で出会った見知らぬ人、列車や飛行機で隣り合わせた人、
必要なサービスを提供してくれる人、
医師や弁護士など、他人を支援する職業についている人


・個人的な知り合い同士というわけではないが、
お互いを同じ人間として扱う。

・礼儀をわきまえたレベルで率直に会話することができる。

・医師や弁護士など他人を支援する職業についている人が
このレベルに属するのは、その役割定義として
「ほどほどの距離」を保つことが必要だからである


◯レベル2
<固有の存在として認知する>

例/個人的な知り合い、同僚、クライアント
仕事や教育の場を共有したために個人的に知るようになったが
親密というわけではない上司や部下
たまにある友人

・次の3点において通常より、深い信頼や率直さがある
1)交わした約束をお互いに守る
2)相手を傷つけたり相手が努力を傾けていることをけなしたりしない
3)嘘をついたり仕事に関わる情報を隠したりしない


◯レベル3
<深い友情、愛情、親密さ>

例/強くポジティブな感情を伴う関係

・親密な関係とは、極めて率直であることや
相手を傷つけないだけでなく、必要とされるときは
いつでも積極的に支援することを意味する

・このタイプの関係は、仕事や支援を行う状況ではふつう、
望ましくないものとされる。


※引用:『謙虚なコンサルティング』(著:エドガー・H・シャイン)
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

とのこと。



■そして、


”私達は、コンサルタントとクライアントにおいては、
複雑と厄介や、技術で解決できない問題に関しては、
『レベル2の関係性が不可欠』である”


というのでした。


つまり、

答えが明確にわからない
絡まりあった複雑な問題の場合、
(実際はそういう問題がほとんど)

「先生、わからないので
教えて下さい!」

とクライアントが求めるのみの関係性は、
支援をする上で決して望ましいものではない、

協働し、共に探していくというスタンスがないと
良き支援にならない、

ということになります。




■更に興味深いことは、
じゃあ、どんどん深くなればいいの?

「レベル3 深い友情、愛情、親密さ」まで、
誰もが目指せばよいの?

というと、必ずしもそうではない、
と語っているところなのです。



例えば、

”医師や弁護士など
「ほどほどの距離」を保つことが定義されている”

という支援の仕事の場合は、
「レベル1」になる(ことが多い)、

と著書では語られていたり、

あるいは、

”「組織に関する仕事」では
レベル3の深い友情、愛情、親密さの関係は
避けたほうがよい。

馴れ合いや身内びいき、えこひいきー
仕事をする上で妨げになると考えられ、
「腐敗」とレッテルを貼られるえこひいきを
生み出してしまうから、である”

とも語られたりもします。



■実際は、その人の価値観や環境
状況によっても、望ましい人間関係は変わりますが、


基本的なスタンスとして、


『レベル3では行き過ぎだが、
レベル1では不十分。

コンサルタントとクライアントの間は
レベル2を目指すことが大事』


と言うのでした。



■そして、先述の4つのレベルを見て、
また自分のことに当てはめて考えると、
ふと思うことがあります。


それは、


”クライアントとのベストの距離感とは
どうあるべきなのだろうか?”


という問いです。

確かに、お客様との関係性は大事です。

ただ、かつて明確に
定義をして考えたことがあっただろうか?

、、、と。



・なんとなく仲良くなったほうが良い
・距離も近づけたほうがよい
・お客様と仲良くなることが第一歩

とざっくり思っているのは
ほぼすべてが思っていること、だとしても。



■実際に自分の仕事において

「仕事をする上で
誰と、どの距離感が最適なのか?」

「深すぎず、浅すぎず、
お互いが率直に言いあえるベストな距離感とは?」

「双方のWINが最大化する
適切な距離感とはどの場所なのか?」

それらを明確に定義しているかどうか?


このことは、

つい遠くなりがちだったり
近くなりがちだったりする、
曖昧な”関係性”を扱う上で、
実は大事なことではなかろうか、

とも思うのです。


■ 「信頼と率直さの4つのレベル」から、
お客様とのベストの人間関係とはなんだろうか?を
考えてみたときに、

明確に、理想の状態を
言葉として明確にしておく。

そうすることで、意図して理想の状況を
描くことができるようになる、

そしてそれは、切っても切り離せない
「お客様との関係」を考える上でも大事だし、

友人や知人と仕事をすることになる、
などの関係がごっちゃになりがちなときも、

「このプロジェクトのときは
このレベル関係性を維持する」

というように、寄せていくことが
大事なのではなかろうか、、、

そんなことを思った次第です。


最後までお読み頂き、ありがとうございました。
本日も皆さまにとって、素晴らしい1日となりますように。


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<本日の名言>

われわれは、
自分に関心を寄せてくれる人々に関心を寄せる

プブリウス・シルス(紀元前1世紀、アッシリアの喜劇作家)
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