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『経営学習論 ー人材育成を科学するー』

今週の一冊『経営学習論 ー人材育成を科学するー』

2552号 2021年2月14日

(本日のお話 1514字/読了時間2分)

■こんにちは。紀藤です。

昨日土曜日は、
研修プログラムの企画・作成。
ならびに読書でした。

大学院受験まであと5日。

仕事も勉強も今週が山場です。
がんばります。



さて、本日のお話です。

毎週日曜日はオススメの一冊を
ご紹介する今週の一冊のコーナー。

今週の一冊は、

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『経営学習論 ー人材育成を科学するー』
(著:中原 淳)


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です。

■先にお断りしておくと、

今日ご紹介する一冊は
かなりマニアックな一冊でございます。

人材開発・組織開発に関わる人
経営に関わる人が対象となる一冊かもしれません。

なにせ、出版元が
「東京大学出版会」ですので、
なんだかハードル高そうですよね(汗)

、、、がしかし!です。

ものすごく深く、
説得力がある学術的な一冊です。

ハマる人にはハマる、
そして新しい世界を見せてくれる一冊でs。

大学院受験のために
たまたま読むことになった本でしたが、

「こういうジャンルの本もあったのか…!!」

と感動を覚えています。

■さて、この本ですが、
人材開発の第一人者である中原淳先生が
約10年前に書かれた本です。

実証研究を元に、

「経営学習=企業や組織に関係する人々の学習」

について解き明かしています。

現役の大学院生に、

「この本は実にイイ!」

とお勧めしていただいたのですが、
読んでその理由がわかりました。

■ちなみにこの本は、
”大学院生向けに書かれた本”ですので、
一般的なビジネス本とは違うものです。

書き方もちょっと小難しいし、
加えてグラフや統計データなどが
たくさん登場してきます。

(なので200ページちょっとなのに
3000円もする…汗)

、、、ただ、興味深いのは、

”人の学び”

という身近なのに曖昧なテーマ。

これを「科学する」としているところが、
この本の魅力なのです。

■例えば

『社外の勉強会に参加する人は、
業績が高いのか、低いのか?』

というお題。

(=「越境学習」の研究といいます)

、、、ともすると、

社外の勉強会や交流会に参加する
どちらかというと少数の人は浮いてしまうこともあります。

「社外の勉強会とか参加してる暇があったら
もっとやることあるんじゃないの?」

「外の世界の勉強会で時間を取られて
本業がおろそかになるんじゃない?」

「社内で活躍できないから、
社外に足を運んでいるだけじゃないか?」

みたいな。

今は必ずしもそうではなく
10年前とは状況も違っているようにも思いますが、

やはり負の社会的スティグマが
(=普通と違うことによる差別・偏見)
起こりうることもある中で、

”上記の認識は実際に正しいのか?
それとも異なるのか?”

を、実証研究として
統計データを用いて解析をしています。

(このプロセスが実に面白いのです!

ちなみに上記の結果ですが、

「社外勉強会、交流会に参加する人は、
業績も高く、組織コミットメントも高い」

というポジティブなデータが出ていました。
学びは大事なのですね)

■その他にも、

「営業→営業に即戦力で転職した人と
未経験→営業でポテンシャル採用の人、
どちらが入社後苦戦するのか?」

(→研究分野「組織再社会化」)

とか

「上司の関わりで、
最も部下を成長させるのはどのような行動なのか?」

(→研究分野「経験学習」)

など興味深いテーマが含まれており

読みながら、

「へー!こんなことまで
実証研究として調べられていたのか!」

と研究分野の真骨頂を見せられたような、
そんな気持ちになる一冊です。

■ということで、このあたりの分野に

特段にご興味がある方は、
ぜひ試しに手にとっていただくと、
視野が広がる感覚があるかと思います。

以下、著書の紹介でございます。

(ここから)
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

―人材育成・人材開発の基礎をおさえる―

バブル経済破綻後の雇用慣行の見直し、進行するグローバリゼーション、
組織のフラット化、仕事環境の情報化などの影響によって、
日本企業・組織の「人材育成」は危機に瀕し、再構築のときを迎えている。

今こそ、「人材育成に関する学際的研究領域」である
「経営学習論(Management Learning)」の諸知見・諸理論を参考にしつつ、

それぞれの組織の状況・環境にあった、
OJTやOFF-JTなどの人材育成施策をブラッシュアップしていくべきときである。

本書は「経営・組織・学習」に関係する、ここ数十年の研究成果を総括し、
人材育成の基礎理論・基礎概念を紹介することをめざしている。

さらには、独自の実証的な調査データを駆使して、
企業組織における人材育成・人材開発のあり方を模索している。

「新入社員をいかに育成すればいいのか」
「いかなる経験を付与して、マネジャーを育成するのか?」
「若手社員が育つ職場とは、どのような特徴をもっているのか?」
「中途採用の社員をいかに育成するのか?」
「組織外で開催される勉強会・交流会でいかに学ぶか?」
「海外勤務における日本人マネジャーの適応と革新を促すものは何か?」

これらの諸課題に対する本書の知的探究は、
組織において人材育成・人材開発を担当する人々が、
自組織の置かれた状況において、自組織にもっともフィットした
人材育成のあり方を思考するためのヒントになりうることが期待される。

※Amazon本の紹介より

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

いやはや、実に深いです。
まだまだ学ぶことがあるなと思いました。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。

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<今週の一冊>

『経営学習論 ー人材育成を科学するー』
(著:中原 淳)



※ちなみに、2021/2/20にこちらの新装補強板がでるそうなので、
ご購入される方はそちらをおすすめいたします。

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