新しい組織・環境に馴染むには、まず「アンラーニング(学習棄却)」を行うこと
(本日のお話 2200字/読了時間3分)
■こんにちは。紀藤です。
昨日は朝から某企業の役員の方を
お招きした勉強会の開催。
午後からは読書と研修の企画でした。
大学院受験まであと5日。
アドレナリンを放出させつつ追い込み、
楽しんでまいりたいと思います。
*
さて、本日のお話です。
先日読んだ『経営学習論 ー人材育成を科学するー』に、
興味深いお話が紹介されておりました。
これから誰もが新しい組織や環境で
活躍しうる時代に大切なキーワードです。
その名も
「アンラーニング(学習棄却)」
でございます。
今日はこのお話のご紹介と、学びと気づきを
皆様にご共有させていただければと思います。
それでは早速まいりましょう!
タイトルは、
【新しい組織・環境に馴染むには、まず「アンラーニング(学習棄却)」を行うこと】
それではどうぞ。
■何か中国の拳法っぽい映画で、
こんなシーンがあったのを覚えています。
(曖昧でゴメンナサイ。汗)
老師と若い弟子がいて、
彼らがこんなやり取りをしていました。
老師「お主は、まるで、
水が満ちたこの茶碗のようじゃ」
弟子「老師…どういうことですか?」
老師「ワシがいくら極意を伝えたところで、
今のお主は、受け取ることができまい」
(老師。そういって茶碗を傾けて水をこぼす)
老師「極意を会得したいのであれば、
まずお主の中にあるものを、すべて空にせよ」
、、、みたいな話だったような。
■さて、この話に象徴されるのが
今日のキーワードの
『アンラーニング(学習棄却)』
です。
ちょっとよくわかりづらいので
もう少し解説させていただきます。
上記の老師のメッセージを
言い換えてみると、要は
1)自分の中で「こうあるべきという正解」があるうちは、
いくら新しい考え方を伝えられても学べない
2)ゆえに新しいことを身につけたいのなら、
今のやり方を手放すこと
というお話です。
確かにすごくいい先生やコーチがいて、
その人が、もっとすごい成果を出せるやり方を
教えてくれるとしても、受け取る側が、
「いや、自分はこのやり方で
これまで成果上げてきたんです」
と内心、こだわりを捨てられないとしたら、
当然ながら、新しいやり方を学ぶことはできません。
ゆえに、
「新しいルールを学ぶためには、
これまでのルールを手放す」
(=アンラーニング(学習棄却))
する必要があるわけです。
意識上は、こだわっていない、と思っていても
無意識で、これまでの「囚われ」が影響するのが
このお話の難しいところです。
■確かに、「アンラーニング」大事だよね。
言われてみたらそうだよね。
はい、おしまい、、、
としてしまいそうですが(汗)
もうしばしお付き合いください。
というのもこの
「アンラーニング」というのは、
これからの私達の社会の流れを考えると
極めて重要なキーワードになると思われるから。
■まず、社会の話でいうと、
昨今はますます
”雇用の流動化”
が起きています。
副業、兼業、転職、、、
新聞やニュースでもよく見ます。
「一つの組織で、正社員で
定年まで勤め上げる」
ではなく、
「転職や副業等で
いくつもの組織に身を置き活躍する」
という人も今後ますます
増えていくと思われます。
加えて、
「セカンドキャリアで
どう自分を活かしていくのか?」
というシニアの方の活用・活躍という
テーマもあります。
これからどんどん出てくる、
一社で勤め上げた元気が良いシニアの方が、
新しい組織でいかに活躍するのか、という問題。
■「新しい組織・環境で活躍する」ということは、
お伝えしたとおり、
「これまでとは違う価値観・考え方・行動様式が
求められる」
ことを意味します。
例えば、
定年前で勤めていた会社のルールが、
町内会の運用ルールと同じはずもありません。
ゆえに、アンラーニングができず、
自分のこれまでのルールにこだわって、
「俺の会社は、こういうルールだった。
これが普通だろう」
と仮に声を荒げても、
空気を読めない融通のきかない人、
というレッテルを押されて
終了となってしまいます。
そう、何が正解かという真実はなく、
”その組織における正解”
がそこにあるから、
(まずは)私達はそこに適応をしていく必要がある
という側面があることは否めません。
(もちろん改革・変革のためにその人が採用された、とか
自分で起業をする、等であれば別かと思います)
いずれにせよ、そのような、
「新しい組織・環境に適応していくプロセス」
はおそらく、私達の多くとっても
起こりうるプロセスかと思われます。
■ゆえに『アンラーニング(学習棄却)』の必要性、
これまでの自分が依拠していた
価値観・考え方・行動様式に囚われるのではなく、
「新しいルールに”馴染む”ことが大切」
と理解しておくことが大事かと。
■同時に、
”新しい組織に「飛び込む側」”もそうですが
”新しい人を「受け入れる側」”にも
何かしらの工夫が考えられます。
特に組織においては新規参入者(転職者)
どのようにアンラーニングさせて、
そして馴染ませていくのか、
ということも大きなテーマになるかと。
その「受け入れ側」のポイントについて
以下の参考になるデータがあります。
これは
”「他の組織に転職をした」際に、
何が新しい組織に馴染ませるのか”
(=組織再社会化)
の実証研究によるデータより
お伝えをしています。
(※参考:『経営学習論 ー人材育成を科学するー』(著:中原淳)
■結論をお伝えすると、ポイントは、
『上司による”モニタリングリフレクション”を行うこと』。
これがアンラーニング(=学習棄却)に
正の統計的優位な効果を持つ、
ことが実証研究によりわかっています。
ちなみに、”モニタリングリフレクション”とは、
1)仕事の進捗管理を行う(=モニタリング)
2)内省を促す行動の支援(=リフレクション)
ことを意味します。
■新しい組織に飛び込んできた
新規参入者がいたときに、
・どのように仕事を進めているのかを
見てくれる人がいる
・そして仕事をすすめる状況に応じて、
やり方について評価される・されない等の
フィードバックがある
・また日々の行動をし、経験する中で
良かったこと改善することの内省をする機会がある
なる環境を用意することで、
「アンラーニング(学習棄却)」が効果的に進み、
同時に、組織でのルールが理解でき、
彼/彼女らも効果的・効率的に
組織に馴染む(=組織再社会化)ことができるのです。
■、、、ということで、本日は、
「アンラーニング」
をテーマにお話をお届けいたしました。
新しい組織・環境に適応する必要性が求められるのは
誰しもに起こりえます。
そんな中でこのキーワードについて
・”自分が経験する側”としても
・”新しい人を受け入れる側”としても
しかと認識しておきたいものだ、
そんなことを思った次第です。
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
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<本日の名言>
創造性を得るには、
確実性を手放す勇気が必要である。
エーリヒ・フロム(ドイツの精神分析学者/1900-1980)
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