学習心理学から「王道の学び方」を学ぶ ー学習転移モデルと経験学習モデルー(前編)
(本日のお話 3190字/読了時間4分)
■おはようございます。紀藤です。
昨日は終日、研修企画、
ホームページの作成など。
かなり集中して進めることができました。
また夜は筋トレ。
追い込んだので体が重いです。
そろそろコロナ太りを元に戻そうと思います。
(本当にだらしない体になってしまったので、、、汗)
*
さて、本日のお話です。
私事ですが、大学院受験の勉強を始めて、
約1ヶ月経とうとしています。
(これですね↓↓)
【大学院受験プロジェクト】
「人材開発・組織開発のプロになるための16冊」を学ぼう!の会
https://forms.gle/fLySpASvk6WzY5DMA
正直なところ、
勉強がはかどっているかと言うと
予定の3分の1も進んでいないのですが(汗)、
とはいえ、知らなかったことを「学ぶ」ことで
新しい視野を獲得することができています。
得られたものは大きいです。
「学ぶ」って素晴らしい。
、、、ということで、
本日はこの「学び方」について
”学習心理学”の話を引用させていただきつつ、
学びと気付きを、皆さまに
ご共有させていただければと思います。
タイトルは、
【学習心理学から「王道の学び方」を学ぶ ー学習転移モデルと経験学習モデルー(前編) 】
それではどうぞ。
■「学ぶことの素晴らしい点は、
誰もあなたからそれを奪えないことである」
(B.B.キング)
名言を思わず
引用してしまいましたが、
「学ぶこと」の大切さは、
声を大にして言いたいところです。
どんどん変化する世の中で、
「学び方を学ぶ」ことは、私たちがサバイブする中で
極めて重要な武器になります。
■「学ぶ」ことを通じて、
・自分の無形資産(知識・スキル)が増える
・モヤッとしていた感覚を
言葉に落として再現性をもたせる事ができる
・自分の無知さに気付き、
更に前に進もうと思える
色々な効果があります。
短期的にも、長期的にも
役に立たないことはないのです。
■、、、とは言いつつ、
「学ぶこと」とは一体何を示すのか?
かつ、どんな風に学べばよいのか?
ここは割と曖昧です。
なぜならば、
・教科書を開いて、本を読んで
・セミナーを聞いて、理論を学んで
・机の上で学ぶだけが学びではない
というは感覚的に
誰もが認識しているはず。
「学ぶ」という言葉には、
”1,理論を学び、理論を元に実践に活かす”
という「理論先行型」の学び方もあれば
”2,実践を繰り返して、
自らの経験を形式知化(マイセオリー化)する”
という「経験先行型」 の学び方もあれば
”3,「何を学ぶのか?」という前提条件から疑う”
という「自分の当たり前を疑う・壊しに行く」
のような様々な学び方があるのです。
これらを整理して、
自分のものにしておきたい、
というのが今日のメルマガの趣旨です。
■そして、この「学び方」について、
『企業内人材育成入門
ー人を育てる心理・教育学の基本理論を学ぶー』
(編著:中原淳)
によると、学習心理学における
「学び方の理論」があることを伝えています。
そして今日は、
その学習の理論うちの
2つをご紹介したいと思います。
■まず、1つ目。
上記の
”1,理論を学び、理論を元に実践に活かす”
に対応する学び方です。
これは理論体系が構築された知識やスキルなどを
研修の場で「学習」し、
実際の仕事現場に「転移」させることから、
『学習転移モデル』
と呼ばれる学び方です。
プロセスとしては、
以下のような形となります。
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『学習転移モデル』 by レイヴ
1「知識創造」→ 研究者が伝達可能な知識を創造する
2「知識伝達」→ 創造された知識を教育プログラム内で講師が伝達する
3「知識習得」→ 伝達された知識を学習者が修得する
4「知識応用」→ 修得した知識を学習者が現場で応用する
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ちょっと言葉が専門用語チックですが、
実に王道な学び方と言えるでしょう。
要は
「理論を学んで、現場に活かそうぜ」
ということですね。
(雑でごめんなさい)
世の中では
多くのことが研究されています。
ゆえに、既に分かっている理論、
知識・スキルは誰からか学んだほうがよいのです。
■、、、しかし、です。
ではすべてのことが
「理論」として説明がつくかと言うと、
そんなはずもありません。
理論は、その場面場面の
とあるパターンを切り取って見つけた、
「こうすれば、こうなる」
という”要因と結果の因果関係”を
分析し、説明したもの。
ただ、現実の場面は、
その場面場面が変数が多く、
入り組んだ複雑なシナリオになっています。
一つの理論だけで
説明できないこともままある。
理論同士の衝突だってある。
■例えば、「コーチングを活かす」という
シーンにおいても、
・部下が新卒 or 50歳
・伝統的製造業 or ITスタートアップ
・部下の人数が5人 or 20人
・信頼関係がある or ない
など「or」条件により、
対話の進め方はまるで違ってくるでしょう。
同じような理論を当てはめたからといって
全てがうまくいくはずもない。
では、プロのコーチはどうしてるかというと、
”全部理論で説明できるわけではないけど、
膨大な経験で理解してきた「こうすればこうなる」という
感覚を元に対応する”
のです。
■すなわち、この
現場主義的な活動を大切にし、
自分の経験から基づく”束の間の理論”を
即興的に編み出して物事に対処できるようにする
という「経験」を
中心とした学び方もあるわけです。
これが、
”2,実践を繰り返して、
自らの経験を形式知化(マイセオリー化)する”
となります。
■このことについて、
専門家の実践活動について研究を行ったショーンは、
このように言います。
・専門家はそこだけで通用する“束の間の理論”を即興的に構築する。
・“プロフェッショナルな実践”とは、
アカデミックな研究の蓄積から体系的に構築された専門知識を現場に適用するのではなく、
混沌とした活動のなかで限定的・一次的な対処法を次々に即興的に生み出していくこと。
(=「行為のなかの省察(reflection in action)」と呼ぶ)
・状況の分析と対応のための行為を、流れの中で同時かつ継続的に実行。
・「行為のなかの省察』を特徴的な振る舞いとする専門家を、
「反省的実践家(reflective practitioners)」とよぶ。
だそうです。
■これも平たく言うと、
プロフェッショナルな実践家
(反省的実践家)とは、
「この理論に拠ると、こうこうこうすべきだ」
などと必ずしも考えず、自分の経験を振り返り、
そして”独自の理論”を感覚的に作り上げている。
という話ですね。
うーん、実に納得。
■では、この
「反省的実践家」になるために、
どうすればよいのか?
そのために、以下の
「学び方を学ぶ」で経験を学びに活かせます。
それは、
『経験学習モデル』 byコルブ
というものです。
内容は、以下の通りとなります。
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『経験学習モデル』 byコルブ
1「実践のステージ」…
学習者は、現場において様々な状況に直面する。
そして即興的な対応策を用いながら、それらの状況を乗り越えていく。
2「経験のステージ」…
実践体験のなかで、学習者はその後の活動に役立つような
エピソード的経験(成功体験/失敗体験)を積んでいく。
3「省察のステージ」…
ただし、学習者は「自分にとって何が役立つ経験か」を抽出できていない。
現場の状況に埋め込まれているからだ。そこで、実践体験を振り返り、
その後の活動に役立つと思われるエピソードを抽出することが必要となる。
4「概念化のステージ」…
抽出したエピソードについて検討を進め、
学習者はその後の活動に役立つ独自の知見(マイセオリー)を紡ぎ出す。
ただし、これらは普遍的な理論である必要はない。
重要なのは、マイセオリーを学習者が自ら構築することにある。
(1~4を繰り返す)
※『企業内人材育成』より引用
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さて、いかがでしょうか。
、、、ポイントは、
『省察』
です。
そう、体験を振り返り、
「そこから何を学んだのか?」
を考えるのです。
ゆえに、シンプルにすると
【どんな体験だったか?→ 学び・気付きは?→ 何に活かす?】
という問いを、
常に繰り返し続けること。
これが”反省的実践家”になるために重要である、
ということになります。
■と、書いていてなんだか
理屈っぽいメルマガになってしまったな(汗)
(長いし)
と思う自分もおりますが、
学び方は大事です。
「自分がどんな学び方をしているのか?」を見つめ、
「理論が大事だ!」(学習転移モデル)だけでもなく
「経験が大事だ!理論なんて役に立たない!」(経験学習モデル)だけでもなく、
どちらにも固執せず、
その時々に必要な学び方を大切に
柔軟に学び続けていくこと。
それが自らを育てる上でも、
重要なことなのだろう、と思います。
明日は、もう一つの学び方
『批判的学習モデル』
のお話をさせていただければと思います。
ということで、
改めてこの名言で締めさせていただきます。
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<本日の名言>
学ぶことの素晴らしい点は、
誰もあなたからそれを奪えないことである。
BBキング
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