フィードバックの技術(3) 〜私(紀藤)のしくじりから考える、フィードバックの注意点〜
(本日のお話 2581字/読了時間4分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日は6件のコーチング。
また夕方からは2件の打ち合わせ。
ひたすらオンラインで
対話をし続けているここ数日ですが、
コーチングを通じて、
多くの方のお話を聞かせていただくのは、
とても充実した時間でございます。
(お話させていただいている皆さま、
誠にありがとうございます)
*
さて、本日のお話です。
先日より「コーチングの技術」を
テーマに皆様に届けしておりますが、
本日も続けてまいります。
今日は「フィードバック」についての
第三弾のお話となります。
タイトルは、
【フィードバックの技術(3) 〜私(紀藤)のしくじりから考える、フィードバックの注意点〜 】
それでは、どうぞ。
■昨日まで「フィードバック」について
諸々お伝えしてまいりました。
・フィードバックとは、
”事実を伝える”こと
・フィードバックには
状態を伝える客観的事実と、
そう思ったという主観的事実の2種類がある
・人は自分の姿が見えないので、
伝えられた「事実」によって気づきがもたらされる
そんな特徴がある、というお話でした。
そして、人は気付きを得ると
自ずと目標とする状態に向かって
軌道修正をしていくものです。
■自分の姿は自分で見えないため、
「自分で思っている自分の姿と
客観的に他者から見えている実際の姿は
ほぼ確実にズレがある」
ものです。
感覚としてわかっていますから
自分の姿を直視することだけで
それなりのハードルがあるもの。
しかし、だからこそ
”「フィードバック」は
相手に大きなインパクトをもたらす
非常にパワフルなツール”
といえるでしょう。
■実際、私もこの
「あなたこう見えているよ」
(=フィードバック的なもの)
を頻繁に受けていたタイミングが
数年前ありました。
その時は、コーチングとしてでなく
・あなたはこう見えている
・ゆえに、こう変えたほうがいい
をひたすらもらいまくる、
みたいな場にいたのでした。
ショックも受けましたが同時に、
多くの気付きもあり、自分が変わっていく、
そんな感覚を得ていました。
■ゆえに単純な私は、
”人に率直な意見や事実を伝えることはいいことだ!
(フィードバック”的なもの”を伝えるのはいいことだ!)
と燃えていました。
そんなさなか、
ちょっとした事件が起こります。
私(紀藤)のフィードバックにまつわる
失敗談のお話です。
*
数年前の話。
ある友人の紹介で、
とある税理士さんと知り合いになりました。
そして住んでいるところが近いということもあり
当時住んでいた近所の「赤羽」で飲むことになりました。
彼は、二代目の税理士さんです。
お父様から仕事を引き継ぎ、
そして仕事をしている同年代の人です。
お酒が入ってきて、
会話にも熱がこもります。
税理士の彼は、口々にこう言います。
「父は、古いやり方をやろうとしているんですが、
それじゃダメだと思うんですよ」
「もっとオンラインも含めて、
いろんなことを試していかないと」
「コンサルティング案件を取りたいと思いますが
なかなか問い合わせもこないんですよね」
、、、どうやら
お父さんのやり方と
(未だ会長として影響がある)
自分のやり方の方向性が合わない
ことについて課題があるようす。
■聞いていて、自分の中に、
ふと思いが湧いてきます。
(なんだかんだいって、
お父さんのせいにしたいように見えるな)
(新規事業のホームページを見せてもらったけど
全然魅力的に見えない、、、)
など、第三者の視点から思うことでした。
■そして、そんなさなか、
「事実を伝えるのはいいことだ!」
と信じて疑わなかった当時の私は、
思ったことを”フィードバック”と称して
ひたすら相手に伝え始めました。
私「結局お父さんのせいにしたいだけに見えます」
私「話のふしぶしで、自分で何かやろうという
攻める姿勢は感じません」
私「コンサルティングのホームページも、
事例が少ないため魅力的に見えません」
私「単価が高い割に、何を提供してくれるのだろう、
と感じてました」
、、、などなど。
不躾にもほどがあります。
あってそんなに時間も経っていないのに(汗)
■ただ、問題は、
「私は善意でいっているつもり」
であるところです。
お酒が入っているとは言え、
”事実を伝える”
ということで、
きっと気づきがあるんじゃないか、
そう思って、事実を伝えました。
■すると、彼は
「、、、そうですよね」
と語り、それから口をつぐみました。
そして、その後、
妙な空気になり場も盛り上がらず、
「じゃあ、そろそろお会計で」
という雰囲気になり
その会食は終了しました。
■その翌日。
彼は、今私が送っている
メルマガに登録してくれていたのですが、
彼のメールアドレスからの
「メルマガ解除」
のお知らせが、システムからの
自動通知メールで届いたのでした。。。
そして、彼との縁は
それからぱったりと切れてしまいました。
、、、
というお話。
■彼の心境がどのようなものだったのか。
具体的にはわかりません。
しかし、間違いなく
あの飲み会の会話が影響していることは
確実であろうと思われます。
彼からしたら
事実かもしれないけど、
「なんでそんな事、言われないといけないんだ?」
という疑問符が
頭にいくつも浮かんでいたのではないかと。
それを、「善意のフィードバック」という刀で、
相手を斬りつけ、傷つけていたのだろう、、、
とその後反省しました。
■そして、ここから学んだこと。
それは
『「相手が受け取りたい」と思っていない時に、
一方的に「フィードバック」を伝えることの危険性』
です。
この行為が、彼に強い負の感情を
もたせることになってしまったのでしょう。
”伝える”のと、”伝わる”のは違う。
しばしばそう言われるように、
フィードバックを投げる方も、
「これから投げますよ、いいですか」と
などと言ってみて、
受け取る方が、
「はい、ぜひください」
という状況になってこそ、
初めてフィードバックも、
”伝わる”に近づくわけでしょう。
そのことを理解していなかった。
それが私の失敗でした。
■「フィードバック」はとてもパワフルです。
しかし伝える際に、以下のポイントに
注意をして伝えなければならない、
とコーチングのセオリーでは言われます。
その中の一つが、
【相手が”第三者の視点を必要としている”ときに
フィードバックは伝えること】
なのです。
本人自身が他者からのフィードバックを求めていない場合、
ただただ「批判されている」と受け取ってしまう危険性がある。
(まさしく先ほどの私の話)
その人が今、
他者の意見を必要としてるかどうか、
これを見極めてから、
フィードバックは伝える必要があるのです。
■その他にも、
「フィードバックの際の注意点」として
いくつか挙げられているのでご紹介します。
<フィードバックをする際の注意点>
・(相手の)行動変容が可能であること
(体の特徴など言われても変えようがありません)
・忠告や命令にならないこと
(あくまでも受け入れるかどうかは相手が決める)
・適切なタイミングであること
(1ヶ月前のあのときの行動だけどさ…と
前のことを言われても思い出せません。即時が大事です)
・伝わっているか確認をすること
(聞いてみてどうですか?など受け取りを確認する。
言いっぱなしにしないことです)
等があると言われます。
■せっかくの「フィードバック」も
効果がなければ、ただの傷つける刃になるだけです。
適切に伝えなければ、
ただの否定的なヤツと処理されて
伝わる機会もなくなります。
それは自分にとっても
相手にとっても望ましくないはず。
ゆえに、フィードバックを適切に活かすためにも、
フィードバックの注意点を大切にしていきたいものだ、
反省と自戒を込めて、
そのように思った次第です。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
本日も皆さまにとって、素晴らしい1日となりますように。
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<本日の名言>
どんな愚者でも批判し、
非難し、文句を言うことはできる。
そして、多くの愚者がそうする。
デール・カーネギー(米国の著述家/18881955)
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